4月の当ブログにおいてV.パーシケッティーの交響曲第6番と仮面舞踏会に続くパーシケッティーシリーズ第三弾の
記事であったりもします、
既に夏休みという生徒さんも多いと思いますし、大学生は既に夏休みに入っているのかな・・?
そうした夏休みというというまでもなく真夏の暑さ・酷暑との戦いでもありますけど、以前の記事でも書いた通り
私自身は夏生まれという事もあり暑いのはいくらでも我慢ができるというかむしろ夏のあの暑さは快感でもあったりするの
ですけど、それでも時折「この暑さはなんとかならないの~?」とぼやきたくなる時もあったりします。
今現在は7月下旬なのですけど、この異常な暑さが一体いつまで続くのか・・? 9月の残暑まで続くのかとか
もしかしたら暑い状態が秋まで続き、秋が感じられないまま冬に突入していくという可能性を考えると、
日本のこれまでの「美しい四季の国」という概念は近未来においては存在しないのかもしれないという事なのかも
しれないですね。
こうした暑い時は「涼しい音楽でも聴いて気持ちだけでも少しは涼みたい」と思ったりはするものの、
「真夏の暑さを吹っ飛ば涼しさ溢れる音楽なんてあったっけ・・??」という感じも実はあったりもします。
それでも気持ち的に多「涼しさを感じさせる曲を少しばかり列挙させて頂きますと・・
〇ヘンデル/水上の音楽
〇メンデルスゾーン/序曲「フィンガルの洞窟」
〇 同 / 序曲「静かな海と楽しい航海」
あたりかな・・??
だけど今一つどれも決定打に欠けるような感じもしますね。
吹奏楽オリジナル作品においてはそうした涼しさを感じさせる曲って何かないのかな・・?
吹奏楽オリジナル曲は、基本的にはほとんどの作品が「管楽器の華やかな響き」を全面に出した曲ばかりなので
ヒートアップする曲ばかりというイメージですし、あまり涼しいイメージの曲はないのかな・・?と思っていたら
一つだけ思い当る曲がありました。
それが何かと言うと、V.パーシケッティーの「ああ、涼しい谷間」です。
パーシケッティーというと日本ではほとんど忘れられた存在かもしれませんが、私は大好きな作曲家の一人で
「あなたの大好きな吹奏楽オリジナル作品を挙げなさい」という質問をされたとしたら、
「吹奏楽のための仮面舞踏会」と交響曲第6番「吹奏楽のシンフォニー」は確実にランクインするくらい
大好きな作曲家の一人です。
パーシケッティーというと、この交響曲第6番と仮面舞踏会の他には、
〇吹奏楽のためのディヴェルティメント
〇ページェント
〇吹奏楽のための聖歌
〇コラール前奏曲「汝、振り向くなかれ・・・」
〇吹奏楽のためのパラブル
あたりがいいですね。
「ああ、涼しい谷間」なのですけど、実はこの作品は非常に地味な曲です。
金管楽器・打楽器はほとんど活躍しませんし、曲全体が大変静粛に包まれ終始ゆったりとしたスピードで展開されます。
冒頭のクラリネットによって演奏される涼しげでひそやかなメロディーが色々な楽器によって変奏・展開されていき、
途中一か所だけ高らかに盛り上がる部分がほんのわずかにある以外は終始静かでおとなしい内省的な曲と言えます。
速度もアレグロの部分は一つも無く、終始ゆったりとしたテンポを維持しています。
この曲で使用される打楽器は、ティンパニ・小太鼓・サスペンダーシンバルだけですけど、
打楽器はほとんど見せ場はありません。
木管主体の一つのコラール楽曲ともいえる「ああ、涼しい谷間」は聴いていて心が癒されますしホッとするものがあります。
とにかく「美しい」以外の言葉しか出てきませんし、夏の暑い時に気分的にイライラしたり、ストレスが溜まっていたり
する時に対するすてきな癒し効果のある曲と言えるのは間違いないと思います。
真夏の暑い日に聴いても、おそらく「カリカリ・イライラ」することは間違いなくないと思います。
「イライラした気持ちをすーーーっと静かに穏やかにさせてくれる不思議な曲」としかいいようがない曲ですし、
日本ではほとんど知られてもいませんし演奏されることもほぼ皆無で「知る人ぞ知る名曲」という感じですけど。
私は大好きな曲です。
黙って目を閉じて聴いていると、そこから聴こえてくるのは涼しい風の声と言えそうな曲なのだと思います。
「ああ、涼しい谷間」は、ジョイスという作家・詩人が出版した詩集「室内楽」を霊感を受けてパーシケッティーが
作曲をしています。
その詩の内容を一部列挙すると・・・・
「いま、あの谷間が涼しいから
恋人よ、出かけてみよう
大勢のコーラスが唱っていから、いつかエロスの神々も行った所だ。
ツグミの呼ぶ声が聞こえるか・・・
僕たちをよんでいるのか・・・
あの谷は涼しく楽しい。
さあ、恋人よ、ここで遊ぼう・・・」
確かにこの詩の雰囲気とパーシケッティーの音楽はどこか通ずるものがあるのかも・・?という事なのかもしれないです。
パーシケッティーの作品は、フェネル/東京佼成をはじめ、アメリカ国内にも意外と多くの録音が残されていて
私はとても嬉しいです。
特に、アモス指揮/ロンドン交響楽団管楽器セクションによるCD集はかなり貴重な録音だと思います。
この「ああ、涼しい谷間」なのですけど、
日本においては、汐澤安彦指揮・東京アカデミーの演奏が大変印象に残っています。
この曲の他に、シンフォニア・ノビリッシマ、兼田敏/パッサカリア・ネリベル/フェスティーヴォ
モーツアルト/フィガロの結婚序曲などが収録されたいたと思います。
「ああ、涼しい谷間」が収録されている汐澤安彦指揮のレコードは、現在は既に廃番でCD化もされておらず、
幻の音源となっているのですけど、あのレコード、出来ればCDとして復刻してほしいと思います。



パーシケッティーの「ああ、涼しい谷間」なのですけど、
プロの吹奏楽団の生演奏とか吹奏楽コンクールでの上手いチームの演奏は聴いたことがありません。
というか、コンクールで演奏するには、盛り上げるに欠けるし曲自体音が大変薄くかかれていますので、
吹奏楽コンクールで演奏される事はまず無いと思います。
この「ああ、涼しい谷間」は、実は一度だけ吹奏楽コンクールで生演奏で聴いたことがあります。
私が中学3年の時の中学最後のコンクールの県大会で、私達の学校の前の学校の出場チームがこの曲を演奏していました。
吹奏楽コンクールというのは、自分たちの一つ前の出場チームの演奏は舞台裏で聴く事がほとんどです。
そして一般的に言えることは、自分達の一つ前の演奏チームの演奏はとても気になるものですし、
どんな演奏をしていてもかなり上手く聴こえてしまう傾向にあったりします。
ましてや、課題曲や自由曲が被ってしまった場合はそうした傾向が強いのだと思います。
私の中学最後のコンクールでの前の団体の課題曲は、D/オーバー・ザ・ギャラクシーで、
私たちの学校はCの北海の大漁歌でしたので、被りはしませんでしたけど、
自由曲の「ああ、涼しい谷間」のあの清らかなコラールはとても印象に残っていますし、本番直前なのにああ、涼しい谷間の
演奏に聴きほれてしまっていて、次が自分たちの演奏という事すらも忘れてしまい、結果的に緊張感やプレッシャーを
和らげてくれていたような感じもあったりします。
改めてですけど、吹奏楽コンクールの本番って、本当に緊張しますね・・
一番緊張する瞬間と言うのは、やはりうす暗いライトの中で、打楽器等のセッティングを行い
ライトがパッ・・・と明るくなり
「プログラム××番 京都府代表 県立北宇治高校吹奏楽部、 課題曲Ⅳ マーチ「プロヴァンスの風」に続きまして
自由曲は、三日月の舞」などとアナウンスが流れる瞬間なのかもしれないですね。
ただ「三日月の舞」は打楽器パートは大活躍する派手な曲でもあったりしますけど、「ああ、涼しい谷間」の打楽器パートは
使用される打楽器はティンパニ・小太鼓・サスペンダーシンバルのみで目立つ箇所は皆無ですので、
打楽器奏者はヒマ死にしそうです・・
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