ヴァイオリンの奏法の基本は言うまでも無く弓の毛を弦でこする事なのですけど、それ以外の奏法の一つとして
挙げられるのが「ピッツィカート」だと思います。
ピッツィカートとは弦を指ではじくことによって音を出す演奏技法の事です。
ヴァイオリンの場合、ピッツィカートは弓を持つ右手で弦をはじくことが普通ですけど、例外的に
本来は弦を押さえる左手で弦をはじくという左手のピッツィカートを導入したパガニーニや
弾く際に弦を指板と垂直に強く引っ張って離して弦を指板にぶつけるバルトーク・ピッツィカートという奏法もあったりもします。
ピッツィカートは指でポン!と弾く感じなのですけど、弦のどの部分を弾くかによっても、はたまたどの指で弾くかによっても
音色は微妙に変化しますので、そのあたりは指揮者の好みも反映されるのかもしれないです。
ピッツィカートの弾けるようなポン!という音色で曲が開始される曲としては、メンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」の
第一楽章を挙げたいと思いますし、ピッチカートはピッチカートでもバルトーク・ピッツィカートみたいな感じで
激しく叩く事で何やら不気味な雰囲気を醸し出している曲の事例としてマーラーの交響曲第7番「夜の歌」~第三楽章を
挙げたいと思います。
そうしたピッツィカートの奏法でもって一つの曲または一つの楽章を構成したという珍しい楽曲も稀にあったりします。
そうした曲として思い浮かぶのが一つがチャイコフスキーの交響曲第4番~第三楽章であり、
もう一つがL.ドリーブのバレエ組曲「シルヴィア」 ~Ⅲ.ピッツィカートだと思います。
チャイコフスキーの交響曲第4番~第三楽章は、コントラバスの超低音からヴァイオリンの高音まで、そして弱奏でも強奏でも、
ピッツィカートで楽章全てを駆け抜けていきます。
更に面白い事に弦楽器のピッツィカート、木管合奏のピッツィカート、金管合奏のピッツィカートがそれぞれ独立して演奏され、
最後にはそれら全てが一つになって融合するオーケストレーションの巧さは素晴らしいと感じます。
ドリーブのバレエの方のピッツィカートも大変面白いですし、とても楽しいです。
バレエ音楽というと、私自身としては、チャイコフスキーの三大バレエ(くるみ割り人形・白鳥の湖・眠りの森の美女)とか
ストラヴィンスキーの三大バレエ(火の鳥・ペトルーシュカ・春の祭典)というように ロシアというイメージがあるのですけど、
フランスのバレエ音楽も繊細で美しくて、ロシアバレエとは別の魅力もありどちらも素晴らしいと思います。
そうしたフランスバレエというと忘れてはいけない作曲の一人がL.ドリーブだと思います。
ドリーブはフランス・バレエ音楽の父とも称されていて、迫力や壮大さよりもむしろ優美で繊細な舞台音楽を残した事でも
知られています。
吹奏楽コンクールにおいて、ドリーブというとバレエ音楽「コッペリア」だと思います。
1985年に中村学園が全国大会で初めてこの曲を自由曲として取り上げ、マズルカ-ワルツ-チェルダッシュという構成も
巧みで編曲が大変優れている事もあり、翌年以降今日に至るまでコッペリアは定番自由曲の一つにもなっていると
思います。
中村学園の功績は、吹奏楽の世界における女子高チームのパイオニア的存在であり、コッペリアと1986年の自由曲でもあった
バレエ音楽「バリの喜び」を世に知らしめたという事が大変大きいと思ったりもします。
現在の吹奏楽コンクールにおける女子高の雄の一つが福岡県の精華女子なのですけど、中村学園も福岡の女子高である事を
考えると、福岡の女子高の偉大さを痛感せずにはいられないです。
ドリーブとチャイコフスキーは、何となくチャイコフスキーの方が大先輩のような感じもするのですけど、
実際は逆にチャイコフスキーの方がドリーブのバレエ音楽から影響を与えられた側面も多少はあったようでして、
チャイコフスキー自身はドリーブのバレエ「シルヴィア」を絶賛し、知人タネーエフに
「もし私がもっと早くこの作品を知っていたら、私は白鳥の湖を作曲しなかっただろう」と語ったエピソードが残されています。
ドリーブの「コッペリア」と「シルヴィア」は上記で触れた通り、 吹奏楽コンクールでは頻繁に演奏される人気曲の一つ
なのかもしれませんけど、 プロの管弦楽の演奏会ではあまり演奏されないようにも思えます・・・
私自身、この両曲の生演奏は新日本フィルの演奏以外聴いたことがありません。
特に「コッペリア」のマズルカ・ワルツ・チェルダッシュや「シルヴィア」のバッカスの行列は聴いていて本当に楽しい曲ですし
子供向けのファミリーコンサートには最適な曲だとは思いますので、もっと演奏頻度が上がってもいいような気もします。
バレエ音楽「シルヴィア」なのですけど、バレエの大筋はギリシア神話から題材を取っています。
ストーリーを簡単に記すと・・・・
羊飼いの青年アマンタが美しい妖精シルヴィアに恋してしまいます。
しかし、妖精と人間の恋愛はご法度で絶対的に禁じられた恋でもあります。
そんな二人を愛の神エロスが何とかしようと画策する中で、
悪しき狩人のオリオンがシルヴィアを奪い自分の洞窟にお持ち帰りをしてしまいます。
拉致されたシルヴィアはオリオンをお酒で酔いつぶし、 その隙にキューピットに助けられて洞窟から逃亡を図ります。
最後は愛の神エロスのとりなしにより、めでたくシルヴィアとアマンタは結ばれ めでたく結婚することになるといった
お話でもあります。
全体的に暗い影も無く明るく楽しい作品でハッピーエンディングで終るところがいいですね。
全体的な印象としては、平凡な普通のお話なのですけど
その意味では、「人形」をバレエの世界に持ち込み、人形を初めてバレエの主人公にしてしまった
「コッペリア」の方が斬新と言えるのかもしれまないです、
考えてみると、人形が主人公のバレエと言うと、圧倒的に有名なのはストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」なのですけど、
そうした意味ではドリーブはストラヴィンスキーの先駆者的存在だったのかもしれないです。
もっともドリーブの音楽はストラヴィンスキーのような過激・野蛮・ワイルドさとは全く別次元の洗練された平和な音楽です。
このバレエは、四つの曲から構成される組曲版としての方が音楽としてはお馴染みなのかもしれないです。
この組曲は下記の四曲から構成されています。
Ⅰ.前奏曲と狩の女神
Ⅱ.間奏曲とゆるやかなワルツ
Ⅲ.ピッツィカート
Ⅳ.バッカスの行列
Ⅰは、全体的にホルンが大活躍を見せていますね。冒頭のトランペットのファンファーレと絡むティンパニが格好いいです。
Ⅱは、いかにも抒情的なバレエの調べという感じで、主役がソロをゆったりと踊っているシーンが目に浮かんできそうです。
Ⅲのピッツィカートは前述のチャイコフスキーの交響曲第4番第三楽章のように
とにかく全体を弦を爪でポンポンと弾くピッツィカート奏法をかなり効果的に使用しています。
シルヴィアは以前Eテレでハイライトを放映した事があったと思いますが、 「ピットカート」の部分はバレリーナがソロで
可愛らしく可憐に踊っていたような記憶があります。
Ⅳは、とにかく楽しい曲で、ⅠのメロディーがⅣで再現されています。
トランペットの勇敢なファンファーレがかっこよくて、ラスト近くで一旦静まりかえり、そこからティンパニのソロが展開され
華麗に曲が閉じられますが、この際の金管セクションの和音の響」が実に見事にハモっていて、ドリーブのセンスの良さを
感じさせられます。
フランスのバレエ音楽と言うと、例えばラヴェルの「ダフニスとクロエ」みたいな豪華絢爛な音の絵巻を思い出してしまいますが、
こういうシンプルだけど楽しい曲も素晴らしいと思います。
吹奏楽コンクールの全国大会においては、シルヴィアはコッペリアよりははるかに演奏頻度は下がりますけど、
過去にいくつかのチームが自由曲として演奏をしています。
吹奏楽コンクールではⅣのバッカスの行列を選ぶことが多いのですけど、中には、1999年の松山南高校のように
ⅠとⅢのピッツィカートとⅣのバッカスの行列を組み合わせた珍しいパターンもあったりします。
そして松山南高校のピッツィカートは、当時私も普門館であの演奏を聴いていてびっくりしたのですけど、
あの弾ける感じをメインで奏でていたのはクラリネットではなくてマリンバ奏者でした!
松山南のⅢのピッツィカートは全体で1分程度の短いものでしたけど、それをマリンバ奏者がまるで協奏曲のように
ほぼ一人でメロディーラインを奏でていて、当時は聴いていて、多少の違和感はあったものの、それはそれで大変ユニークな
表現と感じましたし、あのマリンバ奏者は当日のソリスト賞を贈呈したい気持ちでもありました。
松山南高校吹奏楽部は、「出場すれば銅賞」とも揶揄されがちな四国代表チームとしては珍しく(?)銀賞という評価にも
なっていましたけど、あの評価は確かに銀と銅のボーダーラインだったのかもしれないですけど、
マリンバ奏者の奮闘にも救われたという印象もあったりしたものでした。

ららマジのヴァイオリン奏者の九条紗彩は高校1年生の女の子です~♪
自分に厳しく人にも厳しいプロ意識の高いヴァイオリン少女 という設定です。
自分にも周囲にも厳しいため、一見わがままだと誤解されることもありますけど、根は優しくて世話好きでもあります。
極度の照れ屋で自分の気持ちを素直に表現できないという事で、ららマジの中ではツンデレの一人と
言えそうです。
九条紗彩はヴァイオリンのプロを目指しており、神童と呼ばれるフルート奏者の菜々美に密かな憧れやライバル心を
抱いてもいます。
薄いバイオレットのロングヘアーですけど、おでこの露出がなんだかとてもかわいいです。
こういうおでこをしたツンデレ気味の美少女JKさんにデコビンを食らわしてやったら、その反応はなんだか
「私、気になります・・」という世界になりそうです・・

夕陽に佇むサンセット九条紗彩はとても美しいです~♪
九条紗彩のヴァイオリンというと優雅という印象もありますけど、L.ドリーブのバレエ組曲「シルヴィア」 第Ⅲ曲のピッツィカート
で弾ける雰囲気の九条紗彩も見てみたいな~という想いもありますね。
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松山南高校の演奏、youtubeで聴いていました。マリンバが効いていますね!。全体としても、なかなかいい演奏ですね。四国勢はなかなか、全国大会の厚い壁に、金賞を阻まれている感じがありますよね。