本日は3月16日ですけど、おそらくはあと数日の間に桜の開花宣言や各地で桜が満開というニュースが
溢れるかとは思いますが、それにしても20世紀の頃の南関東での桜の開花宣言というと3月下旬ころだったと思いますが、
最近では3月の中旬というのがごく当たり前になりつつあり、地球の温暖化を考慮すると桜の開花もどんどん前倒しに
なっていくのかもしれないですね・・
昨日の当ブログ記事は「春」のイメージに相応しい吹奏楽コンクール課題曲マーチを取り上げさせて頂きましたので、
本日もそれに関連して「桜」に関連した吹奏楽オリジナル作品について少しばかり触れさせて頂きたいと思います。
「桜」に関連がありそうなクラシック音楽というと、ハワード・ハンソンの交響曲第5番「シンフォニア・サクラ」というタイトルを
初めて耳にした時、「日本の桜となにか関連があるのかな・・?」と思ったのですけど、実は全然関係が無くて、
この交響曲は宗教的な色彩が濃厚な曲であったりもします。
桜にまつわる吹奏楽作品というと色々とあったりもします。
少しばかり挙げさせて頂きますと・・
1.福島弘和 / 桜華幻想
福島弘和というと、ラッキードラゴン 〜第五福竜丸の記憶 や吹奏楽コンクール課題曲の稲穂の波や道祖神の詩でも
既に馴染み深い方だと思います。
そしてこの桜華幻想は、2005年3月に群馬県立前橋東高校の委嘱を受けて作曲されました。
「和風な曲」という委嘱に当たってのリクエストがあったそうで、この和風から「桜」をイメージしてこの曲を作られたとの事です。
作曲当初は桜そのものを表現するつもりだったそうですが、桜を眺める人の心を描いてみようという意図も加わったとの
事です。
「花開く桜の姿が生きる力を呼び起こす」と作曲者は述べられていますけど、この「生きる力」というのは、
桜がひらひら散っているイメージの序奏から力強いテーマが続いていくことからも窺えると思います。
この曲は前橋東高校も吹奏楽コンクールの自由曲として演奏し西関東大会にも出場していますし、既にたくさんのチームが
この曲を自由曲として演奏しています。
2018年末時点で桜華幻想を自由曲にしての全国大会出場チームはありませんので、今後が楽しみでもあります。
2.A.リード / 交響曲第5番「さくら」
洗足学園大学創立70周年記念委嘱作品で、1995年に浜松で開催された第7回世界吹奏楽大会で初演されています。
3楽章からなる交響曲で、第2楽章では日本の童謡とも言える「さくら、さくら」の旋律がゆったりと情緒たっぷりに
展開されていきます。
(これまた話はそれますけど、1982年の秋田南高校の自由曲の「パロディー的四楽章~Ⅳ.ルーセル」は
バルトークの舞踏組曲のフレーズを主にネタにされていますけど、曲の中盤や終盤においてさかんに引用されているのが
実は「さくら、さくら」のフレーズであったりもします。)
この交響曲はリード自身が洗足学園大学を指揮した自作自演CDにも収録されていて、他の収録曲としては
アルメニアンダンスパートⅠとミュージックメーカーズが見事な演奏を聴かせてくれています。
リードの組曲は、第二組曲「ラティーノ・メキシカーナ」・第三組曲「バレエの情景・第四組曲「シティ・オブ・ミュージック」・
第五組曲「インターナショナル・ダンス」などは演奏頻度も高く、馴染み深い感じはあるのですけど、
リードの交響曲は、計5曲作曲されているもののいずれも組曲ほどの認知度と人気は無いような印象もあります。
リードの交響曲の最大の特徴はどのシンフォニーも基本的には三楽章構成で、例えば交響曲第2番のように12音技法を
曲に取り入れている事もあったりして、組曲や序曲のような誰が聴いてもわかりやすいという感じではなくて、
むしろかなりシリアスさを感じさせてくれていると思います。
私的にはこの5曲の交響曲の中で特に技術的に巧みと感じられるのは交響曲第3番だと思います。
緊張感に溢れる第一楽章と楽しさ満開で映画音楽っぽくもある第三楽章に挟まれた第二楽章は、
ワーグナーの「ポラッツィの主題」に基づいた変奏曲と題されてもいますけど終始ゆったりとした響きになっています。
1989年の東北大会でダメ金になった秋田南高校の自由曲はリードの「パルシファルヴァリエーション」とプログラムでは
表記されているようですけど、このパルシファルヴァリエーションというのは交響曲第3番第二楽章の事なのでしょうか・・?
秋田南の1989年の演奏は私も一度も聴いたことが無いもので、その点は未確認です。
誰かそのあたりをご存知の方がいらっしゃれば教えて頂ければ幸いです。
3.さくらのうた(2012年全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅰ)
2012年の全国大会の高校の部において「さくらのうた」を課題曲に選んだチームは習志野高校だけであり、
全部門としてもこの「さくらのうた」を課題曲に選んだチームはわずか7チームに留まっています。
課題曲としては珍しい終始ゆったりとしたテンポの上に、わかりやすいハーモニーが展開されるという事で
ポロが出やすいし、この年は他に課題曲として演奏効果が出しやすい曲が多かったという事が
不人気だったような理由になっている気感じがあります。
作曲者の福田洋介は2004年の課題曲Ⅰ吹奏楽のための「風之舞」でも有名ですけど、この年はちょっと不遇でした。
この「さくらのうた」から感じ取れるのは桜の華やかさだけでなく、桜の散り際の儚さもかなり伝わってきていると思います。
他に吹奏楽作品で「桜」がモチーフとなっている作品として、
中橋愛生/閾下の桜樹~吹奏楽のための
高昌帥/桜花の光跡
天野正道/花の香 桜~桂花~薔薇が挙げられますけど、上記の三曲は私的にはあまりピンと心にくる曲ではないので、
今回は割愛させて頂きたいと思います。
余談ですけど、リードの交響曲第5番「さくら」~第二楽章では「さくら、さくら」のメロディーが朗々と響き渡りますけど、
この「さくら、さくら」の旋律を課題曲として執拗に引用した曲も実はあったりもします。
上記で2012年の課題曲Ⅰ/ さくらのうたは不人気課題曲と記しましたけど、7チームも全国で選曲してくれるチームがあったのは
幸いなのだと思います。
吹奏楽コンクールの歴史において、全国大会において全部門を通して1チームも演奏されることが無かった曲も実は
あったりもします。
しかもその課題曲は「さくら、さくら」がかなり執拗に引用され、曲の中に手拍子も入っていたりもします。
そうした「桜」をテーマにして日本の「さくら、さくら」を執拗に楽曲の中に組み込んでいるのに支部大会でも全国大会でも
ほとんど課題曲として選曲されていなかったのが1978年の課題曲Bで、マスク・カディッシュ等でお馴染みのマクベスが
作曲した「カント」です。
この課題曲こそは長い吹奏楽コンクールの歴史の中で「これぞ最大かつ究極の不人気課題曲」といえそうです。
1978年の課題曲は、極端に課題曲Aにばかり人気が集中する結果になってしまいました。
吹奏楽連盟は、当時の吹奏楽オリジナル曲としてはかなりの人気を誇っていたジェイガーとマクベスという
二人の巨匠に吹奏楽コンクール課題曲を委嘱したものの、その結果は、
なんと、マクベスの課題曲B/カントは、全国大会で演奏したチームは全部門を通して0チームという結果になってしまい、
「歴史に残る人気の無い課題曲」となってしまいました!
支部予選でもカントはほとんど演奏されませんでしたし、
聴いていても「さくら、さくら」がやたら引用される何を言いたのかさっぱり分からん曲・・・という感じでしたから
人気が無いのは仕方が無かったですね・・・・
当時の吹奏楽連盟としては、
「マクベスという大先生に恥をかかせてしまった!」みたいな「やっちまった感」はかなりあったのかもしれないです・・
この年の高校の部は、22団体中、実に18チームがこの「ジュビラーテ」を選んでいました!
あまりにもAのジュビラーテに人気が集中し過ぎるせいで
A以外の課題曲Cとか課題曲D/行進曲「砂丘の曙」を選ぶチームも少なくとても気の毒な感じもしました。
課題曲C/ポップス変奏曲「かぞえうた」は、もしも他の年ならばもう少し取り上げるチームも増えただろう事を考えると
勿体無い気はいまだに感じたりもします。
ちなみにですけど、1978年の全国大会にはジェイガーとマクベスも招待されていたと聞いたことがありますが、
ジェイガーは「してやった顔!」という感じで、
マクベスは「ジェイガーにこんなにも差を付けられてしまった・・」みたいな不本意感はあったのかもしれないですね・・

最後に・・吹奏楽とは関係のない話ですけど桜というと私的には桜ミクフィギュアが大変印象的です~♪
桜ミクフィギュアは最近は毎年毎年プライズ系でもメーカー正規品でも新作が登場していて、その素晴らしい完成度の高さには
目を見張るものがあります。
桜ミクとは髪や衣装がピンク系で、桜の化身のような装いの初音ミクであり、
雪ミクが冬、雪をモチーフとしていることを受けて、春のモチーフである桜が全体にあしらわれています。
雪ミクと同様にすでにたくさんの立体化商品が世に出ています。
ちなみに上記の桜ミクは2019年の桜ミクのプライズ系フィギュアです。
プライズ系でも完成度はかなり高いですし、桜ミクらしい華やかさに溢れていると思います~♪
見上げるようなポーズやさくらんぼのアクセントがとっても可愛いフィギュアになっていますし、
雪ミクの純白さとは対照的に全体が桜の季節に相応しいピントーンに包まれた桜ミクだと思います。
これから桜の季節になりますけど、桜の木の下で並べて飾っておきたいぐらいの素晴らしい出来映えだと思いますね~♪
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パロディ的四楽章は、東京ニューシティ管弦楽団の定期演奏会で生演奏を聴きました(2015年1月)。
都合でこの曲だけ聴いて移動することになりましたが(^^;)。
さくらさくらを使った楽曲は多いですが、これが一番かっこいいと思います。
パルシファル・ヴァリエーションですが、拾い物の音源ではポラッツィでした。
ワーグナーの自筆譜で使われていたインクがパルシファルでも使われていたぐらいしか接点がないようでして、なぜパルシファル・ヴァリエーションという名前にしたかは謎ですね。
カントですが、マクベスはコンクールが初見コンクール・初級者用コンクールのようなものを考えてたという話をどこかで読んだ記憶があります。
当時日本ではマクベスはよく演奏されていたので、もっとちゃんと調べてもらいたかったような気がします。
ちょうど先日、珍しい参考演奏以外のカント音源をYouTubeで見つけてたのでリンク貼っておきますね。
神奈川大学吹奏楽部(!!)の1978年のサマーコンサートです。
URL欄に貼っておきます。
この年からコンクールは小澤先生が振られるようになってますが、演奏会は1曲を除いて学生指揮者と思われます。
ちなみに、その1曲は遠山詠一先生客演によるチャイコの4番の第4楽章です。ご自身が振られてた浜松工業もこの年にやってました。
ちなみに(2)、残り3曲も演奏されてます。カントの前に砂丘の曙、後にかぞえうたとジュビラーテ。
ではでは。