クラシック音楽や吹奏楽で使用される打楽器の一つであるシンバルは、
楽曲のクライマックスや激しく盛り上がる部分でバシャーン!と派手に壮麗に鳴り響く事が多いのですけど
あれはかなりの演奏効果があると思います。
シンバルと言うと、種類としてはドラムセットで必ずセットされているハイハットシンバルやドビュッシーが好んで使用した
古代シンバルやロールの響きが大変印象的なサスペンダーシンバルといったものがありますけど、
管弦楽団の演奏会や吹奏楽コンクールにおいてシンバルのイメージというと
打楽器奏者が両手に約40㎝程度の黄銅色の円板を激しく打ち合わせるという感じがしますが、
これは一般的には「クラッシュ・シンバル」(または合わせシンバル)と呼ばれています。
(錫と銅の合金から構成されていて、その配分比率は音色にも微妙に影響するそうです)
クラッシュシンバルは基本的には、片方を上から下へ、もう片方を動かし、こすらせるようにして打ち合わせます。
非常に小さな音から一打ちでオーケストラや吹奏楽団全体をも制するほどの大きな音まで出すことができる表現力を
秘めています。
クラッシュシンバルは全般的には曲のクライマックスや「ここぞ!」と最大限盛り上がる際に派手に打ち鳴らされると
大変な視覚的効果と聴覚的効果があると思います。
(打楽器において最も絶大な視覚的効果がある曲の一つが、マーラーの交響曲第6番「悲劇的」~第四楽章における
ハンマーの叩きつけが挙げられると思います)
そしてクラッシュシンバルは基本的には全体が派手に強奏で演奏されている時に、他の楽器と一緒に響くことがほとんど
なのですけど、稀にシンバルが単音というかソロに近いような状態で単独で打ち鳴らされることもあったりします。
そしてそれが曲の開始の冒頭でシンバル完全ソロで始まるとされると、シンバル奏者にとっては大変緊張とプレッシャーが
あるのだと思うのですけど同時に演奏し甲斐もあると思われます。
そして曲の冒頭部分でシンバルソロによる一音で開始される曲で大変印象的な曲として、吹奏楽コンクールの課題曲では
あるのですけど、1982年の課題曲D/サンライズマーチを挙げたいと思います。
サンライズマーチですけど、シンバル奏者にとってはかなりプレッシャーがかかる曲だったかもしれないです。
冒頭がいきなりシンバルのffで「バシャ―ン!!」という一撃から開始されるのですから
シンバル奏者にとっては大変神経を使う曲だったと思いますし相当緊張する課題曲だったと思います。
実際、地区予選とか県大会とかで下手くそなチームがこの課題曲Dを選曲し
シンバル奏者がミスったり、しょぼい音を出したり、スカッと空振りに近い音を出したこともありましたし、
ジャーン!!という豪快な音ではなくて「ぼしゃーん」というへんちくりんな音を出したりと当時は色々と珍演が
続出していたものてした。
別に擁護する訳ではないですけど、コンクール課題曲でにおいてソロで開始される曲とか
非常に音が薄く書かれた部分から開始される曲とか弱奏で開始される曲というのはかなり難しいと思いますし、
指揮者にとっても奏者にとっても「やりにくい・・」という感じなのだと思います。
強奏の出だしの場合、正直誰か一人ぐらいミスっても全然ごまかすことは可能なのですけど
ソロとか音が薄いと誤魔化す事自体が至難の業という課題曲もあったと思います。
その意味では、例えば1992年の課題曲A/ネレイデスとか1992年の課題曲B/フューチュリズムとか
1981年の課題曲A イリュージョンとか 1983年の課題曲C/カドリーユとか1988年の課題曲A/深層の祭りとか
1996年の課題曲Ⅰ/管楽器のためのソナタとか2000年の課題曲Ⅲ/胎動の時代の冒頭は
かなり指揮者泣かせでもありましたし奏者泣かせの課題曲の一つだったと思います。
1982年の課題曲D/サンライズマーチは演奏するチームによって表現は全然異なっていたと思います。
例えば亜細亜大学のように豪快で押して押して押しまくる「前進あるのみ!!」の演奏も大変印象深かったですし、
就実高校のように金管ではなくて木管主体の演奏として表現したチームもありましたし、
福岡工大付属高校のように「正統派マーチ路線」みたいなスタイルもありました。
どの演奏もすてきなな「サンライズ・マーチ」でしたけど
就実高校みたいに「爽やかで清楚なサンライズマーチ」も全く別の意味での「新しい可能性」を感じさせる演奏であり
私は今でもこの演奏は大好きです!
ちなみにですけど、就実高校の村松先生は練習時に、トリオの部分をより奏者にイメージさせるために
「青く光る空~ 輝く太陽」などみたいに歌詞を付けて奏者たちに歌わせていたというすてきなエピソードも残されています。
厳密に言うと曲の冒頭ではなくて第二楽章の冒頭のシンバル完全ソロ曲ではあるのですけど、芥川也寸志の
「交響管弦楽のための音楽」~第二楽章の冒頭も大変印象的です。
静粛で無機質なリズムの反復の多い第一楽章が終わって第二楽章が開始される際にさの冒頭で、
シンバルが単独でジャーンと打ち合わせられる所から開始され、金管楽器の大変印象的なファンファーレ風なメロディーへと
連なっていくのですけどあのシンバルは目立ちますしとてつもなくかっこういいです!
第一楽章の静粛さの中でほとんどの打楽器奏者は休止状態なのですけど、第二楽章で唐突にシンバルのジャーン!という
壮麗な一音から開始されますので、シンバル奏者は第一楽章の間も出番待ちという事で、相当な重圧が掛かっているのかも
しれないです。
曲や楽章の冒頭の完全ソロではないのですけど、天野正道/交響組曲第2番「GR」のラスト近くでシンバルがソロ的に
「ジャーン」という打ち鳴らしも大変印象的です。


「ららマジ」でシンバルを担当するのは強心臓中学生の伊藤萌です~♪
伊藤萌はシンバルを担当しているクールで小さな中学3年生の女の子で、中学生ですけど東奏学園の器楽部でJKのお姉さまと
一緒に音楽を楽しんでいます。
クールな性格の後輩で、「・・・くるしゅうない、です。」など変わった口調でしゃべるのが個性でもあります。また落語を聞くのが
趣味というJCさんにしては大変珍しく渋い趣味を持っていたりもします。
先輩の小田桐アミを師と仰ぎアミのことを「師匠」と呼び慕っているのですけど、実を言うと小田桐アミは元々は
器楽部のシンバル奏者だったのですけど、シンバル奏者は時に「ここで怒涛の一撃を決める!」みたいなプレッシャーを
時に伴いますので、その重圧に耐えきれず、シンバル奏者の地位を後輩の伊藤萌に譲ったという経緯もあったりします。
そして小田桐アミはその後シンバルからピッコロ奏者にパート変更をしています。
アミがいなくなったシンバルは伊藤萌に継承されていますけど、伊藤萌は見た目の少し控えめな雰囲気とは全く異なり、
大変な強心臓の持ち主でプレッシャーに大変強く、「ここでシンバルの強烈な一撃が必要」という時にはしっかりと確実に
決めてくれる頼もしいJCさんであったりもします。
活発だけど小心者なアミと大人しいけど強心臓な萌の対比もとても面白いですね~♪
サンライズマーチや交響管弦楽のための音楽などのような冒頭にシンバルの完全ソロがある曲は、小田桐アミよりは
プレッシャーに強い強心臓の持ち主の伊藤萌のほうが相応しいといえそうですね~♪
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シンバルの一音を外してしまうと、たとえ次に来るトランペットの輝かしいファンファーレが決まったとしても
相当印象は悪くなる気がします。
サンライズマーチの名演はやっぱり亜細亜大学に尽きると
思います!