吹奏楽コンクールの課題曲のマーチにもたくさんの名曲がありますけど、「このマーチはぜひ演奏してみたいね!」と感じさせる
すてきなマーチもたくさんあると思われるのですけど、実を言うと10年間の現役奏者時代に出場した10回の吹奏楽コンクールに
おいて私自身マーチを演奏したことは一度もありません・・(泣)
当時在籍していた吹奏楽部は中学・高校・大学の時も伝統的に「課題曲はマーチを選ばない」というポリシーのチームで、
毎年毎年ジュビラーテ・カドリーユ・土俗的舞曲・波の見える風景・風紋といった書下ろしの作品のみ演奏し、
正直私自身「一度ぐらいコンクールでマーチを吹きたかったなぁ・・」と感じた事は何度もあったものです。
在籍中に波の見える風景・風紋といった吹奏楽コンクール課題曲の中でも名曲中の名曲を演奏することができたのは、
大変ありがたい事ではありましたけど、たとえば、オーバー・ザ・ギャラクシーとかテイク・オフとかハロー! サンシャインや
エイプリル・メイや五月の風とかレィディアントマーチは演奏してみたい気持ちは強いですね~!
特に現役時代と被っていた1987年のマーチ「ハロー!サンシャイン」はとにかく大好きなマーチでしたので、この曲だけは
ぜひ演奏したかった!という思いは実はいまだにあったりもします。
(87年というとこの年の課題曲Aが「風紋」というこれまた大変な名作でもありますので、当時の気持ちとしては、
課題曲にハロー! サンシャインを演奏して自由曲に風紋でも別にいいじゃん!とすら当時は思っていたものでした・・)
1981年の課題曲C / シンフォニックマーチも演奏時間2分55秒と大変短いながらも、溌剌とした正攻法の王道的なマーチであり、
この課題曲も当時は大好きでした!
私の高校の吹奏楽部は、当時は毎年部員の中から指揮者を選出し、
生徒たちだけによる「完全な手作りの音楽」・「手作りのコンクール」というものを実践していて
課題曲も自由曲も指揮者の一存ではなくて部員全員の意見を聞いた上での多数決による決定という事をしていた学校でした。
この年の課題曲は
A イリュージョン
B 東北地方の民謡によるコラージュ
C シンフォニックマーチ
D 行進曲「青空の下で」
という4曲でしたけど、誰がどう聴いても抜きん出ていたのは課題曲B/東北地方の民謡によるコラージュだったと思います。
私自身は今現在でもこの年の課題曲B/東北地方の民謡によるコラージュはとっても大好きで、
過去の吹奏楽コンクールの課題曲というと、
87年の風紋とか90年のランドスケイブとか98年の稲穂の波とか94年のベリーを摘んだらダンスにしようや
86年の吹奏楽のための序曲や85年の波の見える風景や、82年の序奏とアレグロなどのように多くの大好きな曲が
あるのですけど、やはりコラージュは私の中では歴代課題曲の中で最も大好きな課題曲なのだと思います。
私自身生れと育ちが東北というせいも多少はあるのかもしれないですし、私自身の東北の血が
この曲のベースとなっている「民謡」を聴くと「郷愁」みたいなものを感じ、血が騒ぐという感覚は間違いなくあると思います。
だけど私の高校は前年度は(私自身もそうでしたけど)課題曲は「北海の大漁歌」というやはり民謡をベースにした
課題曲を選択し、1年生は私も含めて課題曲は「Bのコラージュがいい」という意見が大勢を占めていましたけど、
2~3年生は「2年連続の民謡はイヤ!!」という意見が大変強くて
結果的に、この年の課題曲はAの「イリュージョン」だったのは今にして思うと悔やんでも悔やみきれないものが
あったものです。
AとBと真っ二つに割れてしまったため、当時の指揮者はそれだったら「第三の選択肢としてCのシンフォニックマーチを
演奏してもいいんじゃないの・・?」と言っていた事もありましたけど、
それは私的にはありだったと当時は感じたものでした。
シンフォニックマーチは技術的には決して簡単では無いマーチでしたけど、あの正統派の雰囲気は当時の私でも
「かっこいいよねぇ~」と感じていたものでした。
1981年の課題曲は、全国的な傾向なのですけど、課題曲B/東北地方の民謡によるコラージュに人気が集中し、
例えば東北大会においても高校A部門では、13チーム中、課題曲Bを選んだチームが実に9チームにも達していました。
全国大会でも高校の部では出場25チームのうち、課題曲Bを選んでいたのは実に3/5の15チームにものぼっていました。
1981年の吹奏楽コンクールは自分が出場した県大会や東北大会で一日に何度も同じ課題曲を聴いたものでしたけど、
コラージュは全く飽きなかったですね。
色々な表現を楽しむことができましたし演奏団体によって全然異なる解釈が非常に興味深く、とても楽しいものがありました。
課題曲Bは、全国大会・高校の部においては、九州・四国・中国・関西といった西日本のチームは実はほとんど
選曲していませんでした。
福岡工大付属のように異常に前半が遅いとか
就実のように後半、やたらと和太鼓を叩き鳴らしていたように「それは少し違うのかも・・?」みたいな解釈が多かったです。
これは「大阪俗謡による幻想曲」が関西より西の方のチームの方が関東・東北・北海道のチームが演奏するよりも
より共感度の強い素晴らしい演奏をするのと感覚的には近いのかもしれないです。
民謡・俗謡というものには、一つの「郷愁」というのか「血が騒ぐ感覚」というのに通ずるものがあるのかもしれないですね。
話がコラージュにそれてしまいました・・本記事はシンフォニックマーチの話でしたね・・
1981年の吹奏楽コンクールの地区予選・県大会・支部大会で多くのシンフォニックマーチを聴いてきましたけど、
概して言えることは、ラストに近くなるほど追い込みをかけたくなるのかテンポが速くなるチームが相当多かったという事です。
私自身この曲を何回か指揮したことがあるのですが、後半テンポを速めたい気持ちを
ぐっと堪えてテンポを終始維持する事は意外と大変なものはありました。
ラスト一分前あたりで一旦速度を大幅に落として遅めのテンポで演奏し、ラスト30秒あたりで再度一気に加速し、
エンディングまで持っていくといった解釈の演奏は結構多かったような印象もあります。
解釈は様々あると思うのですが、こうした正統派のマーチはあまりテンポをこねくり回さないで、最初から最後まで
一貫して同じテンポを保った方が聴いてる方としてはすんなりと耳に入るという印象も当時は感じていました。
さすがに全国大会レベルでは、そうした後半になるほどヒートアップするチームはあまりなかったと思います。
このシンフォニックマーチですけど、スコアを見ると分かるのですけど、曲全体がかなり高音で作られているため、
トランペットとクラリネットはかなりハイトーンに苦しめられたような感じもあります。
そしてクラリネットに関しては高音で尚且つ細かい指の動きが大変多いので、課題曲としてはむしろ難しいような
グレイドだったと思います。
ヘタなチームが演奏するとこの高音域がクリスタルの響きのようにちょっとヒステリックで神経質っぽい雰囲気も
誘発しがちでもありましたので、この課題曲はそうしたドライで神経質な響きを回避するためにも、
テンポ設定はあまりいじらないで、最初から最後まで一定のテンポを保ちつつ、どちらかというと遅めのテンポを心がけた方が
コンクール的には高評価を得られたような感じもあったと思います。
1981年の課題曲はマーチが二つも入っていましたけど、前述の通りBのコラージュにかなり人気が集中してしまい、
大変意外な事に全国大会でもマーチを選ぶチームは、中学と高校の部では少なかったように思えます。
そして少し興味深いことに、中学の部では、課題曲C/シンフォニックマーチを選んだチームは伊丹東の1チームだけでしたけど、
課題曲D/行進曲「青空の下で」を選んだチームは9チームと、同じマーチの課題曲でも人気の面では明暗を
分ける結果となってしまいました。
高校の部では中学の部と逆転現象が起きていて、課題曲D/行進曲「青空の下で」を選んだチームは嘉穂高校のみで、
課題曲C/シンフォニックマーチは5チームが選んでいました。
技術的に大変平易で分かりやすい課題曲Dの方が、中学生にとっては自由曲の負担を考慮するとコンクール的には
計算がしやすかったのかもしれないですね。
課題曲C/シンフォニックマーチの全国大会でいっちば~ん!に印象が強くて素晴らしい演奏を聴かせていたのは、
川本高校だと思います。
課題曲Cは高校の部において天理・基町・東海大学第四など素晴らしい演奏が続出していましたけど、
この川本高校の溌剌とした演奏の印象度は鮮烈なものがあったと思います。
課題曲も自由曲も含めて、この年の川本高校は個人技術が最高レヴェルに達していて
どのパートも優れていたと思います。
金管セクション・・特にその中でもトランペットは、美しくかつたくましく響いていたと思いますし、
大変柔らかくて清潔でクリアな響きの中でも、「前進する力」を絶えず全く見失っていない
本当に躍動感溢れる素晴らしいサウンドだったと思います。
川本高校は上記で述べたようなテンポを妙にいじくることも無く、正攻法のマーチを極めてスタンダードに正々堂々とした
響きで聴かせてくれていて、
自由曲の組曲「サルタン皇帝の物語」~三つの不思議と合わせて技術的にも音楽の内容としても
極めて人の心にまっすぐと伝わってくるものがあり、圧巻の金賞を受賞していました。
1981年の全国大会・高校の部は、前年の80年と同様な大変なハイレヴェルの演奏が続出していましたけど、
私の中では1981年の高校の部のグランプリ、天理・磐城・川本の3校の中のどのチームが受賞しても全く文句が出ないという
ものだったと思いますし、川本高校のシンフォニックマーチの演奏は特に光るものがあったと思います!
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最初は課題曲Aの「イリュージョン」を練習していました。この曲は練習はしてはいなかったけど、いまだに好きな課題曲です。……しかし、やはり課題曲A、練習が進むにつれて色んな課題が出始め、「課題曲Cのシンフォニック・マーチが無難だろう」と変更になりました。
そうとは言えこの曲もかなりの難曲、秋田県内地区予選大会・秋田県大会ともに全国大会がそうであったように、選曲した団体は少なく県大会は全部門約100団体出場中わずか6団体に留まっていましたね。自分たちの地区予選大会突破も、全部門で自分の中学1団体だけでしたし……。
管理人様が仰るとおり一定のテンポで演奏することが難しい曲でしたし、例のトランペットのソロは緊張でミスして「ありゃ~…」な方が多かったように思います。
川本高校のシンフォニック・マーチは当時NHKFMで放送されていた「ブラスのひびき」で聴いて、自分も「シンフォニック・マーチのベスト演奏!」と思ったものです。
話はそれますが、昨日の全国大会~中学の部で東北代表の岩手県北上市の「上野中学校」が岩手県勢の中学で初めて金賞授賞だったそうですね!
とても素晴らしいことですし、東北の中学のバンドをリードする存在であってほしいと思います。また、東北各県の中学も上野中に触発されて頑張ってほしいと感じました。
上野中、全国金賞おめでとう!