S.メリッロ / アメリカの騎士~選ばれし者 → 21世紀に入って間もない頃は大変な人気曲でしたけど、演奏頻度がかなり下がっているのは、吹連の規定改定により「ベース禁止」というものが大きいのかもしれないですね。

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最近の吹奏楽コンクールではメリッロの「アメリカの騎士~選ばれし者」を自由曲として選ぶチームは
随分と少なくなってきた印象があったりします。
2001年~2003年に掛けてこの曲は吹奏楽コンクールでは大ブレイクを果たし
支部大会ではかなり多くのチームがこの曲を自由曲にしていて一時的にちょっとしたミニバブル的な大ブレイクが
起きていたような印象もあったりします。
2001年の市立柏高校の素晴らしい名演が他校にもかなりの影響を与えたのかもしれませんし、2001年においては、
柏の影に隠れてしまったような感じでもあるのですけど、同じくこの曲を自由曲に選んでいた京都の洛南高校の
素晴らしい名演も忘れてはいけないと思います!

それにしてもこの「選ばれし者」とはいかにも「傲慢な大国・アメリカ」を象徴するようなタイトルだなと感じなくもないのですけど、
1999年に作曲された際には、新しいアメリカを担う英雄を待望したという意図があり、
その英雄が「アメリカの騎士」というわけだったようです。
2001年にこの曲が日本で大ブレイクを果たしていた時に、私自身もちらっとですけど、
この「選ばれし者」は、組曲「アメリカの騎士」という組曲の中の一つの曲ではないのかという話を耳にした事はあったものの、
当時の感覚としては「それならばいずれ近いうちに組曲全曲が発表されるのかな・・?」と思っていたものでしたけど、
その全貌はベールに包まれたまま年月が過ぎたという感じでもありました。
当時としては「選ばれし者」だけが先行出版されたというのが一つの説だったような印象があります。
後述しますけど、その後日本の吹奏楽連盟が規約改定をした際に「コンクール演奏でのベースギターの禁止」というものを
打ちだし、ベースギターをかなり効果的に曲の中に使用しているメリッロの「アメリカの騎士」の魅力が半減する事に
なってしまい、「アメリカの騎士」の全容が明らかになる頃には既にこの曲の日本での人気のピークはとっくに過ぎてしまっていた
という事情も実はあったりもします。

そうした中、2007年頃だったかな・・・?
「A WISH TO THE WORLD」(世界への願望)という曲が、発売され、この曲が実は組曲「アメリカの騎士」の全曲版に
相当するという事が判明したものでした!
この組曲は全19曲から成り、2007年に発売されたCDには15曲が収録されているようですけど、
日本であんなに大ブレイクした「選ばれし者」はなぜか未収録でもありました。
当初は「アメリカの騎士」として作曲された一連の作品群なのですけど、
2001年の「9・11同時多発テロ」を機に「世界への願望」というタイトルに変更された経緯もあるようです。

メリッロ自身、2001年のいわゆる世界同時多発テロ以降に、海外の多くの先人たちの英雄の姿を学び、
言葉の壁を越えた友人の輪がどんどん拡がったことが「アメリカの騎士」という一国の英雄だけが世界をリードするのでは
決してなくて、「世界には有名無名も含めてこんなにも素晴らしい英雄たちがかつて存在していたし、今現在も
そうした英雄たちは日々努力を重ねてきている」という事に改めて気が付き、かつて自分が作曲した曲についても
「A WISH to the WORLD (世界への願望)」とメリッロ自身の新しい希望と願いを込めて曲のタイトルと構成を
かなり大がかりに変更したという事になるのだと思われます。
メリッロはこの組曲を通じて、「英雄は常に身近なところに存在している」と言う事を特に若い世代に伝えたかったような
意図もあるのかもしれないです。
そうした意味では「アメリカの騎士」改め「世界への願望」という曲は、
名もなき英雄達の物語であり同時に将来を担う若者達へのエールなのだと思います。
不屈の精神で逆境を乗り越えてきた勇者の魂を受け継ぎ、現代の子供たち、そしてそのまた子供たちが勇気を持って
果敢に突き進んで欲しいという強いメッセージが込められた作品と言えるのだと思います。

「世界への願望」はとてつもなく長い組曲のようになってしまったという結果になってしまったと言えるのかも
しれないですけど、元々の曲でもあった「アメリカの騎士~選ばれし者」は大変イメージがしやすいし分かり易いし
聴いていて「スカッ!!」とする爽快さは間違いなくあると思えます。
この曲は冒頭のアルトサックスのジャズっぽいソロがとにかく格好いいですし、序盤の展開部のスピード感は快感です!
あのスピード感とキレ味はジャズの世界みたいな感じもありますし、特にサックスセクションのノリの良さと
ベースギターのリズムギンギンのあのノリのよさは爽快だと思います!
中間部の高揚感も、確かに意図が見え見えみたいな人工的な安っぽい感じがあるのは否定はしませんけど、
そこにあるのは「努力すれば全ての夢がかなう事が決して夢物語ではない」といったアメリカンドリームなのかも
しれないですね~!

アメリカの騎士~選ばれし者の過去の吹奏楽コンクールの名演として2001年の市立柏高校を挙げる方は多いと思いますけど、
上記で書いた通り私は2001年の洛南高校を推したいと思います。
市立柏はベースをギンギンに聴かせて都会的で洗練された格好いい音楽なのですけど、
逆に少しええかっこしすぎみたいな感覚もあったりもします。
その点洛南は実に音楽が正攻法だと思いますし、男子校らしい重厚感と実直さは圧巻だと思います。
洛南の演奏のラスト近くのティンパニの硬質な響きは私的には特に特に気に入っています!

それにしてもどうして唐突にこのメリッロの「選ばれし者」はコンクールの人気自由曲から消え去ったのでしょうか・・?

メトセラⅡや海の男たちの歌などの例があるようにコンクールの自由曲の人気の浮き沈みは激しいから
メリッロのアメリカの騎士~選ばれし者が吹奏楽コンクールの人気自由曲から姿を消してしまったというのは
別に珍しい話ではないと思います。
この曲の場合、その消えた理由の背景にあるものとして、上記でちらっと触れましたけど、吹連のコンクール既定の改変
というものが大きいのではないかと推察されます。

その規定改変の一つが「吹奏楽コンクールにおけるベースギター禁止」と言う事なのでした。

確かにメリッロの「選ばれし者」からベースギターを除いて代用楽器としてコントラバスを当てたとしても
恐らくですけど曲自体の持ち味は半減するかもしれないです。
そのくらいベースギターが大きな影響力がある曲なのだと思います。

ベース使用の曲と言うと、最近の吹奏楽オリジナル作品の中では

〇アメリカの騎士~選ばれし者 (S.メリッロ)

〇コンサートバンドとジャズバンドのためのラプソディー (ウィリアムズ)

あたりが有名ですよね。

そういえば1998年に土佐女子の名演で一躍有名になったコンサートバンドとジャズバンドのためのラプソディー という曲も
最近の吹奏楽コンクールではほとんど演奏されなくなってしまった背景にあるのも
吹奏楽連盟のベースギター使用不可という規定の影響が大きいのだと思われます。

ベースギターを吹奏楽コンクール全国大会で一番最初に使用したチームはどこなのでしょうか・・?

私の聴いた限りでは、1986年の東海大学第一高校なのかなと思っています。
自由曲は、ラム/イーゴリファンタジーという曲でしたが、
導入部で最初にベースが鳴った時はとてつもないインパクトを感じたものでした。
だけど、この演奏録音で聴くと、すごく面白いものがあります。
生で実際に聴いた時は、「全然盛り上がらないし、この曲のどこが面白いのかよく分らない」というのが正直な感想でした。
指揮棒もノリノリなのですけど、今一つ盛り上げに欠ける曲と感じたのも事実です。
曲が終始ジャズ風に鳴っているのだけど、曲自体の緩急の差とか強弱の差が弱く、
何となく騒がしい曲だな・・という印象だけで終わってしまったような気もしました。
だけど後日録音の音源を改めて聴いてみると、
別タイトル名が「ストラヴィンスキーの主題による幻想曲」となっている通り、
幻想曲「花火」とか「春の祭典」のモチーフを部分的に取り入れたり、
クラシック風とジャズ風な要素をミックスさせたりと色々面白い試みはあったと思います。
終わり方も「春の祭典」のパロディーみたいで、それもまた面白いと思います。
この曲はライヴで聴かせるよりは、CD等の録音でじっくり聴いた方が楽しめる曲の部類に入る曲のようにも思えました。
途中でベースギターの相当大胆なソロもあるしやはり面白い曲だと改めて感じます。

吹奏楽コンクールは、1981年にピアノを使用する事が解禁となり、
それから弦楽器・ハープもOKとなり、その流れで確かベースも可となっていったような気がします。
ハープを最初に使用したチームは、恐らくは1981年の市立川口高校の「無言の変革~問い」だと思います。
ヴァイオリンを実際にソロ楽器として使用した初めての例は、1982年の仙台第一高校の組曲「グランドキャニオン」だと思います。
チェロを使用した例は、96年の伊奈学園の「英雄の生涯」だったかな・・?

チェロとヴァイオリンまで使用OKというと「管弦楽団とどこに違いがあるの・・?」みたいなツッコミも入りそうですし、
それは本来の吹奏楽の響きとは異なるような気もしますので、今現在の吹奏楽連盟のヴァイオリンとチェロの使用禁止は
むしろ当然だと思いますけど、
ベースギターの使用禁止の規定は以前のように使用可にして貰いたいですね~!

上記の「アメリカの騎士~選ばれし者」を以前ベースギター無しの「コントラバス代用」ヴァージョンをコンクールで
聴いたことがありますけど、感想としては「音量が弱いし、あの響きはコントラバスだけでは無理だよね・・」という
印象は全然拭えなかったですね!
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