R.ミッチェルの吹奏楽オリジナル作品というのは全体的に派手さは無いけどしっとりとした歌心を感じ、
メロディーラインが単純なのだけと「どこかで聴いたことがある音楽」といったようなどこか懐かしい部分があり、
そのしっとりとした歌にしんみりとさせられるものが多々あると思います。
何て言うのかな、日本の高齢者の方たちが「日本の演歌」を好むのと同じような感覚と言うのか、
ミッチェルのあのメロディーにはどこか演歌っぽい「お涙ちょうだい・・」みたいなメロディーラインがあるように思え、
あの演歌っぽいノリの音楽にはどこか共感を覚えます。
私、実はミッチェルの作品とはかなり深い縁がありまして、
ミッチェルの曲は、高校~大学時代に何と4曲も吹いています。
高校時代の定期演奏会で、「海の歌」と今回取り上げる「コンサート・ミニアチュア」を、
大学時代の定期演奏会とチャリティーコンサートで、「大草原の歌」と「序奏とファンタジア」を演奏した事があります。
ミッチェルの吹奏楽作品と言うと、上記の他には
序曲「スターフライト」・「祝典讃歌」ぐらいしか私は知りませんので、
何と私は、ミッチェルのメジャーな作品はほとんど過去に吹いていると言えるのかもしれないです!
一人の作曲家の曲を複数曲吹いた経験があるというのは他の作曲家としては
リードの「アルメニアンダンスパートⅠ」・「ジュビラント序曲」・第二組曲・序曲「インペラトリクス」
ぐらいだと思います。
ミッチェルというと真っ先に思い浮かぶのは「海の歌」ですよね!
吹いていて、「自然に涙が出そうな曲」って少ないと思うのですけど
前半のあのしみじみとするメロディーラインをクラリネットで吹いている時は何回か
唐突に何か胸にこみ上げてくる不思議な感情が自然に湧いてきて、決して涙が出るとかそういう訳ではないのですけど、
自分の感情の中に「言葉にならない感情の高ぶり」みたいなものを自然に感じる曲だったと思います。
ラストの静かに回想する終わらせ方も実に秀逸だと思います。
「海の歌」は構成的にも少し珍しいものがあり、コンサートでチャイムで開始される序奏→ゆったりとした展開部
→激しく動く中間部→しっとりと静かに回想しながら終わらせる終結部という吹奏楽作品としては珍しく、
前半とラストで「静のドラマ」を盛り込んだ曲と言えるのかもしれないです。
そして私が感じた事はどうやら私以外の方もそのように感じていたようでして、野庭高校吹奏楽部をテーマにした
「ブラバン・キッズ・ラプソディー」とい本の中でも、中澤先生が初めて野庭高校を指導して吹奏楽コンクールに臨んだ年の
自由曲がこのミッチェルの「海の歌」だったのですけど、あの本の中でもクラリネット奏者の皆様たちが
「吹いている内に自然と涙が流れそうな不思議な感覚の曲」と評されていましたけど、この言葉は私自身も同感ですね~!
私的には、前半のヴィヴラフォーンのソロ・中間部の盛り上がりの一つの頂点のティンパニソロや、
ラスト近くのホルンのソロにも大変共感を感じます。
後半のゆったりとした歌は、海の描写というものではなくて、「個人の心の動き」を示唆しているようにも感じたりもします。
何か重大な出来事が起きて、それから10数年後にその事件をゆっくりと振り返るみたいな回顧的な感情を
私的には感じ取ってしまいます。
意外な事かもしれませんが、ミッチェルの「海の歌」にもベースが使用されています。
上記で書いた通り高校2年の時の定期演奏会でこの曲を演奏したのですが、パーカッションパートが
「あれ、この曲にベースが入っている」とか言っていたので総譜を見てみると確かにベースが打楽器として入っていました。
こうしたしっとりとした抒情的な曲にベースの指定があるとはかなり意外な感じもしたものです。
演奏会ではベースは使用しませんでしたし、海の歌の他の演奏でもベースが入っているのは見た事は無いですね・・
「海の歌」の翌年の定期演奏会、私にとっては高校最後の定期演奏会でも
再びミッチェルを取り上げたのですけどその時の曲が「コンサート・ミニアチュア」でした!
この曲は「海の歌」のようにしっとりと聴かせる曲ではなくて、
いかにも「胡散臭いアメリカ・・!!」みたいにとにかく能天気で明るい曲です。
傾向としては「大草原の歌」に近いような感じもあると思います。
だけどこういう能天気な時のミッチェルもとてもすてきだと思います。全体的にはミュージカルのような雰囲気にも
近いものがあるのかもしれないですね。
実はなのですけど、「コンサート・ミニアチュア」という曲は
吹奏楽コンクールではA編成(大編成)におていは、まだ一度も全国大会はおろか支部大会でも演奏された事はありません!
最初にこれを知った時は、「実はそんなにマイナーな曲だったんだと少し驚いたものです。
「コンサート・ミニアチュア」は確かに海の歌や大草原の歌に比べると知名度は全然低いと思うのですけど、
こんなすてきな曲が全く知られていない事は大変勿体ないと感じます。
ゆったりとした序奏から開始され、典型的なA-B-Aの三部形式の曲なのですけど、
Bの中間部が実に素晴らしいと思います。
あのノリは、「ミュージカル」みたいな歌わせ方のようにも感じられます。
海の歌の前半は抒情的な歌い方なのですけど、コンサートミニチュアの中間部は「コーラスライン」みたいなノリだと思います。
ラストはAの部分が短く再現され、華麗に曲を閉じていきます。
演奏時間も6分程度の短いものですので、コンサートの一曲目にはうってつけのようにも思えます。
実際私の高校もファーストステージの一曲目がコンサート・ミニアチュアでした!
コンクールで演奏したチームが皆無ですので、この曲の音源は私が知る限りでは東京佼成のみです。
そしてこの東京佼成の音源以外に私が知っている音源は、
私自身の高校生時代の定期演奏会のライブ音源しか知らないというのも「知る人ぞ知る曲というのは気分いいのかも~」と
感じさせてくれるものがあるのかもしれないですね(笑)
東京佼成のこの曲を収録したCDも確か現在では廃盤扱いですので
現役奏者の皆様にとっては 「コンサート・ミニアチュア」は聴きたくとも聴くことが出来ない曲になってしまうのですよね・・・
どこかのプロの吹奏楽団とか上手いアマチュアチームが この曲を再録音し、
改めてこの曲の魅力を後世の人達にも伝えて欲しいなとも思いますね・・・
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で、高校3年のコンクール ミッチェル:大草原の歌です。
実際には私は引退しちゃったので出場はしていないのですが、練習指揮をしていた関係?で、ど素人ながら必死に勉強した思い出があいます。
ミッチェルはおっしゃられている通り、日本人が哀愁を感じるサウンド、メロディーラインが多いですよね~。感情をこめやすい。
しかし海の歌にベースがあるとは知りませんでした。
大草原の歌でもロック?調の部分がありますので、そこなら分かりますが。
スターフライト序曲はバリバリドラムセットとベースですけどね。
いま思い出しましたが、スターフライト結局本番ではやっていないのですが、当時バイトでバリサクだったので、死にそうになりながらベースラインの練習をしたことを思い出したのでした<m(__)m>