上岡洋一/ マーチ「潮煙」(1993年度全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅲ) → とにかくカッコいい曲ですし雰囲気が刑事ドラマのテーマ曲みたいです!

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1993年の課題曲は「課題曲改革」の一年目ということで、課題曲として出題されていた4曲は全てマーチという年でもありました。
一日丸ごとコンクールを聴いている身としては負担が減るというか、
難解な課題曲を聴かずに済むというリラックス感があったりして従来よりは、随分と「聴きやすい大会」という感覚もありました。
特に課題曲Ⅳ/マーチ「エイプリル・メイ」は大変親しみやすくメロディーラインが実に躍動的かつ美しい
という感じで、聴くだけで何か「ハッピー」な気持ちにさせてくれていたと思います。
もしもですけど、私自身が1993年にスクールバンドの指揮者であったと仮定したら、この年に選ぶ課題曲は
迷うことなくこの課題曲Ⅳだったと思います!
マーチと3月を掛けているのも作曲者の粋さを感じさせてくれますし、演奏しても聴くだけでも底抜けに楽しい曲だとも思います!
課題曲Ⅱのスターパズルマーチについては先週の土曜日に散々語っていますので今回は省略いたします。
課題曲Ⅰ/ターンブルマーチは、いかにも古典的マーチというかマーチの正統派という感じがあり、
悪くは無かったのに、あまり人気が無かったのは気の毒のように感じたりもします。

課題曲Ⅲ/マーチ「潮煙」はとっても大好きな課題曲です!

どちらかというと「行進曲」という感じではなくて、「ポップス+リズム」という感じですし、
この年の課題曲4曲の中では群を抜いて技術的には大変難しいものがあったと思いますし、後述しますけど、
その難しさの中でも圧倒的に難しいパートはトランペットセクションだったと思います。
県大会や支部大会でこの課題曲Ⅲを選び、最初から最後までリズムがぎくしゃくしてしまうチームとか
冒頭から大活躍するトランペットソロがしくじってしまいミストーン連発の演奏になってしまうとか
マーチ「潮煙」の「悲惨な事故」(?)は当時かなり続出していたような印象があります。
全国大会でも、袋原中学とか職場の部のNTT中国とかトランペットが外しまくってしまい、結果的に
自由曲で好演を見せても課題曲の印象度が悪いせいもあったのか、銅賞と言う評価になっていたのは、
これは客観的に聴いても「仕方がないのかも・・」という感じでもあったと思います。

あの「潮煙」のリズムがどんちゃん鳴る感じとか粋な感じとかあのノリは当時も今も大好きです~!

このマーチ「潮煙」なのですけど、最初にこの課題曲を聴いた時の印象は
「これってなんだか刑事ドラマのテーマ曲みたいな雰囲気なのかも・・」と感じたものですけど、そうした印象は
決して的外れでは無いと今でも感じていますね。
余談ですけど、刑事ドラマのテーマ曲と聞いて、
昭和育ちの世代の皆様ですと、太陽にほえろ・西部警察を連想されると思うのですけど、
平成育ちの皆様ですと、踊る大捜査線・相棒・古畑任三郎を連想されるのかもしれないですね。
そして昭和の頃ですと海外版の刑事ドラマのテーマ曲と聞いて真っ先に思い出すのは「刑事コロンボ」なのかもしれないですね!
あの口笛みたいな電子音の楽器は何だったのだろう・・?と当時は思っていたのですけど、
あれってどうやらメシアンのトゥーランガリア交響曲でお馴染みのシンセサイザーの遠い先祖でもありそうなオンド・マルトノと
知ったのはずいぶん後の話でした・・

1999年6月のサントリーホールでの東京交響楽団の定期演奏会の話ですけど、前半が矢代秋雄のピアノ協奏曲で、
後半がメシアンのトゥーランガリア交響曲でした。
プログラム全体の副題として「師弟の絆」とありましたけど、メシアンと矢代秋雄はフランス留学時代の師弟関係がありましたし、
ピアノ協奏曲第三楽章の後半の展開に悩んだ矢代秋雄が中村紘子に
「何かいい方法があったらぜひ教えて・・・」と懇願したエピソードから考えると確かにぴったりのタイトルかもしれませんよね。
この日の演奏は、中村紘子も東京交響楽団も指揮者の秋山和慶も大変素晴らしい名演を聴かせてくれ、
とにかく素晴らしい前半の矢代秋雄のピアノ協奏曲でしたけど、後半のメシアンはあまりにも曲が難解すぎたせいか、
曲の途中なのに席を立つ人が続出というのは、演奏者にとっては気の毒な話でしたけど、
あの難解さと十楽章構成という曲のあまりの長さを考えると仕方がないのかもしれないですね。
あまりにも前半の矢代秋雄のピアノ協奏曲が素晴らしすぎたゆえに、メシアンを同時に聴いてしまうと
矢代秋雄ですら優しく平易に聴こえてしまうのは、何か面白い感覚ではありました。
そういう私自身もトゥーランガリア交響曲に関しては、第5楽章「星の血の喜び」・第6楽章「愛の園」くらいしか分らないです(汗)

あれれ・・なんで私このカテゴリでメシアンの話をしているのでしょうか・・??

話をマーチ「潮煙」に戻しますと、この課題曲Ⅲは決まるとトランペットがとてつもなくかっこよく思えましたけど、
私的にこの曲でいっちば~ん!カッコよく感じさせる楽器はトムトムだと思います!
この曲はCDで聴くと「楽譜の中にドラムセットが指定されているのかな・・?」と感じさせてくれるのですけど、
実際はドラムセットは使用されておらず、その代わり最初から最後までトムトムが小太鼓・ティンパニに変って
リズムセクションをリードしているような印象すらもたらしていると思います。
特にラスト近くのトムトムの叩きっぷりは聴いているだけで爽快でした~!

1993年の高校の部は、ⅡとⅣに人気が集中し、ⅠとⅢを演奏するチームは極めて少なかったですね。
Ⅰは基町高校のみで、Ⅲは埼玉栄と東海大学第四だけに留まっていたのは大変意外でもありました。
私的にはこの課題曲Ⅲの演奏の中でいっちば~ん! よかったのではないかと感じさせてくれた演奏の一つが
関東大会での常総学院だったのですけど、なぜか常総学院はまさかのダメ金で、全国に進めなかったのが当時
残念でしたし、川崎産業会館でのこの年の関東大会・高校の部を朝から聴いていた私にとっては
「どうして常総が代表になれないの~!? 市立柏みたいなスカスカ演奏を代表にするなら常総の方が全然代表に
相応しいじゃん!」と当時文句をぶーたれていたものでした・・(汗・・)
Ⅰが人気薄と言うのは何となくわかるのですけど、Ⅲ/潮煙が意外と人気が無かったのは少し意外でした。
上記で書いた通り、この年の課題曲Ⅳ/マーチ「エイプリル・メイ」が実に楽しい曲で
技術的に平易ながらも演奏効果が非常に高いというコンクール課題曲としては大変お手頃な曲でしたし、
課題曲Ⅱ/スターパズルマーチも、「きらきら星」という誰もが知っている曲を引用していますので
ⅡとⅣの人気が高いのは当然という感じでもありました。

マーチ「潮煙」の全国大会の演奏の中では断トツの圧倒的な名演は神奈川大学に尽きると思います!

トランペットの技術的難解さを全く感じさせずに大人の余裕みたいな感じで終始リラックスした雰囲気で演奏していましたし、
自由曲の「ディオニソスの祭り」も素晴らしい名演だったと思います!
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