スマイルプリキュアは歴代プリキュアの中でもちょっと珍しいギャグに溢れたシリーズであり、
タイトル通りの「スマイル」を全面に出したシリーズと言えるのだと思います。
この背景にあるのは前年の2011年の東日本大震災にという未曽有の大惨事による当時のとてつもなく暗い世相に対して
プリキュアとして「確かにそうした辛い事もあったけど、笑顔で乗り切ろう!」という意図もあったと思いますし、
前作の「スイートプリキュア」がシリーズ的には少しばかり重たいシリーズという事もあり、
「重厚さを回避してちょっと軽めのシリーズにしよう」という意図も制作者サイドにはあったのかもしれないです。
そんな訳でスマイルプリキュアは歴代シリーズでも屈指のポンコツキャラが集結し、最初から最後までドタバタと
笑いを取っていましたけど、そうした全体的にとてつもないポンコツシリーズにおいても
最終決戦はもちろんそうですし、シリーズの中でも屈指の迫力と気迫に溢れた第22~23話における
「自分たちの頭できちんと考えて結論を出そう」というお話も素晴らしかったですし、
第16話におけるれいかの「どうして人は勉強をしないといけないのか」という問いに対する提示や
第18話のなおちゃんのリレーの回、第19話のやよいの亡き父親との思い出話などと歴代プリキュアの中でも
屈指の神回と感じさせる回も続出していた事は特筆に値するものかあると思います。
上記で書いた通りスマイルプリキュアは一年を通してギャグとポンコツ話が大変多いのですけど、
そうしたいい話や泣かせる話が出てくるので、余計にそうした話の感銘度が高くて引き立つと言えるのだと思います。
そうした中でのスマイルプリキュア第16話は、れいかのれいかによるれいかのための回という印象がありますし、
れいか=キュアビューティ大好きの私にとっては見所満載の素晴らしい回だと思います。

第16話のれいかを語る前に少しばかり、その前座ともいうべき第7話についても、まず簡単に振り返りをさせて頂きたいと
思います。
この第7話はある意味「伝説の回」とも言えるのかもしれないです。
それには二つの側面があります。
一つはよくネタとして「なおちゃんのノーブラ疑惑」というものが当時よく話題にされていましたけど、
その根拠となったのは実はこの第7話でもあったのでした。
落とし穴にはまって穴に落ちる際に、ついついあかねがなおちゃんの胸元に手を掛けてしまい、その落ちる様子を
スローで再生してみると、もしかしてなおちゃんはノーブラなのか!?と色々と憶測を呼んだ回でもありました。
そしてもう一つが「れいかの道」でもありました~!
れいかは知的でクールな「水の妖精さん」みたいなイメージで登場したのですけど
第7話のれいかの壮大なボケをもってれいかの知的な優等生というイメージは音を立てて崩壊してしまい、
他のメンバーと大して変わりがないポンコツ娘であることが判明してしまった恐ろしい回でもあったと
いえそうなのですけど、この回のれいかの残念な美少女振りはある意味既に伝説と化していると思います・・(笑)
私はそんな大ボケをかますれいかも大好きですし知的なれいかも大好きです!!

第7話の趣旨としては、学校や家ではあんまり大きな声でプリキュアの話は出来ないから
どこかみんなで集まれる「秘密基地」を探そうという事になり、各自が「この場所がいいのかも」と思ったところを視察する
というお話なのですけど、予想通り・ポンコツ展開になってしまいました・・
そんな中、ひとり、みゆきだけが意外と的を得た発想をしていたのは極めて意外でもありました・・
第7話の序盤かられいかは脇に何か「箱」みたいなものを抱えていました。
これは何かあるのかな?と思っていたら、やっぱり何かがありました~(笑)


そう! ここで「スマイルプリキュア」の屈指の名シーンの一つでもある
れいかの富士山頂上での「道」の掛け軸提示というとてつもないボケが炸裂してしまいます~! (笑)
れいかの意図は分からなくもないのですけど、毎回毎回富士山頂上で作戦会議を開催するのも、アレな話ですよね・・
こうした壮大なボケを大真面目な顔でやってのけてしまうのがれいかのすてきな魅力だと思います!
漫才回のれいかのアドリブ的ボケは、もはやプロの領域だっのかもしれないですね・・

結局は「幸福の青い鳥」ではないけど、不思議図書館がよいのではという事になったのですけど
そんなの考えなくても最初から分かるじゃんと誰もツッコミを入れない所がスマイルらしいところでもありました。
不思議図書館内でもれいかは「道」の掛け軸を持ちこむのですけど
やよいからも「ちょっと浮いているのかも・・」と言われる始末でもありました。
れいかはシリーズを通して全体的には優秀でクールで参謀的役割を持っていて、ポンコツばかりのスマイルメンバーの中で
唯一「ポンコツではないのかな・・?」と言えそうなプリキュアでもあるのですけど、こうしたすてきな同時にボケも担当
出来るというのはやっぱり凄い事でもあったと思います。
れいかの「道」というものは、「ボケ道」の事だったかな?
第7話のれいかは、頑張らなくてもいいところでついつい頑張ってしまうれいかのボケ的側面を見せてくれ、
れいかの道はボケ道なのかも・・?とある意味本気で視聴者たちに思わせておいて、
第16話において、今度は比較的シリアス気味にれいかとしての「道」を再度提示していく回になっていました。
いいですね~! こうやって最初にボケをかましておいて、後日シリアスな感じで締めるというのは、物語的にも
大変引き締まるものもあったと思います。
第16話のポイントは二つありまして、一つは、プリキュア5とかスイート、ハピネスチャージでも提示されていた
「人はどうして勉強をしないといけないのか・・?」という古典的で且つ人間にとっては古今東西永遠不滅のテーマを、
プリキュアらしいアプローチによってその一つの「回答」を提示しているという事であり、
二つ目はスマイルプリキュアの場合、れいか以外の4人は全員類稀な「ポンコツ」である事を見事すぎるほど
立証していたという事なのだと思われます。
この「どうして人は勉強をしないといけないのか」という古典的テーマは、
歴代プリキュアの場合、例えば、なぎさ・咲・のぞみ・響・めぐみといった少し頭の悪いピンク系が
その対象となるというのが歴代プリキュアの一つの流れ・お約束でもあるのですけど、
スマイルプリキュアの場合、みゆき=キュアハッピーというあんまり頭の良くないピンク系ではなくて、そうした役割を
あえて頭脳明晰で学業成績が断トツに抜きん出ているれいかの視点から
「どうして人は勉強しないといけないのか」というテーマに果敢に正攻法でアプローチしているのがとても素晴らしいと思います。


「どうして人は勉強をする必要があるのか」という「問い」に対しては、私自身も含めて結論をきちんと出せる人は
そうそういないと思います。
別に難しい方程式を解いたとか、歴史の重要事件の起きた年を丸暗記したからといって
それが社会でそのまんま役立つことは皆無に近いと思います。
社会人となって、何か壁にぶち当たっときに、何か「ヒント」となるべき事柄が
勉強と言う「過程」の中から一つでも見当たればこれに越したことはないと思える程度で十分なのではないかと思います。
生きる方向性を見出す中での「一つの方向性」を勉強を通じて何か一つでも得る事が出来れば、それで十分だと思うのです。
「人はなぜ勉強するのか」という問いに対するこれに対する一つの答えは、
「生きていく上で色々迷いが生じた時に、答えを見出すためには、引き出しの中身が多いほど
判断材料のヒントが多くなる。引き出しの中身を作り出す一つの過程が勉強」という事なのかもしれないですね。
16話時点のれいかには色々と「迷い」があったのかもしれないです。
改めてスマイルの全話を振り返ってみると、れいかは、例えばプリキュア5の大先輩かれんさんのような
「最終的には私は医者になりたい」というファイナルアンサーを明確に出した訳ではありません。
まだ「これから自分の可能性を探っていく」という「過程」の段階で最終回を迎えてしまいます。
だけど、実はこれはいかにもれいからしい話であって、
「自分を高める一つの道が勉強」、同時に「自分を高める別の道がプリキュアであり、みゆき・なお
などのような友達との交流」という経過的側面で一旦完了させて、
放映終了後も日々精進し、自分の「道」を探求していくという感じなのかもしれないです。
それを示唆したのがこの第16話だったのかなと今更ながら感じる事もあります。
第16話には、高村光太郎の「道程」の一節が出てきます。
僕の前に道はない
僕の後に道ができる
この一節は確かに何か「訴える」ものがありますよね。
れいか自身も(他の歴代プリキュアも含めて)、プリキュアとして一年間戦っている任期の間には、
「プリキュアとして戦う意義」を見出すことは実は大変難しい事でもあると思うのですけど、一年間の任期の後に
改めて「プリキュアとは自分とって何だったのか、どういう足跡が残せて、何が自分を高めてくれたのか」等を考えさせてくれる
言葉がこの道程であったような気もします。
要はれいかの「道」はれいか自身が作り上げていくというものなのだと思います。
過去の足跡を大切にしながらも、常に・・・「未来」という前向きな視点で物事をとらえていくというのが
れいかの「道」なのかもしれません。
そうした意味でも高村光太郎の「道程」は、れいかの思いを示唆するものであり、
同時にれいかの迷いを断ち切るものだったようにも感じられます。
「どうして私は勉強をしないといけないのか・・」という問いに憂いの表情を見せるれいかとか
みゆき達の日常風景に接して
「自分に足りないものは何なのか・・」と真剣に探究しているれいかの表情はやっぱり素晴らしいですね!!


それにしてもれいか以外の4人は、すさまじいポンコツさんでしたね~! (汗)
アカンベエが出題する簡単な問題に対して誰も正解を答えられない4人のポンコツ度は壮絶なものがありました~!
そしてスマイルの一年間のシリーズを通してアカンベエが「あかんべえ」という言葉以外を喋ったのは
この回が最初で最後なのかもしれないですね。
問題:「英語で私の名前はキュアサニーですとは・・・?」
→ワタシ・・・キュアサニー・・・(カタコト日本語・・・)
問題:「1+2+3+4は・・?」
→タイムオーバー
問題:「徳川幕府三代目の将軍の名前は・・?」
→徳川いえなんとか!
問題:「犬も歩けば・・・のことわざの後に続く言葉は・・?」
→犬も歩けばここ掘れワンワン・・・・
うーーむ、このポンコツ度は歴代プリキュアでも相当ひどいものがありそうですね・・(汗)


ここで歴代プリキュア達を振り返ってみると、
プリキュア5 GoGo第22話は見方によっては、前作プリキュア5【無印版】の第11話「のぞみとココの夢気球」という
大変素晴らしいお話と2年越のある意味「連作回」のようにも感じられます。
無印版でののぞみは、のぞみ自身、
「人はどうして勉強をしないといけないのか」という大変難しい問いについて正面から向き合った事はありませんでしたし、
考えた事も無いという女の子でもありました。
無印版の意図としては、
「無理をしないで、まずは自分か興味を持った事から始めればよい」というココのアドバイス程度に
留まっているのですけど、この難しい問いの「回答」を
のぞみ自身が翌年の「プリキュア5GoGo」でりんちゃんの弟妹達に「一つの回答」というか「道筋」を
提示しているのは、のぞみの二年間の成長でありとても素晴らしいものがありました。
最終的にのぞみは「将来は学校の先生になりたい」という夢を持つようになりましたけど、
間違いなくのぞみはすてきな先生になると思いますし、
「勉強が出来ない」事を経験している人間が教師として、出来ない人間を導いていく姿も尊いものがあるような気がします。
無印版第11話においては、当初勉強に対して全く興味を持てないのぞみに対して
「強制的に無理矢理やらせる事」を実践させようとしたかれんさんがいましたけど、
それは勉強自体に興味が持てない以前に、「どうして自分は何かを学ぶ必要があるのか」という根本的問いかけに対して
全く答えが提示できないのぞみにそうした「無理強い」をさせる事自体無茶な話だったと思いますし、
この時点では、かれんさん自身も、まだまだ「人としての成長」とか「人としての魅力」に欠ける面が多々あったのですけど
2年間のプリキュア5の物語は、のぞみだけではなくてかれんさん自身の「成長」の物語でもあったような気がしますね。
人間、興味が持てる事や自分が好きな事は、他人から特段言われなくても自発的に学べるという事でもありますし、
そして「勉強」とは、自分が興味がもてそうな事は何なのか、自分がやりたいことは何なのかを
見つけるために、色々な分野の事をまずは浅く広く学び、その中で自分が本当にやりたいことを
見つけていくための「一つのプロセス」なのかなとも思えます。
人間、嫌いな事は決してやらないもの・・・
むしろやらない方がいい・・・・
だけど嫌な事を強制的にやらせられることの「苦痛」ほどつらい事はない・・・
多分、そんな事なんだと思います。
要は他人がいくらギャーギャー言っても、当人が「どうして勉強しないといけないのか」という根幹的な事を理解しない限りは、
「馬の耳に念仏」の領域なのだと思います。
そして、その動機に気が付いた当人が自発的に勉強を開始して、やっとスタート地点に立ったという事なのだと思います。
プリキュア5GoGo版ののぞみは、
前作プリキュア5【無印版】で学習した事を今度はきちんと、決してココからの受け売りではなくて
のぞみ自身の言葉で語っている点が本当に素晴らしいと思います。
りんちゃんの弟妹が「分数の意味が分からない」と駄々をこねても、単純に数学的に無機質に説明するのではなくて
「おせんべい」を例に示しながら、
「今ここに4人いるのだけど、一枚のおせんべいを4人で食べたい場合どうすればいいのかな・・・」
「そう四等分すればいいんだよね・・・・それが分数の1/4だよ・・・・」とか
具体的な実例を交えながらきちんとのぞみ自身の言葉で伝える事が出来ているのは、本当に大変な進化だと思いますし、
とても一年前に数学のテストで18点の点数を取って、かれんさんから鼻で小馬鹿にされるあののぞみと同一人物とは
思えないほどの進歩だと思います。
プリキュアシリーズのこうした「継続性」・「連続性」は素晴らしいものがありますよね。
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今回はスマプリのれいか=ビューティのお話ですね。
れいかはスマプリ勢の知識担当なのは間違いないのですが…随所で展開されるれいかワールドは印象的でした。お嬢様という事で世間知らずな所もあるのでしょうが、大分ぶっ飛んだ解釈が多かったですね。その辺りも含めてれいか、スマプリの魅力なのだと思います。私も大好きな作品です(^^♪
それにしても…スマプリ勢のポンコツっぷりは歴代最強かもしれませんね。
初代と5は2年物という事もあり、連続性、継続性のある話は多かったように思いますね。2年分だからこそ感慨深い部分もあるように思います。