ドヴォルザークの交響曲第8番ト長調作品88は1890年プラハで初演されています。
ボヘミア的で明るくのどかな田園的な印象が特徴で知名度の点では第9番「新世界より」には及ばないものの、
交響曲第7番などと同様に人気のある交響曲だと思います。
ちなみにですけど、私自身がドヴォルザークの交響曲でいっちば~ん!大好きな曲というと実は「新世界より」ではなくて、
交響曲第7番です!
ドヴォルザークの7番は知名度は低いのかもしれないですけど、その内容の充実は素晴らしいものがあり、
雰囲気としては「大変厳しい状況や困難さを克服し、なんとか自立で頑張ってみよう!」みたいな決然としたものを
感じさせてくれていると思います。
ドヴォルザークの7番は演奏会では「新世界より」に比べると格段に演奏頻度が下がるのはちょいともったいない感じは
するのですけど、そうした意味において、交響曲第8番は、7番に比べると演奏機会も発売されているCDも断トツに上ですので、
8番は恵まれている交響曲だなぁ・・と思ったりもします。
ドヴォルザークの交響曲第8番は、よくクラシック音楽ファンの皆様からは、愛称を込めて省略されて「どぼはち」と
呼ばれることもあったりします。
だけどドヴォルザークの交響曲6番は「どぼろく→どぶろく」と言う人は一人もいないと思います・・(汗)
クラシック音楽ファンの皆様の省略と言うと、有名な事例ではバルトークの「管弦楽のための協奏曲」はオケコンと
呼ばれますし、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲はメンコンと呼ばれることが多いですし、
プロコフィエフはプロコと略されることが多いですし、バレエ音楽「ダフニスとクロエ」はダフクロと呼ばれることが多いですね~!
指揮者のロジェストヴェンスキーは、略してロジェヴェンと言われますけど、なぜかロジェヴェンさんとさん付けされることも
多いですね~(笑)
日本の指揮者で略される人は珍しいのかもしれないですけど、その例外が小林研一郎がコバケンさんと略された愛称が
一番目立っているのかもしれないです。
私が高校生の頃、ドヴォルザークの交響曲第8番は「イギリス」と表記される事が多かったのですが、
別にドヴォルザーク自身が「イギリス」とかイギリス国内の自然等を意識したものでもなんでもなくて、
単に出版社がイギリスだったからという理由だけらしいです。
日本フィルのサンデーコンサートでこの交響曲が演奏されることは一時期大変多かったのですけど、
その場合はなぜか「自然交響曲」というタイトルが付けられていて「なんじゃそれ・・!?」と感じたものでした。
ドヴォルザークの交響曲第8番は大変分かりやすくて親しみやすいシンフォニーだと思います。
第一楽章のゆるやかな出だしとトロンボーン3本のユニゾンで俄然盛り上がる中間部もすてきですけど、第一楽章は
フルートの美しいソロが大変印象的です。
第二楽章のゆったりとした歌、第3楽章のどこかで聴いたことがあるような懐メロっぽい雰囲気も捨てがたいですけど、
第四楽章の行進曲のような雰囲気もフィナーレらしくてとても素晴らしいと思います。
第四楽章のトランペットのファンファーレで開始される部分は、特に印象深いですね~!
中間部でいったん静かとなり朗々と歌われる中、ラストは一気に駆け上がって終わる感じもチャーミングなものを
感じさせてくれていると思います。
第四楽章はボヘミア独立の英雄を描いており、チェロで奏される第1主題は英雄の勇気と慈悲を表すテーマで、
第2主題はトルコ軍楽(メフテル)を表しているという指摘もあるそうです。
ドヴォルザークの交響曲第8番第四楽章においては、「黄金虫は金持ちだ~」でお馴染みの日本の「黄金虫」という童謡に
似たフレーズが何か所か登場してきておりまして、そのものズバリのメロディーでは必ずしもないのですけど、
「いわれてみれば確かにそのように聴こえるのかも・・」というタモリの「空耳アワー」の世界に近いものが
あるのかもしれないですね。
この「黄金虫は金持ちだぁ~」の個所では、前述のトルコ軍楽(メフテル)の形式が表現されているのですけど、
このメロディが、聴く人によっては日本の童謡「黄金虫」に聴こえてしまうというのも何だかとても面白いものが
あると思います。
指揮者(特にジュリー二)によっては、この「黄金虫」の場面をかなり強調して解釈される事もあるのですけど、これって
なんだか「ずんどこ節」のように聴こえたりもします・・(汗・・)
ちなみにですけど、「黄金虫」は、野口雨情作詞、中山晋平作曲による日本の童謡です。
黄金虫は金持ちだ
金蔵建てた蔵建てた
飴屋で水飴買つて来た
黄金虫は金持ちだ
金蔵建てた蔵建てた
子供に水飴 なめさせた
これは完全な余談なのですけど、
この唄の作詞家である野口雨情の故郷、茨城県のある北関東ではゴキブリのことを
「コガネムシ」または「カネムシ」と呼ぶ方言もあるとの事です。
メスのゴキブリは産卵前に、お腹の下に卵鞘と呼ばれる卵の入った袋を持ち歩くようになり、
これがガマ口財布に似ていることから「黄金虫はお金を持っている」という雰囲気もあるのかもしれないですね・・(汗・・)
更に話がそれますけど、この「黄金虫」に似たフレーズが登場してくるクラシック音楽というと、
ドヴォルザークの交響曲第8番終楽章以外としては、
1.ブラームス「4つの厳粛な歌」 第1曲:人の子らに臨むところは
その冒頭で、「こがねむしーはー金持ちだー♪」が登場します!
2.アルベニス「スペイン組曲」~カタルーニャ
情熱的な「こがねむしーはー金持ちだー♪」が聴こえてくるような気もします・・
タモリ倶楽部の「空耳アワー」ではありませんが、 よーく聴いてみると何となくそれっぽく聴こえる曲の例としては、
R・シュトラウスの「アルプス交響曲」がウルトラセブンのメロディーと似ているようにも感じられたり、
NHK料理番組の「今日の料理のマリンバで奏でられるテーマ曲がアルヴェーンのスウェーデン狂詩曲「夏の徹夜祭」に
似ていたり、伊福 昭の「ゴジラ」がラヴェルのピアノ協奏曲~第三楽章によく似ているというのが
挙げられると思いますけど、この手の話は探せば相当出てくるような気もしますね~(笑)
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自分の中ではコガネムシのテーマの部分は、
「♪ヘーヘーヘー、ヘタレムシ~」のイメージです。
ただ、この曲を演奏するまでの経緯があまりいい思い出がないのですよ(笑)
当時所属していた市民バンドのメンバーの先輩にあたる方(所属していた市民バンドとは無関係)によって新たにバンドを作ったらしく、メンバーを探していたようです。
当時は人口10数万人の小さな町に、自分が所属しているバンドを含め、すでに4団体目となり、相互に掛け持ち団員も多く、すでに飽和状態。
とくに会話もしたこともないその団長の目に留まり、市内4団体の唯一のバスクラ吹きの自分が貴重だとのことで、しつこいくらいのヘッドハンティングの日々。
あまりのしつこさに根負けし、メンバーには加わらないけど、演奏会の助っ人くらいならいいよと返事。
その演奏会での曲目が、まさにドヴォ8。
とりあえず、そのバンドのバスクラ吹きとして練習に参加したのですが、
本番の2日前にその団長から、
「実はメンバーの中に、バスクラ吹きがいるけど楽器がないから、楽器を貸してくれ。演奏会はB♭クラで出てほしい」という、意味不明で無茶な発言を受ける。
どうやら目的は自分のバスクラだったようで。
本番2日前に助っ人に対してパートチェンジをさせてまで、楽器まで借用するのもどうかとは思うけど…
さすがに(中古とは言え)買ったばかりの楽器を貸す気もなく、
「そんなん知るか。楽器くらい自分で何とかしろ。不満なら自分は演奏会に出ない。」とバッサリ強気発言。
結局、自分は2日前に団長に指定された通りに(笑)B♭クラで出たのですが、バスクラ吹きはそのまま演奏会に出ることなく(練習すらまともに来なかった)、
バスクラのフレーズは別のB♭クラ吹きがそのまま1オクターヴ高い音で吹くというグダグダっぷり。
吹奏楽団とは言いながら、全員で10人もいない状態でのドヴォ8の演奏は、曲を知らない人でもスッカスカというのがまるわかり。
結局そのバンドは、その演奏会が最初で最後の活動となり、後日解散。
団長が一番のヘタレムシでした。