J.バーンズ / アルヴァマー序曲 → バーンズの日本での出世作のような曲ですけど、不滅の吹奏楽オリジナル曲だと思います!
昨日の当ブログのセカンド記事が吹奏楽のエリクソンの序曲「祝典」でもありましたので、祝典を記事にしておいて
バーンズのアルヴァマー序曲のことを無視するわけには絶対にいかないと思いますので、本記事においては
バーンズのアルヴァマー序曲について触れさせて頂きたいと思います。
最近の吹奏楽コンクールの小編成の部等でも、バーンズのこの不滅の名序曲がいまだに演奏され続けている事は
とても嬉しく思います。
この曲は、本当に楽しく躍動感があり、実に分り易く親しみやすい曲だったと思いますし、特に後半部分のスピード感と爽快さは
聴いているほうも演奏しているほうもとてつもなくハッピーな気持ちになれることは間違いないと思います。
このアルヴァマー序曲が演奏されるようになったのは1982年ですけど、
実はこの年に、スゥェアリンジェンのインヴィクタ序曲とかリードの春の猟犬と第三組曲が
コンクールデビューを果たしています。
でもこの頃コンクール等で演奏され始めたこれらの吹奏楽オリジナル曲が 今日でも演奏されている事は、
本当にうれしい事であり、 名曲というものは、多少の年月が経過しても色褪せないで
受け継がれていくものなのだなと実感します。
1982年において、どうして吹奏楽コンクールであんなにもインヴィクタ序曲とかリードの春の猟犬と第三組曲が自由曲として
演奏されていたのかというと、もちろん曲自体の魅力が大きいのが第一の要因なのですが、
この年のソニーから発売されている「吹奏楽コンクール自由曲集’82」というLPの中において、
リードの春の猟犬と第3組曲、スウェアリンジェンのインヴィクタ序曲、シェルダンのフォール・リヴァー序曲等の名曲が
収録されていて、この当時の吹奏楽作品に関する情報とか音源というのは、今現在のように輸入盤CDとかユーチューブとか
ニコニコ動画等が何もない時代であり、ソニーのこうしたレコードぐらいしか情報がなく、この年のソニーのレコードに
収録されていた吹奏楽オリジナル作品がそうした宝物の宝庫みたいな曲ばかりということもあり、
1982年の吹奏楽コンクールにおいては、リードの春の猟犬と第3組曲、スウェアリンジェンのインヴィクタ序曲、
シェルダンのフォール・リヴァー序曲がかなり流行していたのだと今更ながら思えます。
私自身もあのレコードを部室からレンタルしてきて、家でカセットテープにダビングし、かなり何度も何度も聴いていて
「やっぱり春の猟犬やアルヴァマーはいい曲だよね~!」と一人悦に入っていたと思います!
アルヴァマー序曲はシンプルだけど素晴らしい名曲だと今更ながらしみじみと感じますね~!
吹奏楽の序曲にも色々ありますが、やはりこうした単純明快な A-B-Aの三部形式で
中間部が美しく、終結部が盛り上がって終わる曲は、 スカッとして気持ちは良いものです。
Aの部分の親しみやすくスピード感に溢れた爽快なメロディーラインとか
力いっぱい駆け抜けていくようなスピード感と切れの良さは格別だと思います。
ラスト近くのクラリネットの16分音符のめまぐるしさは、楽譜を見ていても
「これは金管の陰に隠れてごまかすしかないのかも~」と感じたものです・・(汗・・)
この曲のAの部分の本来のテンポは♩=132という比較的落ち着いたテンポでのアレグロなのですけど、
上記でもちらっと出てきたソニーの「吹奏楽コンクール自由曲集’82」の汐澤安彦指揮の演奏では♩=160前後となっているなど
テンポの解釈が二通りあり、バーンズの指定どおりのテンポで演奏するケースとそれよりも速いテンポで演奏するケースの
二通りの解釈が並立している感じになっています。
テンポが速い場合、Aの再現部のラスト近くの木管パートは阿鼻叫喚の大混乱状態の地獄と化してしまい、
私自身は「あんなめちゃくちゃ速い16分音符は自分のしょぼいテクニックではとてもじゃないけど演奏不能~!」と
感じていたものでした!
後年来日したバーンズが、日本の吹奏楽コンクール等で速いテンポで演奏されたアルヴァマー序曲を聴いて、
「なんじゃこれ・・!? 自分が指定したテンポよりも全然速すぎるじゃん!」とぼやかれ衝撃を受けたとのエピソードも
残されているそうです。
(一説では激怒してしまった・・という話もあるそうです・・汗・・)
だけどアルヴァマー序曲に関しては、作曲者指定のゆったりとしたテンポで演奏するよりは、ソニーのレコードのような
とてつもない快速テンポで演奏したほうがこの曲は断然光り輝くと思いますし、
事実、この曲はコンクール等で演奏される場合は♩=160以上の快速テンポがほとんどでありましたし、
♩=160以上のアレグロのテンポだからこそあの爽快感とスピード感が出てくるのであり、この曲が1982年当時
あんなにも大ブレイクした大きな要因になっているのだと思います。
後年、バーンズは東京佼成W.Оを自作自演のCDを録音していますけど、この時のバーンズ指揮のアルヴァマー序曲は
♩=120前後のとつもなく遅いテンポで演奏されていて、もちろん作曲者本人の指揮でありそれこそが一番正しい解釈とも
言えるのですけど、聴いていても間延びして聞こえるし、この曲の命ともいえる爽快感・切れの良さ・スピード感が
かなり後退していますので、私自身は正直今でもかなりの違和感を感じてしまいます・・(汗・・)
参考までにバーンズ指揮東京佼成W.Оのアルヴァマー序曲の演奏時間は8分30秒で、汐澤安彦時のソニーのレコードは、
6分45秒ですので、やはり印象は全然違ってますね~!
これはかなりマニアックな話ですけど、1994年の関東大会・B部門・高校の部で下妻第一 高校が、長髪の女性指揮者のもとで
このアルヴァマー序曲をまるでバーンズから直接指導を受けたようなとてつもなくゆったりとしたテンポで淡々とした演奏を
お披露目して銅賞の評価を受けていましたけど、当時は「なんて覇気のない演奏!」と感じたものですけど、
あれってもしかしたら、あの演奏こそがバーンズが望んでいた演奏なのかもしれないですね~・・
これもさらに余計な余談ですけど、アルヴァマー序曲はニコニコ動画においては最もアップされている数の多い吹奏楽曲であり、生演奏、打ち込み、果てはVOCALOIDによる口三味線など、多種多様な動画を楽しむことが出来る曲としても
一部で知られています。
そしてこれもまた余計な話かもしれないですけど(汗・・)、確か1996年~97年頃に雛形あき子主演のドラマで
(マラソンを題材にしていたスポ根ドラマで、主人公の女の子は実は男だっという大どんでん返しのトンデモドラマでしたが・・・)
主人公たちが走っている時のBGMで、このアルヴァマー序曲が流されていて驚いた記憶があります。
バーンズという作曲家は、日本においては、1982年のアルヴァマー序曲によってメジャーになっていったと思います。
同年に「呪文とトッカータ」というこれまた素晴らしい曲で、大いに当時の聴衆を魅了しています。
というかこの曲はいつの間にか「呪文とトッカータ」というタイトルが「祈りとトッカータ」に変更に
なっていますが、なぜ表記名が変わったのでしょうかね・・・?
習志野高校は、当時も現在も吹奏楽の名門校で、自由曲はほとんどアレンジもので出ていますが、
1982年は、なんとこの「呪文とトッカータ」というオリジナル曲で臨んでいます。
今となっては信じられない事かもしれませんし、「洗練」が売りの習志野とは思えないほどの豪快で強引なドライヴです!
習志野は、1984年にも邦人オリジナルの詩曲「地底」を選曲していますが、この頃は
随分サウンドも落ち着きを帯びています。
「呪文とトッカータ」の名演は、やはり1983年の福岡工大付属に尽きると思います。
バーンズの作品って考えてみると30年以上も日本の吹奏楽コンクールで演奏され続けているのですよね。
これって流行の浮き沈みが激しい日本の吹奏楽コンクールでは稀有な事だと思います。
だって最近では、あのA.リードすら全国大会はおろか支部大会ですら一曲も演奏されることが無かった
みたいな吹奏楽オールドファンの見地から見てみると
「ありえない・・」としか言いようがない時代に既に入っていますからね!!
だって、例えば1989年~90年代前半にあれだけ大流行した田中賢とか
21世紀初めに大流行したメリッロの「アメリカの騎士~選ばれし者」とか90年代終わりに大流行したスミスの「海の男達の歌」や
70年代に大流行したジェイガーやマクベスの曲は、最近では、耳にすること自体「珍しい」くらいですからね・・・
それでも30年以上に渡って吹奏楽コンクールのレパートリーに欠かせない存在となっている
バーンズは「やっぱり偉大な御方なんだなぁ・・」としみじみ感じてしまいます。
バーンズの作品と言うと、
〇アルヴァマー序曲
〇呪文とトッカータ(祈りとトッカータ)
〇アパラチアン序曲
〇パガニーニの主題による幻想変奏曲
〇イーグル・クレスト
〇百年祭祝典序曲
〇秋のひとりごと
〇ペーガンダンス
このあたりが主要作品なのかな・・・
だけどこの他にも「シンフォニスト」としての顔も持っていて、2016年時点で既に8つの吹奏楽の交響曲を発表しています。
バーンズの交響曲というと、やはり人気が高いのは
交響曲第3番なのかな・・・?
吹奏楽コンクールでも、最近自由曲として選ばれることが多いですよね。
この曲は大変感動性が高い曲としても知られていて、実は亡くなったお嬢さんの追悼を兼ねている交響曲との事です。
だけど、私にとって、バーンズの交響曲と言うと、実は交響曲第3番ではなくて
誰が何と言っても交響曲第2番です。
よく、この交響曲、「映画音楽みたいとか「安物のSF映画のBGMみたい」と悪口を言われることは多々あるようですけど、
「別に映画音楽っぽくても、曲が良ければそれでいいじゃん」という感じなのですけど、
やはり3番の人気には敵わないみたいですね・・・(泣)
私が「この曲大好き!!」って言うんだから、他の人の評価とか吹奏楽コンクールの演奏実績は関係は無いと思ってしまいます。
この交響曲第2番を一言で述べると、とにかく「エネルギッシュ」な曲だと思います。
というかそれに尽きると思います。
特に第3楽章の有無を言わせないあの圧倒的な存在感が光り輝くあの「エネルギー感」の前には
言葉なんて何にも要らないと思いますし、
とにかくとにかくあの「圧倒的なパワー」には全面降伏・脱帽しか無いです!
前進する躍動感とか炸裂するエネルギーの大噴火といった抽象的な形容詞ですら
ピタリとこの曲に当てはまるとすら思います。
でもそれでいて、実は非常に構成が綿密で、主題の提示⇒変奏⇒反復⇒再現みたいな
古典形式を見事に現在に花咲かせたとも言えると思うのです。
それでいて、例えば第一楽章でアラビアというか中東みたいな雰囲気を醸し出していたり、
第二楽章の中間部で、教会音楽みたいというか、バッハみたいなコラールを曲中に引用したりと
実は交響曲第3番以上に芸が細かかったりします。
この交響曲は、三つの楽章から構成されています。
Ⅰ.エレジア
邦訳すると「悲歌」なのかな・・
出だしは、非常にゆっくりとした部分から開始されます。
段々エキサイトしてきますが、早い部分と遅い部分の対比が非常に面白いです。
何かアラビアっぽい雰囲気を感じさせてくれているとも思えます。
Ⅱ.中断された変奏曲
出だしはオーボエのソロから開始され、それがクラリネットからアルトサックスへと引き継がれます。
静かな部分が終わると、少し賑やかな部分が変奏されていきますが、それが一旦静まると
何と、ここで、木管合奏による静粛なバッハみたいなコラールというか聖歌が奏でられます。
この部分は本当に美しくて心に染み入ります。
そして木管コラールが金管コラールにバトンタッチされていきます。
このコラールが終わるとどんちゃん騒ぎが再開されますが、最後は、冒頭のオーボエソロが再現され、静かに閉じられます。
Ⅲ.フィナーレ
いや、この楽章は「すごい」としか言いようがないです! 「エネルギーの固まり」みたいなものを感じます。
冒頭で大太鼓がドスンと響かせ、ホルンが高らかに歌い上げます。
そして、ホルン⇒トランペット⇒トロンボーンと引き継がれていくのですが、この部分の迫力とエネルギーは圧巻です!
中間部で一旦静まるのですが、
ここから面白い仕掛けが用意されています。
バリトンサックス⇒テナーサックス⇒アルトサックスと、何とサックスセクションによる
ソロの受け渡しが展開されていくのです。
この部分が実に斬新だと思います。
そして、更にファゴットのソロへと引き継がれます。
聴き方によっては、バルトークの「管弦楽のための協奏曲」 Ⅱ.対の遊びのパロディーのようにも聴こえなくはないです。
ラストは大変豪快に締めくくられ実にスッキリと終わります。
CDでこの曲を聴く場合、木村吉宏指揮/大阪市音楽団が圧倒的に素晴らしいと思います。
交響曲3番も素晴らしいし、どちらかというと3番の方が「お涙頂戴」でコンクール受けはするとは思うのですけど、
この交響曲第2番の方にも熱い視線を頂ければ、本当に嬉しく思います!!
バーンズのアルヴァマー序曲のことを無視するわけには絶対にいかないと思いますので、本記事においては
バーンズのアルヴァマー序曲について触れさせて頂きたいと思います。
最近の吹奏楽コンクールの小編成の部等でも、バーンズのこの不滅の名序曲がいまだに演奏され続けている事は
とても嬉しく思います。
この曲は、本当に楽しく躍動感があり、実に分り易く親しみやすい曲だったと思いますし、特に後半部分のスピード感と爽快さは
聴いているほうも演奏しているほうもとてつもなくハッピーな気持ちになれることは間違いないと思います。
このアルヴァマー序曲が演奏されるようになったのは1982年ですけど、
実はこの年に、スゥェアリンジェンのインヴィクタ序曲とかリードの春の猟犬と第三組曲が
コンクールデビューを果たしています。
でもこの頃コンクール等で演奏され始めたこれらの吹奏楽オリジナル曲が 今日でも演奏されている事は、
本当にうれしい事であり、 名曲というものは、多少の年月が経過しても色褪せないで
受け継がれていくものなのだなと実感します。
1982年において、どうして吹奏楽コンクールであんなにもインヴィクタ序曲とかリードの春の猟犬と第三組曲が自由曲として
演奏されていたのかというと、もちろん曲自体の魅力が大きいのが第一の要因なのですが、
この年のソニーから発売されている「吹奏楽コンクール自由曲集’82」というLPの中において、
リードの春の猟犬と第3組曲、スウェアリンジェンのインヴィクタ序曲、シェルダンのフォール・リヴァー序曲等の名曲が
収録されていて、この当時の吹奏楽作品に関する情報とか音源というのは、今現在のように輸入盤CDとかユーチューブとか
ニコニコ動画等が何もない時代であり、ソニーのこうしたレコードぐらいしか情報がなく、この年のソニーのレコードに
収録されていた吹奏楽オリジナル作品がそうした宝物の宝庫みたいな曲ばかりということもあり、
1982年の吹奏楽コンクールにおいては、リードの春の猟犬と第3組曲、スウェアリンジェンのインヴィクタ序曲、
シェルダンのフォール・リヴァー序曲がかなり流行していたのだと今更ながら思えます。
私自身もあのレコードを部室からレンタルしてきて、家でカセットテープにダビングし、かなり何度も何度も聴いていて
「やっぱり春の猟犬やアルヴァマーはいい曲だよね~!」と一人悦に入っていたと思います!
アルヴァマー序曲はシンプルだけど素晴らしい名曲だと今更ながらしみじみと感じますね~!
吹奏楽の序曲にも色々ありますが、やはりこうした単純明快な A-B-Aの三部形式で
中間部が美しく、終結部が盛り上がって終わる曲は、 スカッとして気持ちは良いものです。
Aの部分の親しみやすくスピード感に溢れた爽快なメロディーラインとか
力いっぱい駆け抜けていくようなスピード感と切れの良さは格別だと思います。
ラスト近くのクラリネットの16分音符のめまぐるしさは、楽譜を見ていても
「これは金管の陰に隠れてごまかすしかないのかも~」と感じたものです・・(汗・・)
この曲のAの部分の本来のテンポは♩=132という比較的落ち着いたテンポでのアレグロなのですけど、
上記でもちらっと出てきたソニーの「吹奏楽コンクール自由曲集’82」の汐澤安彦指揮の演奏では♩=160前後となっているなど
テンポの解釈が二通りあり、バーンズの指定どおりのテンポで演奏するケースとそれよりも速いテンポで演奏するケースの
二通りの解釈が並立している感じになっています。
テンポが速い場合、Aの再現部のラスト近くの木管パートは阿鼻叫喚の大混乱状態の地獄と化してしまい、
私自身は「あんなめちゃくちゃ速い16分音符は自分のしょぼいテクニックではとてもじゃないけど演奏不能~!」と
感じていたものでした!
後年来日したバーンズが、日本の吹奏楽コンクール等で速いテンポで演奏されたアルヴァマー序曲を聴いて、
「なんじゃこれ・・!? 自分が指定したテンポよりも全然速すぎるじゃん!」とぼやかれ衝撃を受けたとのエピソードも
残されているそうです。
(一説では激怒してしまった・・という話もあるそうです・・汗・・)
だけどアルヴァマー序曲に関しては、作曲者指定のゆったりとしたテンポで演奏するよりは、ソニーのレコードのような
とてつもない快速テンポで演奏したほうがこの曲は断然光り輝くと思いますし、
事実、この曲はコンクール等で演奏される場合は♩=160以上の快速テンポがほとんどでありましたし、
♩=160以上のアレグロのテンポだからこそあの爽快感とスピード感が出てくるのであり、この曲が1982年当時
あんなにも大ブレイクした大きな要因になっているのだと思います。
後年、バーンズは東京佼成W.Оを自作自演のCDを録音していますけど、この時のバーンズ指揮のアルヴァマー序曲は
♩=120前後のとつもなく遅いテンポで演奏されていて、もちろん作曲者本人の指揮でありそれこそが一番正しい解釈とも
言えるのですけど、聴いていても間延びして聞こえるし、この曲の命ともいえる爽快感・切れの良さ・スピード感が
かなり後退していますので、私自身は正直今でもかなりの違和感を感じてしまいます・・(汗・・)
参考までにバーンズ指揮東京佼成W.Оのアルヴァマー序曲の演奏時間は8分30秒で、汐澤安彦時のソニーのレコードは、
6分45秒ですので、やはり印象は全然違ってますね~!
これはかなりマニアックな話ですけど、1994年の関東大会・B部門・高校の部で下妻第一 高校が、長髪の女性指揮者のもとで
このアルヴァマー序曲をまるでバーンズから直接指導を受けたようなとてつもなくゆったりとしたテンポで淡々とした演奏を
お披露目して銅賞の評価を受けていましたけど、当時は「なんて覇気のない演奏!」と感じたものですけど、
あれってもしかしたら、あの演奏こそがバーンズが望んでいた演奏なのかもしれないですね~・・
これもさらに余計な余談ですけど、アルヴァマー序曲はニコニコ動画においては最もアップされている数の多い吹奏楽曲であり、生演奏、打ち込み、果てはVOCALOIDによる口三味線など、多種多様な動画を楽しむことが出来る曲としても
一部で知られています。
そしてこれもまた余計な話かもしれないですけど(汗・・)、確か1996年~97年頃に雛形あき子主演のドラマで
(マラソンを題材にしていたスポ根ドラマで、主人公の女の子は実は男だっという大どんでん返しのトンデモドラマでしたが・・・)
主人公たちが走っている時のBGMで、このアルヴァマー序曲が流されていて驚いた記憶があります。
バーンズという作曲家は、日本においては、1982年のアルヴァマー序曲によってメジャーになっていったと思います。
同年に「呪文とトッカータ」というこれまた素晴らしい曲で、大いに当時の聴衆を魅了しています。
というかこの曲はいつの間にか「呪文とトッカータ」というタイトルが「祈りとトッカータ」に変更に
なっていますが、なぜ表記名が変わったのでしょうかね・・・?
習志野高校は、当時も現在も吹奏楽の名門校で、自由曲はほとんどアレンジもので出ていますが、
1982年は、なんとこの「呪文とトッカータ」というオリジナル曲で臨んでいます。
今となっては信じられない事かもしれませんし、「洗練」が売りの習志野とは思えないほどの豪快で強引なドライヴです!
習志野は、1984年にも邦人オリジナルの詩曲「地底」を選曲していますが、この頃は
随分サウンドも落ち着きを帯びています。
「呪文とトッカータ」の名演は、やはり1983年の福岡工大付属に尽きると思います。
バーンズの作品って考えてみると30年以上も日本の吹奏楽コンクールで演奏され続けているのですよね。
これって流行の浮き沈みが激しい日本の吹奏楽コンクールでは稀有な事だと思います。
だって最近では、あのA.リードすら全国大会はおろか支部大会ですら一曲も演奏されることが無かった
みたいな吹奏楽オールドファンの見地から見てみると
「ありえない・・」としか言いようがない時代に既に入っていますからね!!
だって、例えば1989年~90年代前半にあれだけ大流行した田中賢とか
21世紀初めに大流行したメリッロの「アメリカの騎士~選ばれし者」とか90年代終わりに大流行したスミスの「海の男達の歌」や
70年代に大流行したジェイガーやマクベスの曲は、最近では、耳にすること自体「珍しい」くらいですからね・・・
それでも30年以上に渡って吹奏楽コンクールのレパートリーに欠かせない存在となっている
バーンズは「やっぱり偉大な御方なんだなぁ・・」としみじみ感じてしまいます。
バーンズの作品と言うと、
〇アルヴァマー序曲
〇呪文とトッカータ(祈りとトッカータ)
〇アパラチアン序曲
〇パガニーニの主題による幻想変奏曲
〇イーグル・クレスト
〇百年祭祝典序曲
〇秋のひとりごと
〇ペーガンダンス
このあたりが主要作品なのかな・・・
だけどこの他にも「シンフォニスト」としての顔も持っていて、2016年時点で既に8つの吹奏楽の交響曲を発表しています。
バーンズの交響曲というと、やはり人気が高いのは
交響曲第3番なのかな・・・?
吹奏楽コンクールでも、最近自由曲として選ばれることが多いですよね。
この曲は大変感動性が高い曲としても知られていて、実は亡くなったお嬢さんの追悼を兼ねている交響曲との事です。
だけど、私にとって、バーンズの交響曲と言うと、実は交響曲第3番ではなくて
誰が何と言っても交響曲第2番です。
よく、この交響曲、「映画音楽みたいとか「安物のSF映画のBGMみたい」と悪口を言われることは多々あるようですけど、
「別に映画音楽っぽくても、曲が良ければそれでいいじゃん」という感じなのですけど、
やはり3番の人気には敵わないみたいですね・・・(泣)
私が「この曲大好き!!」って言うんだから、他の人の評価とか吹奏楽コンクールの演奏実績は関係は無いと思ってしまいます。
この交響曲第2番を一言で述べると、とにかく「エネルギッシュ」な曲だと思います。
というかそれに尽きると思います。
特に第3楽章の有無を言わせないあの圧倒的な存在感が光り輝くあの「エネルギー感」の前には
言葉なんて何にも要らないと思いますし、
とにかくとにかくあの「圧倒的なパワー」には全面降伏・脱帽しか無いです!
前進する躍動感とか炸裂するエネルギーの大噴火といった抽象的な形容詞ですら
ピタリとこの曲に当てはまるとすら思います。
でもそれでいて、実は非常に構成が綿密で、主題の提示⇒変奏⇒反復⇒再現みたいな
古典形式を見事に現在に花咲かせたとも言えると思うのです。
それでいて、例えば第一楽章でアラビアというか中東みたいな雰囲気を醸し出していたり、
第二楽章の中間部で、教会音楽みたいというか、バッハみたいなコラールを曲中に引用したりと
実は交響曲第3番以上に芸が細かかったりします。
この交響曲は、三つの楽章から構成されています。
Ⅰ.エレジア
邦訳すると「悲歌」なのかな・・
出だしは、非常にゆっくりとした部分から開始されます。
段々エキサイトしてきますが、早い部分と遅い部分の対比が非常に面白いです。
何かアラビアっぽい雰囲気を感じさせてくれているとも思えます。
Ⅱ.中断された変奏曲
出だしはオーボエのソロから開始され、それがクラリネットからアルトサックスへと引き継がれます。
静かな部分が終わると、少し賑やかな部分が変奏されていきますが、それが一旦静まると
何と、ここで、木管合奏による静粛なバッハみたいなコラールというか聖歌が奏でられます。
この部分は本当に美しくて心に染み入ります。
そして木管コラールが金管コラールにバトンタッチされていきます。
このコラールが終わるとどんちゃん騒ぎが再開されますが、最後は、冒頭のオーボエソロが再現され、静かに閉じられます。
Ⅲ.フィナーレ
いや、この楽章は「すごい」としか言いようがないです! 「エネルギーの固まり」みたいなものを感じます。
冒頭で大太鼓がドスンと響かせ、ホルンが高らかに歌い上げます。
そして、ホルン⇒トランペット⇒トロンボーンと引き継がれていくのですが、この部分の迫力とエネルギーは圧巻です!
中間部で一旦静まるのですが、
ここから面白い仕掛けが用意されています。
バリトンサックス⇒テナーサックス⇒アルトサックスと、何とサックスセクションによる
ソロの受け渡しが展開されていくのです。
この部分が実に斬新だと思います。
そして、更にファゴットのソロへと引き継がれます。
聴き方によっては、バルトークの「管弦楽のための協奏曲」 Ⅱ.対の遊びのパロディーのようにも聴こえなくはないです。
ラストは大変豪快に締めくくられ実にスッキリと終わります。
CDでこの曲を聴く場合、木村吉宏指揮/大阪市音楽団が圧倒的に素晴らしいと思います。
交響曲3番も素晴らしいし、どちらかというと3番の方が「お涙頂戴」でコンクール受けはするとは思うのですけど、
この交響曲第2番の方にも熱い視線を頂ければ、本当に嬉しく思います!!
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