A.リード/ 吹奏楽のための第三組曲「バレエの情景」 → ソロダンサーをフルート奏者に見立てて表現している「パ・ドゥ・ドゥ」にうっとりとさせられます・・

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毎年CBSソニーから「吹奏楽レパートリー集」というレコード・CDが発売されていますけど
1982年の盤は、今から思うとかなり当たり年だったと思います。
その収録曲目の中には

〇バーンズ/アルヴァマー序曲

〇リード/序曲「春の猟犬」

〇スウェアリンジェン/インヴィクタ序曲

〇リード/第三組曲などが確か収録されていたと思います。

これらの曲は今現在でもしっかりと生き残っていますし、
新作の吹奏楽曲のほとんどが翌年以降はあまり演奏されることなく埋もれていく現状では
極めて珍しいと思いますし、「名曲というものは後世にもしっかりと受け継がれていく」と言う事なのだと思います。
アルヴァマー序曲や春の猟犬は確かに以前よりは演奏頻度は低くなりましたけど、それでも初めて世に出て以降
35年以上演奏され続けている事は名曲としての吹奏楽オリジナル作品として認知・定着しているという事なのだと
思います。

「春の猟犬」は今でも忘れることなく演奏され続けているのに対して、どちらかというと
最近はリードの吹奏楽のための第三組曲「バレエの情景」がコンサートでも吹奏楽コンクールでも耳にする機会がググッと
減ってきたことは寂しい気もしますけど、それが「音楽の歴史の流れ」という事なのかもしれないです。

A.リードの吹奏楽のための第三組曲「バレエの情景」は下記の4曲から構成されています。

Ⅰ.ファンファーレと序奏

Ⅱ.パ・ドゥ・ドゥ

Ⅲ.風変わりなポルカ

Ⅳ.全員の踊り

特にⅡとⅣがバレエの雰囲気を色濃く反映させています。

私自身は「バレエ」自体はあまり興味はなかったけどバレエ音楽は昔から大好きだったせいもあり、
20代の頃によく東京文化会館とか神奈川県民センターとか五反田の簡易保険ホールとかに行き、
「くるみ割り人形」・「眠りの森の美女」などを聴いたことも何度かあります。
バレエ上演の場合、バックの音楽は実は録音テープを使用することはあまりなく
実際にオーケストラが生の演奏をすることがほとんどです。
そして観客席の最前席とか端の方のオーケストラビットと言われる狭い場所で
弦楽器・管楽器・そして打楽器が密集して演奏をしています。
打楽器奏者は大抵3~5人程度はいるのですが、ほとんどの場合複数の楽器を掛け持ちし
狭い場所を行ったり来たりして結構大変そうでした。
指揮者も演奏の指揮をとりながら、時には舞台のバレエの方にも目を配り
大変な配慮が求められ、本当に大変だと思いました。
世界的な指揮者の中には、若い頃にこうしたバレエのオーケストラピットでの経験を積み、
生きたバレエとしての生きたリズム感・躍動感を体に叩き込んだ上で、演奏会ホールでの実演に活かしている指揮者も
多いと聞いていますけど、バレエ場歌劇場の指揮経験の有無というのは指揮者の成長と経験の蓄積の上では
必要不可欠と言えるのかもしれないですね。
五反田簡易保険ホール(今現在は、メルパークホールという名称だったかな・・?)は
音響が最悪に近いし音が全然前に響かないゆえに音楽が実に生々しく聴こえるのは面白いものがあります。

バレエの上演を生で見るとよくわかるのですが、
バレエというものは、基本的にはソロダンサーが中心であり、ソロをその他大勢の「全員」がサポートする面も
あるような感じがあります。

その辺りの雰囲気をリードの第三組曲「バレエの情景」においてどのように描いていたのかと言うと、
Ⅱの「パ・ドゥ・ドゥ」ではソロダンサーをフルート奏者に見立てて表現していましたし、
(Ⅱの冒頭のフルートソロはバレエにおいての第一幕からのソロとしてのダンスをイメージさせていると思います)
Ⅳの「全員の踊り」では、代わる代わるにソロと多数メンバーがメロディーラインが交代していく事で
ソロダンサーとその他大勢の踊りの対比を明確に表現していると思います。
全員の踊りの切迫感と劇的な緊張感はいつ聴いても手に汗握るような感覚もあったりしますし、この楽章の
ティンパニとシロフォンと使い方は大変巧みだとも感じられます。

吹奏楽のための第三組曲「バレエの情景」は2017年現在の吹奏楽コンクール・全国大会において

82年/上尾市民吹奏楽団

83年/大塚中

84年/重信中・電電東京

85年/NEC玉川

が演奏していましたけど、私にとっては残念ながら納得できる演奏にはお目にかかれていません。
上尾市民は、なぜかあの演奏が金賞受賞という結果になっていて、私自身も意外以外の何物でもないのですけど
(指揮者の小長谷氏も、あんな素晴らしい演奏をした私が指揮した亜細亜大学は最初の評価は銀賞で、
必ずしも満足いく演奏をしていない上尾が金賞と言うのもおかしな話であると1982年の大学の部金賞ゼロ事件を
批判していましたけど、それは「その通り!」としか言いようがないのだと思います・・)
上尾市民吹奏楽団のⅡのフルートソロがボロボロに崩壊しているし、Ⅳの唐突で強引なカットも完全に
音楽の流れに水を差していると思います。
大塚中は、ⅠとⅢとⅣという珍しい組み合わせです。
(面白い組合せなのですけど、この組曲の最大の聞かせどころのパ・ドゥ・ドゥが省略されると思いっきり肩すかしを
食らったような気分にもなったりします)
この曲で唯一納得できる演奏は、指揮者名・演奏団体はド忘れしましたけど(汗・・)
フーサの「この地球を神と崇める」・ショスタコーヴイッチの交響曲第9番などが収録されている
2枚組輸入盤CDの中で、この第三組曲が収録されていてライヴ演奏というせいもありますが、冷静さと熱気が伝わる
ホットな演奏を聴かせてくれています。

この曲の新しい感覚・視点としての吹奏楽コンクールでの名演とか新しい録音が登場する事を願うばかりだけど、
実際にはこの曲の生演奏の名演を聴く事はもう無理なのかもしれないですね・・(泣)
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