N .ヘス / イーストコーストの風景 →第二楽章のコルネットのソロが大変印象的ですし、第三楽章のラストでサイレン音が鳴り響く曲です。「響け! ユーフォニアム」のアニメ版ではなくて原作の小説版においては、こちらの「イーストコーストの風景」が吹奏楽コンクールの自由曲として描かれています!

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2015年~16年にかけて放映されていた「響け! ユーフォニアム」は私にとっては懐かしくて甘酸っぱいアニメなのですけど、
同時に見ているだけで「現役奏者時代にはアニメでネタにされていたような話も色々あったよね・・」と
思い出す事も多々あり、なつかしいけど決して100%楽しいという作品ではなかったような気もしますね・・(汗・・)

こういう「吹奏楽コンクール」を真正面から取り上げたアニメって、今まであるようでいて
実はあんまり無かった・という感じもありますので、
中学1年から大学4年まで計10年間も「吹奏楽」に関わり、10年間「吹奏楽コンクール」に出場し続けた私にとっては、
あまりにも懐かしいし、あまりにも自分の「興味関心・趣味」に直球を放り込まれた感じなので
とにかく嬉しくて仕方が無いという感じですね。
第一期放映開始の際はとにかくめちゃくちゃ嬉しかったですね!

原作のライトノベルが、まさかアニメ化されるなんて夢にも思わなかったですし、
そのアニメ製作会社が、
「氷菓」・「らき☆すた」・「日常」・「けいおん」等でそのクオリティーの高さで大変高い評価を受けている
京都アニメーションですから、いやでも期待は高まっていましたね。
実はこのライトノベルは読んだことがあり、あまりにも共感度が高い作品でしたので、
「出来ればアニメ化されないかな・・・、でも所詮は、吹奏楽はまだまだマイナーな領域だし、多分無理だろうな・・」と
思っていただけに、第一期放映開始の頃は本当に嬉しい誤算でした!

このライトノベルの簡単な概要を記すと・・・・

北宇治高校吹奏楽部は、過去には全国大会に出場したこともある強豪校だったのですけど、
ここ数年は関西大会にも進めていない・・・・トホホな状況・・・
しかも演奏技術は低下の一途をたどり、部員の士気も決して高くは無い・・・・
しかし、新しく赴任した滝昇の厳しい指導のもと、生徒たちは着実に力をつけていく・・・
実際はソロを巡っての争いや、勉強を優先し部活を辞める生徒も出てくるなど、波瀾万丈の毎日。
そんな中、いよいよコンクールの日がやってくる・・・・・

そんな感じなのですけど、原作者が吹奏楽経験者という事もあるのですけど、
さすが、よく分かっていらっしゃいますよね・・・!!
吹奏楽の世界では、指揮者の先生が異動・転任等で変わると、とたんにその学校は弱体化し
翌年以降はコンクールでは良い成績を取る事が出来なくなり、
それまでは全国大会の常連チームだったのが、途端に支部大会や県大会で消えてしまう事はよくある事なのです。
「響け! ユーフォニアム」は京都府ほ背景にしているのですけど、
京都ならば、最近では、そうした事例は「洛南高校」なのかな・・??
そう言えば、洛南高校は宮本先生の勇退以降は、とんと全国大会でも見かけなくなりましたし、最近では
関西大会で銅賞とか京都府大会でダメ金で関西大会に進めないというパターンも珍しくないようですからね・・(泣・・)

第一期は、全日本吹奏楽コンクール京都府大会で見事に「県代表の座」を勝ち取り、関西大会出場を決めたという
大変いい所で終わったのですけど、
第二期は関西大会と全国大会の話をベースにしています。

ネタバレになる事は避けたいという気持ちもあるのですけど、
この「響け! ユーフォニアム」は結果として、京都府大会を無事に突破し関西大会に進むのですけど
原作のライトノベル版においてはヘスの「イーストコーストの風景」という曲が自由曲として取り上げられています。
アニメ版ではなぜかしりませんけど「イーストコーストの風景」ではなくて、アニメオリジナルの「三日月の舞」という曲に
変更されています。

最初にライトノベルでこの「イーストコーストの風景」の曲名が自由曲に出てきた際には、
本音を言うと微妙・というのか、
「何で今一つコンクールの自由曲としてはそれ程お馴染みで無いこの曲を持ってきたのだろう・・・」と
思ったものです。
アニメではありませんけど、小説で最近で映画化もされた中沢けいの「楽隊のうさぎ」の中で
コンクールの自由曲として登場した曲は、
①コダーイ/ハンガリー民謡「くじゃく」による変奏曲
②レスピーギ/バレエ組曲「シバの女王ベルキス」という大変馴染み&知名度&演奏頻度&人気が高い作品
だっただけに、
「え・・・・、なんで響け! ユーフォニアムはこんな微妙な曲を持ってきたのだ・・・・」と
正直思いましたし、
現在の視点としては、人気曲としては、
スパーク/宇宙の音楽 保科洋/復興 
ウインドオーケストラのためのマインドスケープとかラッキードラゴンみたいな曲の方が旬だし、
滝先生のような「音楽としての正統派」みたいな雰囲気の方としては、
リード/「オセロ」~Ⅰ・Ⅲ・Ⅳ
吹奏楽のための神話~天岩屋戸の物語による
などみたいな正統派路線を真っ向から取り上げる方が合っているんじゃないのかな・・・とも思っただけに
少し意外な感じもしたものです。

さてさて、このヘスの「イーストコーストの風景」ですけど、
全然人気が無いかと言うとそういう事は全く無く、1998年の山形大学による全国大会初演から
昨年の2014年の全国大会まで計5チームもこの曲を自由曲として選んでいます。

この「イーストコーストの風景」ですけど、
作曲者のヘスが、アメリカの東海岸を訪れたときの印象をもとに、
ニューヨークとその近郊の地名・地形・地域を題材にした3曲からなる吹奏楽のための組曲として
まとめたものです。

この曲は下記の三曲から構成されています。

Ⅰ.シェルターアイランド

Ⅱ.キャッツキル山地

Ⅲ.ニューヨーク

全体的には、いかにも「胡散臭いけど素晴らしきアメリカ!!」みたいな感覚だと思います。
Ⅰは軽快でとても爽やかな雰囲気があります。
Ⅱは、静かで内省的な音楽なのですけど、何となくですけど「自然への賛美」みたいなものも感じられ、
「自然の偉大さ」とか荘厳さがひしひしと伝わってくる感じがあります。
この楽章で大変印象的なのは、コルネット(トランペットの一種)のかなり長いソロですね。
あれは・・・、結構心に響く美しいメロディーですね。
ⅢはⅡの雰囲気とは一転して華やかで騒々しい街の雰囲気が生き生きと描かれていますが
同時に「胡散くさい・・・」ともなぜか感じてしまいます。
要は、Ⅱの美しさ・聖なる世界とⅢの喧騒さ・俗なる世界の壮絶な対比というのがこの曲の醍醐味なのかなとも思います。
このⅢ.ニューヨークの打楽器、特にトムトムの叩きっぷりは見ていて本当に惚れ惚れする程の
豪快な響きがありますね。

そして・・・・

この曲の最大の聴かせどころというか見せ場は・・・・

Ⅲ.ニューヨークの終盤で訪れます。

何かと言うと、消防車なのかパトカーなのかはよく分かりませんが、緊急車両のサイレンが
高らかに「ウォォォォォォぉー―――ン」と鳴り響きます!!
最初にあれを聴いた時は驚きましたし、
あのサイレンの音はとにかく凄まじい鳴りっぷりですね。
多分聴いている方、寝ていた方は恐らく驚かれると思いますし、寝ていた方は100%目が覚めると思います。

ヘスにとっては、あの「サイレンの音」こそがニューヨークの象徴なのかもしれませんよね。
20世紀初めにアメリカの作曲家、ガーシュインがパリに行った際に
タクシー・バスの「警笛」に驚き、その印象を自作「バリのアメリカ人」として作曲した際に
警笛の音をそのまんま曲の中に入れてしまったのと全く同じような感覚なのかもしれませんよね。

この「イーストコーストの風景」なのですけど、コンクール初演は、1998年の全国大会での山形大学なのですけど、
よくあんな少ない人数でこの曲を消化出来たものだと改めて驚きます。
打楽器セクションのノリも素晴らしいものがあり、
確かに全体的には少し粗いのですけど、大変生き生きと躍動した音楽を聴かせてくれたと思います。
あの時の山形大学の演奏ですけど、当時の聴衆にとっては、
ほとんどの皆様はヘスという作曲者やヘスの作品は「聴いた事も無い」という方がほとんどだったと思いますので、
仕方が無いとは思うのですけど、
Ⅲの途中で、曲がまだ終わってもいないのに、何と二度にわたって!
「演奏終ったんだ・・」みたいなフライング拍手が入ってしまいます・・・
そのフライング拍手の後で前述の「サイレン」が高らかに唸りをあげて響いたから、
ほとんどの聴衆は色々な意味で度胆を抜かれたかもしれないですね。

たまーにですけど、全国大会でも、曲が終わっていないのにフライング拍手が起きる事もあります。
その顕著で有名な事例が1997年の愛工大名電の「フェスティヴァル・ヴァリエーション」なのだと思います。
ついでに書くと、たまにですけど、課題曲と自由曲の間に拍手を入れてしまう、ポンコツな聴衆もいたりして
驚かされる事があります・・・
その例が、1988年の都大会のプログラム一番の関東一高の課題曲B/交響的舞曲が終わった後に
なぜか拍手をする人が続出し、
指揮者の塩谷先生が困ったように後ろを振り向き、「しーーーっ」という動作をされていたのがなぜか
鮮明に私の記憶の中に残っています。
恐ろしく古い話ですけど、1971年の全国大会・一般の部のカスタムテープを聴くと、
課題曲のマーチの後に普通に拍手が流れていますけど
あの当時は課題曲と自由曲に拍手を入れる習慣でもあったのかな・・・・??
(それは多分ないとは思いますけど・・)

クラシックのプロの演奏会でも、曲が終わっていないのに拍手をしてしまう、ポンコツ聴衆もたまにですけど
いたりします。
以前目撃した事例では、
ウェーバー(ベルリオーズ編曲)の「舞踏への勧誘」のラスト近くで曲が終わったと勘違いして盛大に拍手を
していた方を目撃した事があります。
相当昔の話ですけど、20世紀の大指揮者、フルトヴェングラーがイタリア公演時に
チャイコフスキー/交響曲第5番の演奏時、終楽章のコーダのあの華麗なる大団円というか
主題の再現部に入る直前に、観客が拍手を入れてしまい、
フルトヴェングラーもついつい驚いてしまい、ラストの大団円がメロメロになってしまったという逸話も
あるそうですから、そういうのは古今東西よくある話なのかもしれませんよね。















最後に・・・・

アニメ版の「響け! ユーフォニアム」では、自由曲の「三日月の舞」におけるトランペットのソロを巡って
三年生で部内での人気も高い香織先輩ではなくて、
一年生の高坂麗奈(第三話のラストでいたたまれない気持ちから新世界のメロディーを朗々と哀愁たっぷりに吹いていた子)が
担当する事になります。

それを巡っては香織先輩をとても慕っていた2年生の吉川優子が反発したりと色々とあったりもしたものですけど、

本当にスクールバンドの「人間模様」は複雑で難しいものがあるのだと思います。

それを束ねる部長とか指揮者の先生の苦労は本当に大変なものがありそうです。

アニメ版の「三日月の舞」のトランペットのソロも確かに華麗に幻想的に鳴り響いていましたけど、
トランペット(コルネット)の本来の持ち味の一つでもある「朗々とした歌い廻し」を考えると、
原作ライトノベル版の「イーストコーストの風景」の方が方が合っていたのかもと思ったりもします。
イーストコーストの風景自体そんなにメジャーな作品ではないから、曲の内容はともかくとして曲自体がとにかく壮麗で流麗な
「三日月の舞」というこのアニメのために書き下ろされた作品の方が見栄えはするのかも
しれないですね・・(汗・・)
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