仲本政国 / シンフォニックファンファーレとマーチ(1985年全日本吹奏楽コンクール課題曲C) → 人気は無かった課題曲かもしれないですけど、私は大好きな課題曲です。曲中にマーチでは大変珍しいチューバのソロが朗々と響きます!

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「シンフォニックファンファーレ」という吹奏楽コンクール課題曲のタイトルを聞いて1972年の課題曲を思い浮かばれた方は
相当な吹奏楽マニアで同時にオールド吹奏楽ファンなのだと思います。
シンフォニックファンファーレはマーチなんですけどドラが豪快に鳴り響く曲でもあったりして、あの豪快な雰囲気は
最近の吹奏楽コンクール課題曲では「ありえないのかも~」という感じの課題曲だとも思いますし、ここにも吹奏楽コンクールの
進化というものも窺えると思われます。

シンフォニックファンファーレというタイトルで似たような課題曲というと1985年の課題曲C/シンフォニックファンファーレとマーチ
なのだと思います。
この課題曲はある意味大変分かり易い課題曲でもありまして、タイトル通りの曲そのものだとも思いますし、
冒頭の金管セクションによるファンファーレとそれに続くマーチの二つの要素から構成されています。

最近当ブログでは、1985年の課題曲B/波の見える風景という歴史に残る素晴らしい名曲課題曲があったせいもありますし、
課題曲Dとして「ポップ・ステップ・マーチ」という大変分かり易くて技術的にそれ程大変では無い課題曲もあったせいも
あるのですけど、1985年の吹奏楽コンクールの課題曲C/シンフォニックファンファーレとマーチは
気の毒なほど人気が無い課題曲だったと思います。
曲の構成はファンファーレとマーチから構成されて大変分かり易い曲であるのは間違いないのですけど、
難易度が高い割には演奏効果が得にくいこの課題曲Cの不人気ぶりは作曲者の仲本政国氏には大変申し訳ないのですが、
「ちょっと仕方がないのかな・・」と思わせるものはありそうな気もします。

全国大会でも、この課題曲を選択するチームは少なく、
職場・高校・大学で各1チームのみ、中学では4チームが取り上げていましたけど 一般の部はゼロです。
しかもこの課題曲Cで金賞をゲットしたチームは一つもありません。
あの九州の名門、ブリジストン久留米ですら銀賞に留まっています。

この課題曲意外と難しいです!

冒頭の金管によるファンファーレが完璧に決まったチームは、ほとんど記憶にないと思います。
それほど高音域のファンファーレではないのですけど、この課題曲のスコアを見るとなんとなくわかるように
意外と不協和音が調性とメロディーを曲全体が支配していて、ファンファーレと言うと一般的には華麗・壮麗さ・洗練さという
イメージがあるものなのに対して、この課題曲のファンファーレ部分は華麗と言う感じではなくて曲の雰囲気に
少しばかり不協和音の要素が感じられるからあまり華やかな感じがしないという違和感が
この課題曲が敬遠気味だった理由なのかもしれないです。
そしてファンファーレ部分が終了しマーチの部分が展開されても 意外とリズムが決めにくいというか、
何か吹いていると妙にギクシャクしてしまう錯覚があったりもします。
全体的にあまり「行進曲」という感じはしませんし、歩きながら吹くマーチという感じはほとんどしません。
どちらかというと野外用というよりは屋内用のコンサートマーチと言えるのだと思います。
そう言えばこの年の課題曲D/ポップ・ステップ・マーチも意外とリズムがギクシャクしやすい雰囲気もあったりして、
この年の課題曲にマーチを選んだチームは意外とリズムをそろえる事は大変だったと言えるのかもしれないです。

「シンフォニックファンファーレとマーチ」は冒頭の少しばかり風変わりで不協和音要素がある所も珍しいのですけど、
マーチの展開部分に入っても、中間部にチューバの重々しいソロが入ったり、 打楽器の「トムトム」にソロ部分を与えたりと
曲の中に従来の課題曲ではほとんど見られなかった面白い要素が仕掛けられているのは大変面白いものが
あると思います。
マーチというと展開部はffの連続で一直線に終結部に向けて突進していくという感じもあるのですけど、この課題曲は
終結部の前に曲を一旦静粛な雰囲気にさせた上で、マーチの展開部としてソロ楽器自体を使用する事自体異例とも
言えるのですけど、その異例な展開の中で
吹奏楽コンクールの課題曲やオリジナル曲としては大変珍しい「チューバ」という縁の下の力持ち的楽器の「チューバ」に
光を当てているのは大変素晴らしいものがあると思いますし、
当時のチューバ奏者にとっては「大変だけどやりがいはありそう!」と意気に感じる課題曲だったようにも感じられます。
実際、吹奏楽コンクールの自由曲もそうですけど課題曲においてチューバにソロが登場する事自体極めて珍しく異例な
ものですので、当時のチューバ奏者の皆様にとっては
「そんな普段ボンボンボン・・とひたすらリズムを刻み全体の合奏の土台を支えている役割の自分たちがこんなソロなんて・・」と
思われたのかもしれないですけど、同時に「こんな機械は滅多にないし、是非チャレンジしたい!」と思わせる
ものがあったと思いますし、チューバ奏者にとっては腕の見せところと言えるのかもしれないですね。

確かに課題曲としては不向きかもしれませんけど、 コンサート用の曲としてはかなり面白いものがあると思います。
冒頭のファンファーレに対して、チューバのソロがファンファーレを変奏するような感じでもありますし、
最終的には再度冒頭のファンファーレが全楽器で再現され、華々しく閉じられます。
今改めて聴くと、「あ、意外と面白い曲だったんだな・・・」と思ったりもします。
マーチなのに、華麗な部分と静かな部分の対比の要素がある面白いものがある曲なのだと思います。

この「シンフォニックファンファーレとマーチ」には、「これが決定的名演!」という名演も少ないように思えるのですけど、
この中で素敵な名演が残されています。
中学の部でこの課題曲を取り上げた四国代表の雄新中学校の演奏が素晴らしい演奏だと思います。
演奏がキビキビしている上に、愛くるしいほどキュートな表情を見せてくれます。
冒頭の不協和音的ファンファーレのバランス感覚も申し分ないと思いますし、マーチとしての展開部も躍動感と若々しさに
溢れていたと思います。
チューバのソロはさすがに中学生では荷が重かったとも思えるくらい部分的にたどたどしい感じもありましたけど、
全体的には清らかさと華々しさが感じられました!
自由曲の「こうもり」序曲も素晴らしい演奏だったのですけど、 なぜかこの年は銀賞なんですよね・・・
(いまだに、1985年~87年の雄新の銀賞は納得いきませんね!
 あの3年間の演奏は全て金賞に相応しい演奏だったと私的には感じております!!)

埼玉県の職場一般の部を代表する名門チームというと「川越奏和吹奏楽団」の名前が挙がると思いますが、
この川越奏和が初めて県代表として関東大会に臨んだ際の自由曲は、あの「ダンス・フォラトゥーラ」でお馴染みの
クロード・スミスの 「祝典のための序曲」でしたし、
課題曲が「シンフォニックファンファーレとマーチ」だったのでした!
当時の編成は30名近くの小編成で、現在のプロみたいな雰囲気とはえらい違いの素朴でのびのびとした雰囲気を
漂わせていた演奏でした。 吹奏楽の名門チームの原点と言える演奏なのかもしれませんよね。
そしてあの「シンフォニックファンファーレとマーチ」の演奏は、とてつもなく正攻法のアプローチで曲の隅々まで
才気煥発みたいな雰囲気に溢れていました。
あの演奏はトラヤのカスタムテープで聴いたことがありましたけど、そのテープの存在が現在行方不明となっていて、
あの演奏をもう一度聴いてみたいなぁ・・と感じたりもしますね。

この「シンフォニックファンファーレとマーチ」の演奏として東京佼成の参考音源もありましたけど、あの演奏も
結構ワイルドであり野性味みたいな雰囲気もありまして、ああいう解釈も面白いものか
あると思っています。
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