C.サン・サーンス / 組曲「動物の謝肉祭」 → 保守的な作曲家でも生涯に一度ぐらいは、こうした「子供にでもわかりやすい曲」を作曲するものなのですね・・

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自分で言うのもなんですけど随分とお久しぶりの「クラシック音楽カテゴリ」記事ですね・・(汗・・)

確か当ブログの元々の始まりは「音楽ブログ」であったような気もするのですけど(汗)、そんな遠い昔の話は
管理人の私も忘れてしまいました・・(滝汗・・)
ま・・だけどたまにはこうしたクラシック音楽のことも書いてみたいと思います。

フランスの作曲家、C.サン=サーンスと言うと交響曲第3番「オルガン付」とか歌劇「サムソンとデリラ」・交響詩「死の舞踏」などが
代表作で有名なのでしょうけど、誰もが一度ぐらいは聴いた事があるメロディーと言うと、
組曲「動物の謝肉祭」の中の白鳥・ガイコツが群を抜いているのではないかと思います。
特にあの「白鳥」の美しいメロディーは人の心を打つものがあると思いますし、この「白鳥」がこんな楽しくて才気煥発な
茶目っ気にあふれたこの組曲の中の一曲というのもとても意外な感じも実はあったりもします。
というか、この組曲を聴いて頂けるとわかるのですけど、第12曲・ガイコツの弾けたPOPな雰囲気と終曲でもある第14曲の
あの華麗な響きの間に挟まっているから、余計に「白鳥」の美しくて清楚な響きが浮き上がっているようにも
感じられたりもします。
ちなみにこの「白鳥」ですけど、私が大学の吹奏楽団にいた頃に、音楽コーチによる個人練習の際に時折、この「白鳥」が
使用され、コーチがピアノで伴奏をされていて、この「白鳥」のメロディーをクラリネット一本で
「人が声で歌うようにたっぷりと感情をこめて吹きなさい」と言われて、思い入れたっぷりに白鳥のメロディーを吹いていた
記憶があったりもします・・
そして実際に吹いてみてもあの「白鳥」のメロディーはどこかこみあげてくるような感情の高ぶりも間違いなくあったと思います。

それにしてもサン・サーンスという作曲家は、クラシック音楽の作曲家のイメージとは異なり
随分と長生きしたみたいですね。
サン・サーンスは若い頃の作品と晩年の作品にそれ程目立つ変化は感じられず
終始「フランス的な粋な感じ」・「優雅さ」をモットーにしたような感じもします。
サン・サーンスは、19世紀と20世紀の両世紀で活躍した方ですが、
晩年の頃は、ドビュッシーやラヴェルが活躍した時代も終焉を迎え、ミヨー・プーランク・オネゲルといった
新・6人組がフランス音楽界を席巻しようとした時代であり、ストラヴィンスキーも活躍の拠点を欧米に移し
それまでの原始主義を乗り越え新古典主義に移ろうとしていた、そんな環境下でも
頑なに「古き良き伝統」を固く死守したサン=サーンスの頑固一徹さには敬意を表したくなります。

そうしたサン=サーンスも中には可愛らしい作品もあったりします。
それが組曲「動物の謝肉祭」であり、かなりおふざけ要素もあったりもします。
そうした事情があるせいなのか、この曲だけは生前唯一作曲者自自身が出版を許可しなかったとのことです。

この「動物の謝肉祭」は下記の14曲から構成をされています。

1 .序奏と堂々たるライオンの行進
2 .雌鳥と雄鶏
3 .らば
4 .亀
5 .象
6 .カンガルー
7. 水族館
8 .耳の長い登場人物
9 .森の奥のかっこう
10 .大きな鳥籠
11 .ピアニスト
12 .ガイコツ
13 .白鳥
14. 終曲

編成は、ピアノ二台と小規模の管弦楽の編成で、打楽器はガイコツで出てくるシロフォーンに留まっていて、
管楽器もフルート・クラリネットだけだったと思います。
楽章の中でライオン・カッコー・ロバ・雌鶏・水族館の魚・象などの身近な動物がユーモラスに描かれています。
グラスハーモニカの入った幻想的なメロディーに、分散和音のピアノ伴奏が添えられている水族館も大変美しいですね~!
森の奥のかっこう はクラリネットがかっこうの鳴き声を模写しているのですけど、あれもとても涼しい雰囲気が伝わっていると
思います。
大きな鳥かごで用いられるフルードの響きも爽やかだと思います。
この組曲の中で特に際立っているのが、サン・サーンスの嫌味と言うか毒も加わっていると思うのですが、
カメとピアニストだと思います。

「カメ」は、オッフェンバックの「天国と地獄」のカンカン踊りの部分をわざとスローテンポにした
音楽で表現され、「自分から見ればオッフェンバックなんて作曲家はどん臭いカメみたいな存在だ」という事を
暗に仄めかしているようにも思われます。
この組曲で唯一「ヒト」が登場しますが、それが「ピアニスト」というのもなんだか面白いものはありそうですね・・
「ピアニスト」は練習曲らしい単調な旋律をつまらなそうに演奏するというのが演奏上の解釈と思われますけど、
解釈としては二通りあるようで、
一つは、つまらなそうに機械的に単調に弾く感じと、二つ目は
いかにも素人っぽく、わざと間違えたり、二人のピアノ奏者のタイミングを微妙にずらしたりするなど
「下手さ」をアピールする解釈なのだと思います。
私が持っているシャンドス盤のCDは(モントリオールミュージックみたいな演奏団体だったかな・・?)
明らかに後者のタイプで、これはその間違え方やずれ方が半端じゃない位面白く極めて印象に残っています。
ただ、生で聴く演奏会では前者の解釈が多いような気がします。

「白鳥」は冒頭で書いた通り一転して清楚な音楽です。この曲のメロディーは誰しも一度は聴いた事があるに違いないほど
かなり有名なメロディーです。
「ガイコツ」はシロフォーンが終始大活躍しますが、よく聴くとこの曲の主題は
サン・サーンスの作品でもある交響詩「死の舞踏」の転用ですね。
終曲は、全員大集合みたいなオールスターのような雰囲気で、盛大に盛り上がって曲は閉じられます。

「動物の謝肉祭」の生の演奏で印象的だったのは、
サントリーホールでのこどもの日用のプログラムでした。
この中のメインプログラムはこの「動物の謝肉祭」でしたが、
子供に音楽の楽しさを感じてもらうには、うってつけの曲だと思いました。
演奏者も、例えば「カッコー」のクラリネット奏者は、立ち上がって頭上にカッコーの絵が描かれた
帽子を被るなど色々と細かい演出があったのは印象的です。
この日のラストは、なぜかストラヴィンスキーのバレエ組曲「火の鳥」で、
前半はファンタジー溢れる曲調のせいか、大半の小さい子供たちは爆睡状態でしたけど
「魔王カスチェイの凶悪な踊り」の金管と大太鼓の「ズドン」というとてつもない破壊音が鳴り響くと
一斉に子供たちがピクンと跳ね起きた光景は、結構印象的でした。
指揮者の沼尻さんは、それを意図していたのかもしれないですね。

最後にこの「動物の謝肉祭」は後藤洋(カンティレーナやカドリーユの課題曲作曲者でもあります!)によって吹奏楽に
アレンジもされていますけど、あれは確かに賛否両論ありそうなアレンジだと思うのですけども
私は見事な編曲だと思いますし、吹奏楽の「新しい可能性」を示唆したようなアレンジのようにも感じられます。
原曲には金管楽器は一切登場しませんし、オーボエ・ファゴットも原曲にはありませんから、相当苦労したのかも
しれないですけど、特に終曲においてチャイムから開始されるあの明るい響きは
原曲にはない世界も伝わってきていて、私は結構大好きです!
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