24.東海大学第四高校 【現.東海大学札幌高校】
D/吹奏楽のための神話~天の岩屋戸物語による (大栗裕)
全部門を通じて最高の課題曲D「すてきな日々」た゜ったと思います。
この年は、結構あちこちの県大会・支部大会、そして普門館開催の全国大会と色々聴いていましたけど、
東海大学第四高校を超越する演奏は結局存在しなかったのかも・・というのが一応私自身の感想でもあります。
この「すてきな日々」は本当に楽しい曲で、とてもじゃないけどコンクールの課題曲みたいな堅苦しい曲には
到底思えないほどのノリのいい曲でもありました!
こういう底抜けに楽しい課題曲って吹奏楽コンクール史上でもそんなになくて、他には
1974年の「高度な技術への指標」とか77年の「ディスコキッド」とか80年の「オーバー・ザ・ギャラクシー」あたりが
思い浮かびますが、「すてきな日々」は、ビギンとかスイングみたいに部分的にジャズみたいな雰囲気も漂わせていて、
そのあたりの「粋な感じ」がとってもすてきだったと思います。
東海大学第四高校以外で印象に残った演奏って他にどこがあったかな・・?
東京支部の演奏でしたけど、葛飾吹奏楽団がとにかく強引で粗っぽいドライヴなんですが、
とてつもなくバカでかい音量でのあのノリと勢いのある演奏は、支部大会銅賞ではあったのですけど、
あれはあれで立派な「すてきな日々」だったと思うのですけど、
案の定、頭の固い(?)審査員の皆様は銅賞という評価をされていましたね・・
全国大会の中学の部なのですが、大月東中学校がわずか34名の奏者ながらも大変立派な演奏をしていたのは
とても強く印象に残っています。
「すてきな日々」は、通常の打楽器奏者は、ティンパニ・ドラムセット・大太鼓・サスペンダーシンバル・シロフォン・グロッケンで
6人奏者を必要とするのですが、ドラム奏者が大太鼓とサスペンダーシンバルをドラムセットとして兼用する事も可能と
確かスコアに書かれていたような気もするのですが、大月東の打楽器セクションは、そうした方法で4人のみで
この課題曲を演奏していたのは、全国大会としては大変珍しかったせいもあり、
印象が強かったようにも感じられます。
東海大学第四高校の「すてきな日々むは、とにかく「巧い!」としか言いようがない大変高度なテクニックが随所に
顔を見せていたと思います。どのあたりが特に印象に残っているのかと言うと、
部分的にまるで「ジャズ」を聴いているかのように演奏が「スィング」しているようにも聴こえ、
特にトロンボーンの洒落っ気たっぷりのグリッサンド気味の演奏は素晴らしいとしか言いようが無かったです!
木管も金管も音色が大変美しい上に、こうしたジャズっぽい粋な雰囲気を巧みに醸し出していましたので、
聴いていて「向かうところ敵なし!」という感じでしたし、私の中では、課題曲の段階から既に金賞は当確が
出ていたような気がするほど完成度は大変高かったと思いますし、前述の通り、この年の全部門を通して
最高の課題曲Dの演奏であったと思います。
自由曲の「吹奏楽のための神話」も文句のつけようがない演奏でした!
この曲はこの当時既に淀川工業とか尼崎吹奏楽団とか名演が出ていたのですけど、
そうした関西系の過去の名演に決して見劣りしない素晴らしい演奏を聴かせてくれていたと思います。
踊りの部分の変拍子も、「変拍子を全く変拍子と感じさせない」演奏で、通常こうした変拍子の曲は聴いている方も
どことなく疲れてしまう傾向もなくはないのですが、
東海大学第四高校の演奏は、その点が大変楽に聴かせてくれていて、変拍子が実にナチュラルに
響いていたと思います。
非常に安定感がありました。 課題曲と少し雰囲気を変えてきていて、
幾分音色がねっとりしていたようにも感じられましたが、逆にそれは日本の神話の世界に大変マッチしていたと思います。
踊りの部分の後の静粛な部分以降、フルートとクラリネットのソロは大変美しく緊張感を
持続しての演奏でしたが、
残念だったのは、その後のクラリネットの二重奏の部分があっさりカットされていた事でした!
あの部分は、曲の中でもかなり重要な部分なので、
出来れば演奏して欲しかったと思わずにはいられなかったです。
あのクラリネット二重奏部分が意味している事は、天照大御神が岩戸を閉め切って、この世から「太陽の光」を
遮断してしまって困っていた時に
「それじゃー、どんちゃん騒ぎをやらかして天照大御神様がなにやってんだ・・・うるさいな・・と思って
岩戸を開けた瞬間を逃さずに、天照大御神を引きずり出して再び太陽の光が地上に当るようにしよう!」という
神々の企みについつい乗っかってしまった天照大御神が岩戸を開けて、太陽の光が差し込む事を示唆しているものですから、
やはりあのクラリネット二重奏の部分はカットされると、なんか物語全体が台無しにもなりかねない危険も
ありましたので、やはり尼崎吹奏楽団のようにあの部分もノーカットで演奏して欲しかったと思いますが、
それが出来ないのも、吹奏楽コンクールの12分間という「時間制約」の問題が大きいと言えるのかもしれないですね。
それにしても東海大学第四高校のあのクラリネット奏者はべらぼうに上手かったと思います!
あんな長いソロをノーミスで雰囲気を壊さず「緊張感」を常にキープしてのあのソロは、
この年のこのチームの金賞に花を添えていたと思いますし、とにかくお見事な演奏だったと思います。
余談ですけど、東海大学第四高校の自由曲の選曲は指揮者の井田先生が決める事が多いとの事なのですが、
この年に関しては生徒自身が自ら井田先生に「今年は神話はどうですか・・?」と提案し、井田先生も
同意されたとの事です。
ではなんで生徒さん達が「神話」を選曲したのかというと、理由は単純明快で
(1989年当時は)「神話」を自由曲に選んだチームの全国大会金賞率が極めて高かったため・・というのも
いかにも吹奏楽コンクールらしい話でもありますね・・(笑)
- 関連記事
-
スポンサーサイト
コメント
コメントの投稿
件のトラックバック