17.銚子商業高校
A/ディオニソスの祭り(シュミット)
世間一般の方の感覚からすると「銚子商業」というと高校野球の名門とか甲子園の優勝校みたいな
イメージがあるのかな・・・とも思ったりもするのですけど
私のようなオールド吹奏楽ファン(ま・・一応今現在のコンクールの演奏も聴いていますし大好きですけどね・・・苦笑・・)ですと、
銚子商業と言うと、小澤先生指揮でのあの素晴らしい演奏の数々なんですよねぇ~!!
そうですね・・・・
個人的には、1979年の楽劇「サロメ」~七つのヴェールの踊りは、アレンジは今一つですけど
演奏は大変格調が高く色気が感じられとっても大好きな演奏です。
小澤先生は今現在も神奈川大学を指揮されて、現役バリバリなのですけど、
駒澤大学の上埜先生がご逝去された今、是非是非「現役」を続けられ、あの素晴らしい演奏をまだまだ
私達に聴かせ続けて頂きたいと思います。
だけど、この小澤先生は本当に偉大な吹奏楽指導者&指揮者ですよね!
だって・・・・
1970年代初頭に銚子商業を指揮されて以降、全国大会出場は、2015年現在でなんと計36回!!
しかも・・・
その内33回が金賞というのは、まさにこの数字は驚異的なものだと思います。
しかも・・・銀賞3回のうち2回は、1971年~72年の初出場間もない頃の銚子商業時代という事を
考えると、1980年代以降は、1997年のイベリア以外は、「全国大会に出れば全て金賞」という
とてつもない数字を叩き出しています。
本当に・・
1970年代のまだ日本の吹奏楽が試行錯誤を繰り返している段階から今現在に至るまで
素晴らしい演奏と凄まじい実績を残されている小澤先生には本当に頭が下がる思いですし、
とにかく・・・
まだまだ日本の吹奏楽界を盛り上げていって欲しいと切に切に・・・願っております!!
最近の小澤先生の指揮による神奈川大学の演奏においては、
三善晃/交響三章、バルトーク/中国の不思議な役人、田村文生/残酷メアリ
シュワントナー/・・・・・・そしてどこにも山の姿はないが
大変強く印象に残っています。
特に・・・交響三章のあの神がかった演奏は・・・1980年の秋田南高校のやはり神降臨の演奏に
勝るとも劣らない大変素晴らしい演奏だと思います。
だけど・・・
そういう小澤先生も、1970年代の銚子商業時代には、歌劇「運命の力」序曲とかリシルド序曲とか
今では絶対にありえない選曲をされていたのがなんかとても興味深いです。
というか・・・
小澤先生の全国大会初出場の際の自由曲が、シベリウス/交響曲第2番終楽章というのも・・・・
うーーむ、今では100%絶対にありえない選曲ですね・・・(苦笑・・・)
さてさて・・・
1980年の銚子商業ですけど、この演奏もとにかく「素晴らしい!! まさに名演!!」の一言に尽きると
思います。
自由曲は、フローラン=シュミットの難曲中の難曲、「ディオニソスの祭り」なのですけど、
そうですね、よく過去のBJとか吹奏楽コンクールの関連本なんかを読むと、
「1977年の銚子商業のディオニソスの祭りの名演は、高校の部の進化と躍進を示唆した演奏」と
評価される事が多いような気がするのですけど、
あくまで私の意見として言わせて頂くと、銚子商業の「ディオニソスの祭り」は、1977年の演奏よりも
この年、1980年の演奏の方が全然秀でていると思います。
77年の演奏は、確かに上手いのだけど、なんか部分的に消化不良とか迷っている・・・みたいな印象も
受けたりするのですけど、
この1980年の演奏には、そうした「迷い」は全く無いと思います。
奏者全員が自信と誇りを持ってこの曲に挑んでいるのが手に取るように伝わってきます。
この「ディオニソスの祭り」は本当に大変厄介な難曲ですし、数多くのチームがこの曲に挑んで
玉砕する様子を何度も目撃したものですし、
「労多くして実りが少ない」というのか、難曲をなんとか音にしながらも
聴く者になんにも伝わらないトホホ・・・・な演奏が多い中でも、
この年の銚子商業は、間違いなく聴衆に「何か」を伝えていたと私は確信しております。
その「何か」とは・・・・
音楽の中に潜む「魔物」である事は間違いはないのでしょう・・・
課題曲A/花祭りは、正統派の演奏です。
感覚からすると、鄙びた枯れた世界の前橋商業の路線に近いようにも感じられるのですけど
西洋的な「機能性」の香りも漂っていて、
両者のバランスがきちんと取れているようにも思えます。
やはりソロはぺらぼうに上手いですね・・・
自由曲の「ディオニソスの祭り」もとにかく・・正攻法な演奏です。
1985年の豊島区吹奏楽団の演奏以降、後半以降の細かい動きをバッサリカットする演奏が
増えてきたようにも感じられるのですけど
銚子商業は、そういう細かい刻み&動きを展開する場面も唐突で無理なカットをする事も無く
そうした細かい動きにもカットする事なく、真正面から正々堂々と挑んでいますから、
やはり「凄いな・・・」と感じずにはいられないです。
ま・・・曲自体どこか「いかれて酔っぱらった様な曲」でもあるのですけど、
そういう「感覚」・「魔物」に溺れる事も無く
全体的には大変洗練され、「上品さ」を決して失わない演奏だったと思います。
特に・・・・ラスト近くの追い込みはお見事です!!
小澤先生は銚子商業と神奈川大学で何度かこの「ディオニソスの祭り」を自由曲にされているのですけど、
そうですね・・・・
あくまで私自身の好みですけど、
1980年の銚子商業・1982年の神奈川大学、1993年の神奈川大学の演奏が
特に時に大好きです!!
最後に・・・・
あくまで個人的な趣味ですけど、この「ディオニソスの祭り」で小澤先生の指揮以外で
大好きな演奏と言うと・・・・
1.1985年の兵庫県の御影高校
2.1993年の乗泉寺吹奏楽団
ですかね・・・
だけど・・・あの楊先生指揮の御影の「すさまじくアクが漲った演奏」は・・・素晴らしかったですね!!
あれは・・・
当時の自分の周辺では「兵庫高校の吉永陽一先生の再来!!」と話題になっていました・・・
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銚子商業=野球の名門=斎藤先生のイメージです。
吹奏楽も名物先生がいたんですね。
昭和49年(1974)の夏の甲子園で優勝。
土屋投手(中日→ロッテ)・篠塚選手(巨人)がいた時期です。
斎藤先生は高校野球ファンの間でも有名で、かなりの戦略家。
昭和48年(1973)の夏の甲子園では、作新学院の江川投手(巨人)のクセを全て把握して、部員に伝えてます。
ちなみに、地元の銚子商愛はハンパなく、負けて帰ってきたら容赦ない罵声を浴びるそうです。
しかも朝6時に着いたとたんにですが、漁港だから、みんな起きていますからね。