15.淀川工業高校
A/大阪俗謡による幻想曲(大栗裕)
そうですね・・・
この「大阪俗謡による幻想曲」は、2015年現在、淀川工業による全国大会初演以降
計24回全国大会で演奏されているのですけど
そのうちの9回が丸谷先生指揮の淀川工業(現・淀川工科)という事実は、正直・・・
評価が分かれるのかな・・・と感じてしまいます。
良い方に解釈すれば、
「本当に丸谷先生はこの曲を愛しているんだなぁ・・」と思ってしまいますし
悪い方に解釈すれば
「いくらなんでも1997年以降だけでも3回に一回の割合でこの曲を自由曲に選ぶとは
ワンパターン・マンネリ化にもほどがある!!」という風にも言えると思います。
ま・・・淀川工業自体、1995年以降は
ダフニスとクロエ第二組曲・スペイン狂詩曲・大阪俗謡による幻想曲の3曲以外の自由曲は
一切選曲していなくて
さすがに・・・
「これはいくらなんでも他校に失礼でしょ・・・」とか
「同じ自由曲のたらい廻しばかりして恥ずかしくないのかな・・・」とも感じる事は多々あります・・・
勿論・・・・部外者の自分なんかには到底知る由も無い丸谷先生としての事情もありますので、
この一件に関しては、
そうですね・・・・
これ以上は触れないようにしたいと思います。
ただ・・・
「勿体無いな・・・」と思う時はあります。
丸谷先生ぐらいの実績&指導力がおありの方でしたら・・・
出来れば・・・
勇退される前に一度ぐらいはこの三曲以外の自由曲をご自身としての「最後の思い切った挑戦」として
挑んで頂ければ
嬉しいな・・・とも思ったりもします。
あくまで私の個人的好みですけど、丸谷先生の指揮ならば是非一度・・・・
〇仮面幻想(大栗裕)
〇復興(保科洋)
〇吹奏楽のための木挽歌(小山清茂)
〇バレエ音楽「シバの女王ベルキス」(レスピーギ)
〇序曲「ピータールー」(アーノルド)
あたりの曲は是非聴いてみたいですね!!
「木挽歌」は、1991年にサントリーホールで開催された「吹楽」というコンサートで淀川工業が
取り上げていましたけど、
私、あの演奏は生で聴いていましたけど、とにかく素晴らしかったですね!!
あれは、是非全国大会の舞台でもあの世界を是非再現して頂きたいと願っています。
さてさて・・・
大栗裕の「大阪俗謡による幻想曲」ですけど、この曲を自由曲に選ぶチームって
圧倒的に関西圏のチームが多いですね。
淀川工業の他には、尼崎吹奏楽団・近畿大学・大津シンフォニックバンド・天王寺川中学校・金光八尾などが
この曲を自由曲に選んでいるのですけど、やはり関西圏が多いですね。
というか・・・・
関東・東北ブロックでこの曲を自由曲にして全国大会に臨んだチームは皆無のはずだと思います。
数少ない例外が、1989年の札幌白石高校なのですけど、
あの演奏、私も普門館で生で聴いたのですけど、全然白石らしくないよそ行きのなんか不自然で、ノリが悪い演奏
だったのですけど、
やはりこの曲は・・・・
「大阪の古い歌」というご当地ソングでもあるのかな・・・
やはりあの曲を演奏すると関西の方は血が騒ぐのかもしれないですけど、
私のように東北生れ・関東育ちだと・・・
正直・・・「何それ・・・??」みたいな感覚があるのかもしれないですよね。
事実・・・・
この曲には多分いくつかの関西の「俗謡」がフレーズとして出てきているのでしょうけど、
私には・・・・一つも分からない・・・
多分ですけど、この曲を自分自身が吹いたとしてもあんまりピンとこないのかもしれないです。
逆に関西圏の方がこの曲を吹くと・・・
何か「燃えるもの」があるのかもしれないですよね。
だけど、この曲、本当にリズムをつかむのが難しいですよね・・・・
私が卒業して一年後に母校の高校の後輩達がこの曲を定期演奏会で演奏していましたけど、
まーー、ノリが悪い事わるいこと・・・そして・・・
恐ろしいくらいリズムがギクシャクしていましたね・・・(苦笑・・)
後日この曲のクラリネットのパート譜を見たのですけど、
一言で言うと・・・・変拍子が大変面倒でやっかい・・・という印象でした。
あ・・・なんか話が例によって思いっきりそれてしまいました・・・
1980年の淀川工業の演奏に話を戻したいと思います。
課題曲A/花祭りですけど、当日この課題曲を演奏したチームの中ではかなり上位にランクされる大変
素晴らしい仕上がりだったと思います。
当時はこの学校は「男子校」だったと思いますけど、
とにかく・・・サウンドが上品で洗練されていますね。
この課題曲Aは、前橋商業みたいに鄙びた枯れた路線で行くのか、高岡商業・兵庫・東海大学第一のように
現代的なシャープな感覚で演奏するかで
大分曲としての「印象」が変ってくるのですけど、
淀川工業の場合、その両者のいい所取りみたいな印象もあるほど、サウンドは洗練されていて
日本情緒もたっぷりなのだけど、
「前進していこう!!」みたいな「躍動感」も伝わってきて
洗練さと情緒とダイナミックスが絶妙にマッチした素晴らしい演奏だったと思います。
余談ですけど、淀川工業のステージ衣装が学ランだったのは確かこの年までで、翌年からは
白ブレザーに変ったような記憶があります。
だけど・・・
圧巻はやっぱり「大阪俗謡による幻想曲」ですね。
本当にこの年の演奏は素晴らしい名演だったと思います。
前出の通り。丸谷先生はその後この曲を何度も何度も自由曲に演奏しているのですけど、
率直に言うと・・・・
聴いていて「新鮮」に感じられたのはこの年と1989年の演奏だけかもしれないです・・・
1997年以降の演奏は・・・・
そうですね・・・1980年の演奏の「コピー演奏」のように聴こえてしまう感覚が自分の中にはあります。
もしかして・・・・
丸谷先生自身が
「自分自身が自分がかつて築いた壁を乗り越えたい!!」と願っているから、何度も同じ曲を自由曲として選んでいるけど
いまだに・・・
昔の壁を越えられないで再挑戦を続けている・・・
なんかそんな風にも思ったりもするくらい、この年、1980年の淀川工業の「大阪俗謡による幻想曲」は
素晴らしかったと思います。
リズムが全然ギクシャクしていないし、演奏も表現も実に自然でのびのびと吹いていて
いかにも・・・
「わてら、アホやでぇ~、何か文句ありまっか?」みたいな大阪のノリと情緒が大変生き生きと描かれていたと
思います。
この曲を演奏する場合、今でも結構多くのチームが「鈴」にひもをつけて、鈴を高く持ち上げてゆっくりと下げて
しゃりしゃりと鳴らす演奏スタイルを採用していますけど
この年の淀川工業が最初にそういう奏法を取り入れ、まさに先駆者と言えるのかもしれないですね。
この曲、トムトムとチャンチキの二つの打楽器が大活躍するのですけど
淀川工業の場合、まさにそれがドンピシャ!!という感じでした。
中間部のオーボエの鄙びたソロも大変情緒が溢れ出ていたと思います。
ラストのチャンチキの追い込みも本当にお見事でした!!
そうですね・・・色々なチームがこの曲に挑んでいますけど
私個人の感想としては、1980年の淀川工業を超える演奏は・・・
1980年以外の淀川工業を含めても、存在しないような気さえします。
まさしく・・・「稀有な名演」といった感じですね!!
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さて、淀川工業ですが、ここんとこの3年ごとのタライ回しは、私も正直「そろそろ飽きてきた」感じですね。
淀工は、基本的に凄く上手な演奏をしてくれますから、個人的にはもっといろいろ「チャレンジ」してほしいところですよねぇ。
今は異動で境港市に住んでいますが、昨年の11月までは淀工の隣町に住んでおりまして、吹奏楽部の練習中の演奏をちょくちょく生で聴く機会がありました。
丸谷先生も、私が中学時代に1度だけですがご指導いただき、なぜか顔を覚えていただいたみたいで、個人的にお付き合いのある吹奏楽関係者の1人なんですw(もちろんタライ回しの理由なんか恐ろしくて聞けませんが><)
私の中では、淀工といえば「アルメニアン」と「エル・サロン・メヒコ」が大好きなんですが、また演奏して欲しいですねぇ。