先日と言っても大分日が経過していますけど、
8/9(日)の仕事からの帰宅時に何気なくテレビのリモコンを廻していると
N響の定期演奏会の模様が流れていました。
見た時には、アンドリス・ポーガという若手指揮者のインタビュー画面となっていて
それを見ていたら、次の曲が、私が大好きで大好きで仕方がない曲の一つ、ラフマニノフの「交響的舞曲」を
演奏すると言うので
ついつい見入ってしまいました・・・・
あのインタビューもかなり興味深いものがありました。
このアンドリス・ポーガという指揮者は、すいません・・私、初めて聞く名前でしたけど、
若手のいかにも・・・「誠実・・・」みたいな雰囲気がにじみ出ているようなお方でした。
このインタビューの中で、
「この交響的舞曲は、大変難しい曲」
「第一楽章の中間部でアルトサックスを使用している部分があるが、多分あれは、アメリカ亡命以降に
アメリカの風土から影響を与えられた証拠なのだろう・・・」
「特に第三楽章は、曲が大変精密に作られているので解釈が大変難しい」などと
色々と言われていましたが、
確かに・・・
第一楽章の中間部で唐突にアルトサックスのメランコラリックなかなり長大なソロが登場してくるのですけど
あれは・・・
聴く方としては、すごい唐突と言うのか
ラフマニノフのように寡黙でストイックで超・真面目な人が
ああいうなんて言うのかな・・・「アルトサックス」みたいなクラシック音楽とは少し縁遠い大衆的で
幾分品格に欠くような(?)楽器を自作に用いている事自体に、いまだに多少の違和感は感じているのですけど
アンドリス・ポーガが指摘するように
「アメリカ生活」からの影響と言うのかアメリカを代表する音楽の「ジャズ」の影響が少しは
あるのかもしれませんよね・・・・
そっか・・・
もしかして・・・
かつてドヴォルザークがアメリカで音楽院の院長を務め、長期間チェコという故郷を離れていた時期に
アメリカの「黒人音楽」から多少の影響があった事と
似ているような事なのかもしれませんよね。
演奏自体、アンドリス・ポーガ本人がインタビューで一番こだわっていた第一楽章が
断然良かったようにも感じられました。
「音のうねり」・中間部のメランコラリックな雰囲気・陰鬱のある表情、ラフマニノフらしい情感が遺憾なく発揮されていた
演奏だと思いました。
第二楽章も面白く聴くことが出来ました。
この第二楽章は「なんか陰気・・」という事で正直自分自身も好んで聴く楽章ではないのですけど
なんかこの日はそうした感じが全くせず、
何て言うのかな・・・・
楽章全体が「悪魔が私と一緒になって踊る・・・」みたいなニュアンスが大変良くイメージされ
「死の舞踏」みたいな陰鬱なワルツが小気味よく展開されていたのが
大変印象的でした。
第三楽章は・・・うーーん、少し雑だったかも・・・というか少し考え過ぎみたいにも聴こえました・・・
この曲は・・・・
私の見解としては、決して「精密な音楽」ではないと思います。
数学的にカチッと理論付で整理整頓される曲と言うよりは、どちらかと言うと・・・・
感情に流されるまま演奏した方がかえってすっきりと仕上がるみたいな感じもあったりもします。
その意味では第三楽章なんかは、
もう少し「気分任せ」でも良かったのかな・・・とも感じましたし
第一~第二楽章の音楽的内容がよかっただけに「少し勿体無いな・・」とも感じてしまいました。
だけど・・・
ラフマニノフというとこうしたクラシック音楽の番組では、
ピアノ協奏曲第2番とかパガニーニの主題による狂詩曲ばかりが取り上げられることが多い中で
こうした「交響的舞曲」を取り上げて頂き
本当に嬉しかったですね!!
この「交響的舞曲」のミニスコアを一度見た事があるのですけど、
第一楽章が一番分かりやすく4/4拍子
第二楽章が結構演奏しにくいというか・・6/8拍子・・
ま、基本的にはワルツ系の3拍子のノリで対応できると思います。
第三楽章はかなり難解・・・拍子も変拍子の連続で9/8拍子と言うかなり不規則なビートが楽章を
支配していました・・・・
第三楽章のスコアを見た限りでは、相当の指揮者泣かせの曲ですね・・・
そっか・・・
そういう意味ではアンドリス・ポーガがインタビューで言っていた事はもっともな事で、
私が先ほど言っていた「もっと気分任せでもいいんじゃないの・・・?」は・・・いかにも素人の発想ですね・・・(苦笑・・)
でもこの曲の第三楽章は、やはり中間部が断然素晴らしいですね!!
なんだか「人生とははかない夢・・・愛は幻・・」とか「浜辺を漂う波」みたいな香りが漂います。
結構泣けてくるメロディーが「これでもか!!」とかなり執拗に繰り返されますが
あの切々としたメロディーがとっても印象に残りますし、
とにかく第一楽章の中間部同様泣けてくる音楽ですし、
やはり思いっきり「郷愁」が漂ってきます・・・・
聴いていて、本当に「せつない感じ」が伝わってきますね・・・・
第三楽章冒頭の「チャイム」の響きが実にいいですね・・・!!
シロフォーンも時に鋭角的な響きを聴かせてくれてとても大好きです。
それと・・・・
曲のラストは・・・・
スコアの上では・・・
ドラ(タムタム)がゴワーーーーンと鳴り響いて余韻を残して終わるように書かれていますけど、
指揮者によってこの辺りは解釈が割れていますね・・・
ネーメ=ヤルヴィのようにドラをゴワーーーンと余韻を残す方もいますし、
マゼールのようにドラの余韻をまったく残さないでバサッと終わらせる方もいますし
このあたりは指揮者の好みなのかも・・・・
この曲の名盤として、個人的には、マゼール指揮/ベルリンフィルを推したいと思います。
この「交響的舞曲」を実質的にラフマニノフの「最後の交響曲」として聴くと、
何かこの曲が生涯を通じて一番哀愁溢れる素敵な作品だな・・・と
感じてしまいますね・・・・
ちなみに・・・・
ラフマニノフ本人は、この「交響的舞曲」の最後のページにて
「私は神に感謝する・・・」という言葉を残しています。
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