恥ずかしながら・・・
ラヴェルという作曲家は、大学生の頃辺りまでは、あのあまりにも有名な「ボレロ」以外は
全く知りませんでした・・・
ではなんでラヴェルの「ダフニスとクロエ」を知るようになったかというと、そのきっかけは・・・
やはりいつものように・・(?)「吹奏楽コンクール」でありまして、
1986年の埼玉栄高校のあまりにも素晴らしい歴史的名演の「ダフニスとクロエ」第二組曲~Ⅰ.夜明け Ⅲ.全員の踊りを
聴いて、あの破竹の快進撃のような怒涛の名演に「凄い・・すごすぎる・・・」と感銘を覚えましたし、
同時に、
「あれれ・・ラヴェルにはこんなに素晴らしい曲があったんだ・・・」と
ラヴェルに興味を持つようになり、
ピアノ協奏曲・左手のためのピアノ協奏曲・舞踏詩「ラ・ヴァルス」・スペイン狂詩曲・マ・メール・ロアなどの
管弦楽曲とか
鏡・水の戯れ・夜のガスパール・クープランの墓・ソナチネなどのようなピアノ曲を
結構聴くようになりましたし、
同時に・・東京文化会館あたりで都内の各オケの定期演奏会等で
ピアノ協奏曲とかスペイン狂詩曲とか道化師の朝の歌などを聴く機会に恵まれ
「あ・・・今までなぜかあまり聴く機会に恵まれなかったけど、ラヴェルもいいもんだな・・」としみじみ
感じたものです。
余談ですけど、最近の記事の中で小川洋子さんの小説について書かせて頂きましたけど、
これはあくまで個人的な感覚なのですけど
小川洋子さんの小説をクラシック音楽に例えると・・・やっぱりラヴェルとかドビュッシーの音楽が
何かイメージに沿いそうな感じがしています。
具体的には・・・そうですね・・・
ドビュッシーの管弦楽のための映像~Ⅱ.イベリアとか
ラヴェルの組曲「クープランの墓」(管弦楽版)が何か・・・結構しっくりきそうな感じはあります。
さてさて・・・
前述の通り、ラヴェル/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第二組曲を知るきっかけとなった演奏が
吹奏楽コンクールにおける吹奏楽アレンジ版だったのですけど、
吹奏楽コンクールの全国大会でこの曲を初めて演奏したのは、1976年の出雲第一中学校でした。
そうですね・・・
私よりも少し古い世代のファンの方ですと
ダフクロと言うと出雲第一とピンとくる方も多いと思います。
ちなみに・・・私はダフクロと言うと吹奏楽としては、1987年の習志野高校の演奏が極めて印象的です。
だけど改めて聴くとこの1976年の出雲第一中学校の「ダフニスとクロエ」第二組曲の音楽としての「完成度」は
極めて高いものがありますね。
勿論この当時、使用楽器にはハープもチェレスタも未使用なのですけど、とにかく仕上がりが細かく
技術的にはほぼ完璧の仕上がりとなっています。
また音楽の内容的にも、特にⅠ.夜明けのひさやかさは・・これは確かに吹奏楽アレンジ版なのですけど
一聴の価値があるほど音楽的感銘度は極めて高いものに達していると思います。
本当にこの演奏が中学生なのか・・・とレコードを聴く限りでは信じられない感じもありますし、前述した通り
ハーブもチェレスタも何もないオール管楽器だけの表現であそこまで夜明けの森の静けさ・鳥のさえずりが
ひさやかに表現できるとは・・・
本当に本当に・・・信じられないほどのまさに「伝説的な名演」と言えると思います。
ちなみに・・・
吹奏楽コンクールにおいては、出雲第一の圧倒的名演以降
1977年の玉川学園高等部
1979年の山王中学校
など色々と演奏はされていたのですけど、なぜか1980年代に入ってからは1986年に埼玉栄高校による怒涛の名演までは
どのチームも自由曲としては選択していません。
これは一体なぜなんでしょうか・・・?
実は、この背景には「著作権」という問題がありまして、
出雲第一のダフクロのアレンジは当時の出雲第一の指揮者の渡部修明先生なのですけど
確か・・・1981年の四国大会で観音寺第一高校がこの渡部先生のアレンジ版を使用してダフクロを自由曲として
選び、無事に全国大会代表・金賞を勝ち取りながらも
その後・・・吹奏楽連盟から
「渡部アレンジ版は未承認曲だから演奏不可」と指摘を受け、泣く泣く全国大会への出場を辞退したという経緯が
あるそうです。
(確かこの辺りは・・・1981年のBJの記事で色々と詳細が記されていましたね・・)
ちなみに・・・
1986年の埼玉栄の演奏は、パリ・ギャルドのブートゥリー団長による正規アレンジ版だったので
演奏はOKだったとの事です。
余談ですけど、
その後観音寺第一は、1988年にこの「ダフニスとクロエ」第二組曲をブートゥリー版として自由曲に演奏し
無事に全国大会への出場を果たしていますけど
1981年当時の指揮者は88年当時も在籍されていましたので、
さぞかし・・感慨深かったと思います。
更にさらに・・・余計な話ですけど、
1981年当時は、同じくラヴェルの「スペイン狂詩曲」もアレンジ不可曲という事で、
この曲を自由曲に選び千葉県大会を突破した市川交響吹奏楽団は、やはり、吹奏楽連盟から
演奏不可と指摘を受け、
観音寺第一と異なり関東大会への辞退はせずに、自由曲そのものを
スペイン狂詩曲からイベールの交響組曲「寄港地」へと変更し・・・
何と・・・!!
県大会から関東大会まで一か月も無いのに、この変更した自由曲でもって関東大会に臨み
ダメ金ではありましたけど、
金賞受賞という驚きの離れ業までお披露目しています・・・
あ・・・ここは「クラシック音楽」カテゴリで「吹奏楽カテゴリ」ではありませんでしたよね・・・
失礼いたしました・・・・(苦笑・・)
改めてですけどラヴェルのバレエ音楽「ダフニスとクロエ」第二組曲についてほんの少しだけ
語らさせて頂きたいと思います・・・
そうですね・・「第二組曲」と名乗るからには当然「第一組曲」もあるのですけど
誠に申し訳ないのですけど
第一組曲の方は・・・全然記憶&印象が無いです・・・
このバレエ音楽「ダフニスとクロエ」は、副題は確か・・・「三部から成る舞踏交響曲」だったかな・・?
ちなみに第一組曲【Ⅰ.夜想曲 Ⅱ.間奏曲 Ⅲ.戦いの踊り】は、
第一部と第二部から構成されています。
うーーん、だけど・・・正直、曲全体がだるくてあんまり面白くなくて
つまらない・・・・(苦笑・・・)
そうなんですよね・・・
私一度だけこのバレエ音楽全曲ノーカット版をデュトワ指揮/N響で聴いた事があるのですけど、
正直・・・
第一部と第二部は退屈で死にそうでした・・・・
それと・・・・
このバレエ音楽は純粋な管弦楽曲ではなくて、バックにコーラスが入り、
この合唱が・・・私の感覚としては非常にジャマ・・・・!!
せっかく管楽器の精密な響きを楽しんでいる時に、コーラスがその響きに水を差すような印象があり
私としては・・・・
このバレエに関しては、
合唱が入らない版の「第二組曲」を聴けば十分・・・!!
別に第一組曲もノーカット版バレエ音楽は・・・あんまり聴きたくも無い・・・という感じなのかな・・・・
指揮者によっては、第二組曲版にも合唱を入れてしまう方も・・・ま・・結構多いのですけど
私としては、第二組曲には合唱は一切必要ない、あの精密で華麗なるオーケストラの響きがあれば
それで十分満足!!という感じですね。
余談ですけど・・・・
このデュトワ指揮/N響のダフクロ全曲版の演奏の最中に、震度5程度の結構強い揺れの地震発生という
ハプニングが起きたのですけど
会場内は結構ザワザワ・・・とした雰囲気に一時なったのですけど
デュトワも奏者もコーラスも誰一人動揺することなくそのまんま演奏を続けていたのは、さすが「プロ!!」という
感じでしたね・・・・
このバレエ音楽「ダフニスとクロエ」ですけど、
原作は、三世紀頃のギリシャの詩人・ロンギュスの田園詩「ダフニスとクロエ」に基づいています。
原作は、私は読んだことはありませんけど、
健康的で素朴な青春恋愛劇という事で、ハッピーエンドで終わる典型的な恋愛讃歌みたいな
お話のようです。
前述した通り、私個人の感想としては、第一組曲や全曲版はかなりかったるい音楽・・・・
だけど第二組曲は・・・本当に素晴らしい作品だと思います。
とにかく・・・全体が精密で「華麗なる音の絵巻」という感じですし、
Ⅰの夜明けのひそやかさ Ⅱの美しさ Ⅲの華麗さ・・・
どれをとってもいかにも「あ・・ラヴェルらしいな・・」と感じさせますし
Ⅰ~ⅡとⅢの静と動の対比があまりにも鮮やかなので、本当にその音楽的落差というか
ダイナミックスレンジの巾の広さには
感心させられます・・・
この第二組曲は下記の三曲から構成されています。
ちなみに第二組曲は、副題の「三部から構成される・・・」という観点からは
その第三部がそっくりそのまんまノーカットで構成されていますから、
別にあえて第二組曲というタイトルを付けなくても、
バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第三部というタイトルでも特に問題はないのかな・・とも思います。
Ⅰ.夜明け
Ⅱ.パントマイム
Ⅲ.全員の踊り
やはりⅠの夜明けの「ひそやかさ」は素晴らしいですよね!!
冒頭のフルートとハープによって奏でられる鳥のさえずりの部分も素晴らしいけど
やはりⅠは・・・指揮者の「美的センス」が真正面から問われそうですし
奏者の腕の見せ所ですよね・・・!!
この部分は大変繊細に薄くかかれているから、下手なオケだとすぐにばれちゃいそうです・・・
Ⅱは・・・何と言っても長大なフローとソロが聴きどころです。
Ⅲはまさに華麗なる音の絵巻の世界です!!
本当に・・・絢爛豪華なサウンドが展開されていきます。
この「全員の踊り」ですけど、打楽器はかなり使用されていて、
ある部分なんかは、
ティンパニー・大太鼓・サスペンダーシンバル・スネアドラム・カスタネット・トライアングル・タンバリンが
同時に奏でられ、
この部分だけでも同時に7人の打楽器奏者が同時に音を出している箇所もあったと思います。
一度この第二組曲の全員の踊りのクラリネットとエスクラのパート譜を見た事があるのですけど、
あんな速いパッセージは・・・・
とても自分には吹けない・・と絶句した記憶がありますね。
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