7.宝梅中学校
D/歌劇「イーゴリ公」~ダッタン人の踊り
この演奏・・・・この年自体の演奏自体がどうという事ではなくて、全く別の意味で大変興味深い要素が
てんこ盛りみたいな印象があります。
というのも・・・
この宝梅中は、1986年から1990年にかけて全国大会で5年連続金賞の偉業を達成し、1991年に
特別演奏という栄誉も授かっています。
とにかく宝梅中というと、あの「洗練された気品ある透明感溢れるサウンド」が持ち味だと思いますし、
特に1986年の「トッカータとフーガ」とか1988年の「ダフニスとクロエ」第二組曲とか
87年課題曲B/渚スコープにその魅力が遺憾なく発揮されていると思います。
宝梅のあのオルガンみたいなサウンドは・・・・とにかく、誰がどう聴いてもあの音が公立の中学生たちが
奏でている音というのは中々信じて貰えないと思ってしまう程
とにかく素晴らしい音だと思いますし、
あのいかにも深い霧の中に朝日がさーーーっと入り込むような神秘的なあのサウンドは
「素晴らしすぎる!!」の一言に尽きると思いますし、
あのサウンドは、今でも常総学院と並んでスクールバンドが目指すべき一つの方向性の一つと思っています。
それでは、そうした素晴らしいサウンドと数々の名演を残してくれた宝梅中の記念すべき全国大会初出場の
演奏はどんな感じだったのか・・・?
実は・・・・
うーーん、誠に申し訳ないのですけど
とにかく悲惨極まりない演奏・・・としか言いようがないです・・・
そうですね・・・
生放送の最中に出演者が放送NGワードを炸裂して放送事故を起こしたみたいな
まるで・・・普門館の一つの「事故演奏」みたいな感じさえしてしまうほどの・・・悲惨な演奏です。
これって・・・色々な意味で信じられないのですよね・・・
まず第一に、当時も現在も「関西大会」という支部は、中学も高校もとにかく激戦で、このブロックを勝ち抜け
全国大会に進むことが出来る事はとにかく・・・至難の業という感じが大変濃厚なのに、
この演奏の一体どこを評価されて関西大会を通過したのだろう・・・という印象すらあります。
もっとも私自身は、全国大会でのこの宝梅の演奏は分かっているのですけど、
関西大会での演奏は聴いたことがないから一概に比較は出来ないのは百も承知なのですけどね・・・
もしかしたら・・・関西大会では素晴らしい演奏を披露していたのかも・・・?
それとも・・・もしかして・・・関西大会の審査員の中には・・・
「今はダメでも、いずれこの学校は大化けする可能性がある・・・」みたいな事を考えていた人もいたのかな・・・?
それと・・・
あの5年連続金賞の頃の宝梅と初出場の時では・・・全く別人バンドみたいな雰囲気です・・・
やはり、中学のスクールバンドにおいては、わずか3~4年程度で本当にサウンドは「大化け」するものですね・・・
そういう意味では中学生の「無限の可能性」を感じてしまう演奏でもありました。
82年の宝梅の演奏ですけど・・・
そうですね・・・一言で書いてしまうと、とにかく雑で荒っぽい・・・という印象ですね。
金管がバリバリに雑に鳴らしていて、
しかも、特に「ダッタン人の踊り」の高音域部分を、ほとんど外しまくっているので、
「粗削り」という印象しかないです。
課題曲の「サンライズマーチ」も、前へ進もうという意識が強すぎるせいか、テンポが常に前のめりというのも
極めて印象が悪いし、居心地が良くないです。
全体的にサウンドがべったりと重たいのが、印象を悪くしている大きな一因にもなっていると思いますし、
この年の「銅賞」という評価は、極めて当然と言うか、
祝吉・小録と並んで・・・ワースト3の演奏に入ってしまう程でした・・・
だけど・・・
やっぱり渡辺先生は素晴らしいですよね!!
この演奏から2年後に再度全国大会への切符を手にし、ま、結果として1984年の評価は銅賞という事に
なってしまうのですけど、
歌劇「シチリア島の夕べの祈り」をしっとりと抒情的に聴かせてくれていて
全盛期ほどではないにせよ、あの「サウンドの透明さ・気品さ」は既に十分に発揮されていたと
思います。
渡辺先生は今現在も、中山五月台中を指導されていて、昨年も全国で銀賞を受賞されていましたけど
こうやって35年近くも現役でコンクールに関わり続けているそのお姿は
本当に尊いものがありますし、とにかく・・・・頭が下がる思いで一杯です。
最後に・・・このボロディンの歌劇「イーゴリ公」~ダッタン人の踊りですけど、
この曲、中間部から後半にかけて、囚われの身になったイーゴリ公を慰めようと気を利かした敵の武将による配慮、
つまり、自分達の部族の踊りを披露する部分の音楽の迫力も素晴らしいものがありますし、
後半にかけてのイーゴリ公の敵地脱出みたいな部分の音楽も大変申し分ないのですけど
前半のオーボエソロの部分のメロディーがとても美しくはかなく哀愁に溢れて
マジにジ―――ンとこみ上げてくるものがありますよね・・・
本当にあのオーボエのあの哀愁溢れるメロディーは、本当に心が打たれます・・・
このオーボエのソロの後のコールアングレのソロも実に素晴らしいですけど、あのオーボエの哀しげな音が
やっぱり大好きですね・・・
この「ダッタン人の踊り」の吹奏楽アレンジ版の演奏としては、
私は、1983年の明石北高校の演奏が大好きです!!
ま・・・確かに少々癖のある解釈は気にはなるのですけど、オーボエ&コールアングレのソロ
少しベタベタした金管セクション、とにかく・・・どれをとっても素晴らしいダッタン人の踊りだと思いますし、
この名演を超える演奏は・・・
そうですね・・・今の所、まだ出会ってはいないですね・・・
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