ま・・・この「哀愁のアダージョ」をこの吹奏楽カテゴリに入れるのも、どうかな・・とも思うのですけど
文字通り「哀愁」溢れるこのメロディーを最初に聴いたというのか、
演奏したのが「吹奏楽ヴァージョン」だったため、一応このカテゴリに入れておきます。
でもこの「哀愁のアダージョ」ですけど、一度聴いたら何か忘れられそうもない哀しくてせつないメロディーですよね・・
曲自体3分にも満たない曲ですし、終始ゆったりとした感じで、曲の中で盛り上がる部分とかクライマックスみたいな
頂点は特に無い曲だとも思うのですけど、
とにかく・・・あのメロディーラインは一度聴くと、何かずっと耳に残ってしまうような感じで
私は好きな曲です。
この「哀愁のアダージョ」は、スペインの作曲家、ミカエル・ヴァケスが作曲したクラシック曲をポピュラー化し、
1969年にレーモン・ルフェーヴルが演奏したバージョンがヒットし、
世に広まる事になりました。
レーモン・ルフェーヴルというと・・・
そうですね・・・
自分のイメージとしては、ポール・モーリアほど必ずしもポピュラーではないかもしれないけど
やはり「イージーリスニング」の大御所という感じもしますし、
ポール・モーリアの「これぞ一曲」というのか、「オリーブの首飾り」・「エーゲ海の真珠」とすると、
レーモン・ルフェーヴと言うと、やっぱりこの「哀愁のアダージョ」という事になるのかな・・・?
この曲は・・・北欧の晩秋を思わせるマイナーのメロディーがとっても印象的です。
ルフェーブルは、原曲のクラシカルのメロディー・ラインをヴァイオリンとチェロのアンサンブルで奏で
スロー・ロックのビートを強調して現代風な味つけをしていますけど、
何か・・・とてつもなくはかない「哀しさ」がとにかく・・・全編に満ちています。
私自身、実はこの「哀愁のアダージョ」は高校2年の定期演奏会のポピュラーステージで吹いたことがあります。
だけど、当時は・・・
何と、レーモン・ルフェーヴの事も全く知らない状態で演奏したものですけど、
やはり吹いているだけで
何か知らないけど、やたら「泣けてきそうなメロディーライン」が大変印象的でしたし、
何か妙に感情移入されてしまいそうな本当に不思議な曲でした。
レーモン・ルフェーヴのイージーリスニング版では、終始ゆったりとした雰囲気が保たれ、
静かに始まり静かに閉じられるという印象がありますが、
自分の高校の定期演奏会の吹奏楽アレンジヴァージョンですけど、
確か・・自分の記憶では、普通の市販の楽譜(ミュージックエイトだったかな・・・?)を使用していたと思いますが、
やはり・・・普通の演奏では終わらせない所が、自分達の凄いところ・・・(??)
前半は、レーモン・ルフェーヴの曲の通り、しっとりとした雰囲気で哀しみの感情をキープしたのですけど、
後半は・・・
なぜか・・・突然ヒートアップ・・・!!
テンポを急速展開し、ノリノリなまるでロックみたいな雰囲気で鳴らしまくり、
そしてラストは・・・・
なぜか・・・
2分近い「ドラムソロ」を加え、
このドラムソロが開始されると同時に会場の照明を全て消し去り、真っ暗な状態にし、
ドラムセットの前のストロボによるフラッシュによってそのドラムス奏者が一人浮き彫りになる演出を
加えていました・・・
ちなみに、この年の定期演奏会のポピュラーステージのラストの曲がこの「哀愁のアダージョ」だったのですけど、
多分・・・会場内の聴衆もド肝を抜かれていたと思います。
前半の静けさ、後半のヒートアップ、そして・・・何か知らないけど突然ドラムソロが開始され、
それが延々と2分近くも続く・・・・
実は・・・
これは結果論になってしまうのですけど、その2分近いソロを担当された3年生の打楽器奏者は、その後
都内の音大に進学し打楽器専攻をされ、
現在では・・・
とある某高校の吹奏楽部の指揮者にもなっている方なのですけど、
当時から、ティンパニー・スネアドラムは勿論の事、本当にパーカッションの生き字引とも揶揄されるほど
打楽器のテクニックが群を抜いていて、
当人から・・・・
「この哀愁のアダージョのラストで、自分がソロ部分を作り上げ自分で叩くから、是非是非1分半ほど
オレに時間をくれ・・・!!」と懇願され、
指揮者もその熱意についつい折れてしまった・・・と後で知る事になりました・・・
モーツアルトの「ピアノ協奏曲」等でよく「カデンツァ」といって、
協奏曲が演奏されている途中で、管弦楽を何も入れないでピアノ独奏者が自分がその場で考え付いたメロディーを
アドリブ的に奏でる事がありましたけど、
自分達の高校の「哀愁のアダージョ」のあのドラムスソロは・・・・
まさにドラムスによる吹奏楽版カデンツァという感じでした・・・・
だけど、あの時・・・・真っ暗なステージの中で・・・
私は・・とにかくそのドラムスの先輩の神がかり的なソロというか、まるで「鬼神」みたいな
必死の形相&魂が揺さぶられるドラムスのその叩きっぷりに・・・
本当に感動しまくりでした・・・
というか・・・
多分あの時の全奏者も大半の聴衆は・・・
「なんだこりゃ・・・」と感じながらも、その鬼気迫る雰囲気に飲まれていたと思います・・・
とにかく凄まじいライヴの雰囲気でした・・・
確か・・リハーサルでは、このドラムスソロは1分半程度だったと思いますけど、後で録音を聴いてみると、
この部分だけで2分半程度も一人で・・・
ドラムスを叩ききっていました・・・・
そして再度ステージ上にライトが付いて、再度全体による合奏が始まった瞬間に、
感極まった一部の聴衆から怒涛の拍手が始まってしまい、
この「哀愁のアダージョ」が終わるまでずーーっと拍手が続き、演奏終了後も・・・・
とにかく・・・拍手と口笛は鳴り止まなかったですね・・・・
私も10年間の吹奏楽時代で色々な曲を吹き、吹奏楽コンクールやコンサート・チャリティーコンサート・
他校との合同演奏会、色々な場で演奏する機会はありましたけど、
演奏終了後の盛り上がり&歓声&異常な雰囲気という意味では、
やっぱり・・・この「哀愁のアダージョ」が一番でしたね・・・・
最近の記事、特に「響け! ユーフォニアム」ではコンクールにばかりこだわった記事を書くことが多かったのですけど
やはり・・・・
音楽の原点というのは、むしろこういう事ではないのかな・・・とふと思ったりもしたものです。
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