20.上甲子園中学校
D/歌劇「シチリア島の夕べの祈り」序曲
この年、中学の部ではヴェルディーの歌劇「シチリア島の夕べの祈り」が3チームも自由曲に
選んでいます。
この時代は、まだまだワーグナーとかヴェルディの歌劇の序曲が人気自由曲だったのですよね・・・
1960年代~70年代にかけてあんなに人気自由曲だったこの「シチリア島の夕べの祈り」も
最近では演奏するチームもすっかり激減してしまいましたね・・・・
確か、この曲は・・・・1997年に阪急百貨店が演奏したのを最後に全国大会では18年近く演奏されていませんよね。
この年は上甲子園を含めて3チーム演奏したのですけど、
正直・・・・どこも決め手に欠く演奏・・・・
鈴木清先生が指揮する私が大好きな雄新中もこの年にこのシチリア島で全国大会初出場を遂げるのですけど
残念ながら、まだまだ後年の「鈴木先生=雄新サウンド」は聴くことが出来ず、
この時は手探り・・・・という印象が強いです。
上甲子園中なのですけど、結果的に金賞に輝いたのですけど、
うーーん、誠に申し訳ないのですけど、少し「甘い評価だな・・・」と思ってしまいますね・・・
確かに無難にまとめ仕上がりも決して悪くは無いのですけど、
何か音楽が淡々と進展し、聴いていてスカッ・・・!!とするものがあんまり・・・伝わってこないのですよね・・・
何でかな・・・・
確かにすごく洗練されたサウンドで聴き易いのだけど、何かさらさら・・・と音楽が無表情に流れているようにも
感じられます。
ま・・・審査員としては・・・「表現」という項目よりは「技術」・「安定感」という項目を優先したのかな・・・・
欲を言えば、「熱い歌」・「訴えかけてくるもの」がもう少し欲しかった・・・・という感じになるのかな・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
せっかくヴェルディの歌劇「シチリア島の夕べの祈り」序曲が出てきましたので
この曲に関する過去記事を
掲載させて頂きたいと思います。
イタリアの音楽というと、重厚長大・形式重視のドイツ系とか
エスプリとか洗練さが魅力のフランス系に対し
オペラという歌のドラマの方があの国民性に合っているのかもしれませんよね。
イタリアオペラの巨匠というか代表的作曲家は、やはり断然ヴェルディなのかもしれませんよね。
この作曲家は、その生涯に歴史に残る数多くの歌劇を残しました。
例えば、椿姫・オテロ・アイーダ・仮面舞踏会・リゴレットあたりがその代表作品なのかもしれません。
ワーグナーとかヴェルディの歌劇・楽劇は、生涯に一度でいいから、
演奏会形式みたいな形でなくて、本場の演奏を是非聴きたいと思っていますが、
こればかりは中々難しそうですね・・・
だけどヴェルディの曲は、
よく「運命の力」序曲とか「シチリア島の夕べの祈り」序曲とかアイーダ大行進曲とか
「ナブッコ」序曲などの
オペラの序曲が、よく現在でもオケの定期演奏会の一番最初の演奏曲目として演奏される場合が
多いですよね。
自分自身も、
歌劇「ナブッコ」序曲とか歌劇「運命の力序曲」は何回か聴いたことがありますし、
インパル指揮/読売日本の演奏会のように、何とアンコール曲として
運命の力序曲を聴いたこともあります。
だけど自分自身演奏会で聴く機会に巡り会えなかったのが
歌劇「シチリア島の夕べの祈り」かな・・・
この序曲、振り返ってみると、
1988年のデュトワ指揮/N響の定期の一度しか耳にしたことがありませんね。
この序曲、オペラ全体の雰囲気を分かり易く伝えていますし、
静かに始まる序奏に対して、小太鼓の凄まじいロールから開始される中間部以降の怒涛のアレグロからは
激しいドラマが展開され、
このオペラの激情ぶりが序曲でもよく醸し出されていると感じます。
このオペラは全くの「想像」からの物語というのではなくて、
歴史的背景を比較的忠実に再現している点が特徴かなとも思います。
世界の教科書を開くと、「シチリア島の晩鐘事件」が掲載されていると思いますが、
まさにヴェルディのオペラは、この歴史的事件を背景にしているのです。
簡単にその背景を記してみると・・・
1282年当時、シチリアはフランス王家の傍流にあたるアンジュー家が支配していて、
イタリア系の住民と激しく対立を引き起こしていた。復活祭の翌日に当たる月曜の1282年3月30日、
パレルモ市中の教会前には大勢の市民が晩鐘(夕べの祈り)を行うため集まっていた。
その監視をしていたフランス人兵士が、あるシチリア人の妻を辱め、怒った夫が軍曹を短刀で殺害。
場に居合わせた市民たちは夫に同情し、
「自分たちが処刑される前にフランス兵を皆殺しにしろ」と蜂起、暴徒化。
フランス人たちに次々と襲いかかり、兵士の一団を一人残らず殺害してしまう。
暴動はシチリア全土に拡大し、4000人ものフランス系の住民が虐殺された。
彼らが暴動を開始したとき、晩鐘を告げる鐘が鳴ったことから「シチリア島の晩)事件」と
呼ばれるようになった・・・・・
ムソルグスキーの歌劇「ポリス・ゴドゥノフ」とか
アーノルドの「ピータールー」序曲も
ある程度歴史的事実を反映した曲とも言えるのですけど、
こうした歴史的背景と音楽を絡めて聴いてみるのも何か面白い感じはしますね。
この演奏をCDで聴く場合、
お勧めしたいのは、シャイー指揮/ミラノ・スカル座かな・・・
シノーボリ指揮の演奏もなかなかいいと思います。
- 関連記事
-
スポンサーサイト
コメント
コメントの投稿
件のトラックバック