最近の記事の中で、アニメ「響け!ユーフォニアム」に関連する形で、
ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」を書かせて頂きましたが、ドヴォルザークと言うと
どうしてもこの新世界とか弦楽四重奏曲「アメリカ」とかチェロ協奏曲とかスラヴ舞曲集とかユーモレスクばかりが
有名曲扱いになってしまうのですけど、
他にも・・・他にも・・・・
例えば、交響曲第7番とか交響曲第8番とか、序曲「謝肉祭」とかスケルツォ・カプリチオ―ソなどのような
名曲も一杯あります。
本当にこのお方は・・・・ある意味素敵な「メロディーメーカー」だったのかもしれませんよね。
そんな中・・・・どうしても「新世界より」に比べると知名度は下がってしまうのかもしれませんけど、
例えば・・・・
四つの交響詩みたいな素敵な連作交響詩もあったりします。
(連作交響詩というと、スメタナの「我が祖国」がやたらと有名ですけど、ドヴォルザークにも
結構素敵な連作交響詩があったりします・・・)
この「四つの交響詩」とは・・・・
Ⅰ.水の精
Ⅱ.真昼の魔女
Ⅲ.金の紡ぎ車
Ⅳ.野ばと
なのですけど、これらはいずれも、チェコの国民的な詩人カレル・ヤロミール・エルベンの
「花束」という詩集の中のバラードにインスピレーションを得て作曲されたものですけど・・・・・
この四曲ともその内容は・・・・
全て「殺人」とか「人の死」絡みの曲ばかりで、
その内容も実は・・・・かなりえぐいものばかりです・・・
Ⅰの「水の精」は、親の反対を押し切って人間界とは別の世界の水界の王様と結婚した娘が、その後
子供を残したまま一時的に里帰りしたものの、親に止められ水界に戻れず、娘がいつまでたっても
帰ってこない事に腹を立てた水界の王が嵐を起こし、子供の首を切って娘の家の前に捨て去った・・・という
結構グロテスクなお話・・・
Ⅱの「真昼の魔女」は、子どもの躾に禁句であるはずの「魔女」の名前を、安易に出してしまい、その結果・・・
本来悪意のない者の名前を出したことで、見せしめとなり、子供を亡くしてしまう母親の哀しいお話・・・
Ⅲの「金の紡ぎ車」は、少し「シンデレラ」に似たお話なのかな・・・??
権力者に見染められた娘に起こる悲劇の話でもあるのですけど、義理の母娘によって一旦は殺害
されてしまう娘でしたが、最終的には・・・魔女によって生き返る事が出来、金の紡ぎ車によって
義理の母娘の悪行が全てばれてしまい、
最後は・・・・王様とその娘は無事に結ばれるというお話で
四つの交響詩の中では唯一のハッピーエンディングを迎えます。
そして・・・・四番目の交響詩が「野ばと」なのですけど、
この作品は・・・実は四つの交響詩の中で最初に知り聴くことが出来た作品です。
高校時代に、吹奏楽部の定期演奏会で(無謀にも)ドヴォルザークの交響曲第8番第一楽章を
演奏する事になり、
学校の図書館で、
「ドヴォルザークってどんな人なのかな・・・?」と少し興味を持って調べていたら、
確か・・・・音楽之友社の「名曲ガイドブックシリーズ」だったかな・・・・
この交響詩「野ばと」の事が掲載されていて、
確か・・・・
これはあくまで自分の記憶なのですけど、その解説として
「自分が毒殺した夫の葬儀で偽りの涙を流していた若い未亡人が、若い男に言い寄られると・・・
すぐに・・・・喪服を脱いで男と激しく愛し合ってしまう・・・
そして二人は結婚し・・・・」と書いてあったので
これを読んだ時は・・・正直・・・
「え・・なにこのお話・・・・なんかこれって・・・日活ロマンポルノの世界みたい・・・・」と
思ってしまったものでした・・・
あ・・・「日活ロマンポルノ」何て言うと、年がバレてしまいますし、この言葉自体既に「死語の世界」なのかな・・・??
これは・・・確か1981年頃の話だから、当時日活ロマンポルノと言うと・・・・
畑中葉子の「後ろから前から」なーんてのもありましたね・・・・(苦笑・・)
あ・・・ここは一応「クラシックカテゴリ」なので、あんまりエロネタは・・・・そろそろ自粛させて頂きます・・・(苦笑・・・)
でも・・・なんかこの「喪服を脱いで・・・」みたいな表現を
あんなお堅い名曲解説書で用いていたなんて・・・なんか妙に面白かったですね・・・
この本を借りて、吹奏楽部のメンバーに該当箇所を見せたら・・・・結構皆興味津々みたいな感じで
読んでいました・・・
ま・・・・男子高校は・・・・色々な意味でたまっているのですよね・・・(苦笑・・・)
そうそう・・・
この交響詩「野ばと」なのですけど、決してエロい内容の曲では無く、
その後の展開なのですけど
そうするうちに亡き夫の墓の前に1本の樫の木が育ち、そこに鳩が巣を作った・・・
妻が夫の墓の前に行くと、その鳩は、悲しげに・・・そして・・・妻を責めるように鳴いていた・・・
さすがに夫殺しをした妻は、良心の呵責に耐えきれなくなり、
精神的苦痛を味わう日を送るが、鳩の悲しそうな鳴き声を聴くごとに、
だんだん精神状態がおかしくなり、ついに・・・・自らの手で自らの命を絶ってしまう・・・
そんなストーリーだったと思います。
これ、音楽もかなり分かり易いというか、場面転換が極めて明快ですので
その未亡人の心の変化が何か一目瞭然という感じもあります。
冒頭の葬送行進曲風な所は・・・・妻がどういう理由があったのか分かりませんけど亡き夫を
毒殺してしまった・・・という「後悔」よりは「薄笑い・・ざまーみろ・・・!!」みたいな感情を
なんか感じてしまいます・・・
トランペットの明るい音色は、若い男の出現を象徴しているのかな・・・
二人の結婚式の場面は・・・なんか・・・「スラヴ舞曲集」を彷彿とさせる華やかさも感じさせてくれるのですけど、
例の・・・野ばとが哀しげに鳴く場面は・・・・
フルートとバックのハープで示されるのですけど、本当にこれがせつないですね・・・・
でもこの「野ばと」ですけど、凄いのは・・・・
決して後味が悪い訳ではないのです・・・
最後は・・・・天国から毒殺された亡き夫が「もう・・・いいんだ・・・君の全てを赦す・・・・」みたいな感じで
何か「救済」みたいな感じで終るのが・・・・ホッとするところですね。
「新世界」とかチェロ協奏曲以外にもドヴォルザークはこんな素敵な曲を残しています。
ま、ただ・・・四つの交響詩もほとんど全て、ちと長すぎるのが少し鼻につくのかも・・・・
ちなみに・・・・
ドヴォルザーク自身は、プライヴェートの趣味は、鉄道と鳩の飼育だったそうです。
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