7.出雲第二中学校
B/バレエ組曲「三角帽子」~粉屋の踊り・終幕の踊り
改めてですけど、この学校の指揮者の渡部修明先生って凄い先生ですよね・・・
だって・・・
あの名門・出雲第一の伝統を作り上げた片寄先生からしっかりとバトンを受け継ぎ、
片寄先生以上の実績を出雲第一で残し、
せっかく出雲第一で1973年~77年で5年連続金賞を達成し、本来は1978年に渡部先生ご自身が
栄光の「5年連続金賞の特別演奏」の指揮が出るはず・・と思っていたら・・
渡部先生本人は、1978年は出雲第二に転任されてしまい、
美味しいところを何か持っていかれた様な気の毒な感じもありましたね・・・・(苦笑・・)
ま、この渡部先生=出雲第一と言うと・・・・
やはり1976年の「ダフニスとクローエ」第二組曲の歴史的名演抜きには語れないですね・・・
今日でもこの「ダフニスとクローエ」第二組曲は、吹奏楽コンクール自由曲の定番中の定番、
大変な人気自由曲の一つですけど、その「礎」を作られたのは、間違いなくこの渡部先生だと
思いますね。
出雲第二に転任されたその年に、いきなり全国大会出場を果たされるのも驚異的ですね・・・
そして出雲第二でも、シェエラザート・シチリア島の夕べの祈り・ディオニソスの祭りと数々の名演を
残されているのですけど
「三角帽子」はそうした素晴らしい演奏の一つだと思います。
だけど・・・・
印象としては・・・・この年は少し「薄味なのかな・・・」という感じもありますね。
演奏が少し優等生過ぎるというのか、もう少し吹っ切れた感じの躍動感というのか、
「庶民の生きるエネルギー」みたいな力強さがもう少し欲しかったかな・・とも感じるのですよね。
それは課題曲B/東北地方の民謡によるコラージュでも同じことが言えて、
確かに美しい響きなのだけど、「民衆の土俗的なエネルギー」があまり伝わってこない・・・・
綺麗に無難にまとめ過ぎたのかな・・・・という印象もありましたね。
「三角帽子」と言うと・・・・・やはりオールド吹奏楽ファンの方にとっては、
1970年代の山王中とか島田第二中の演奏の方が馴染みがあるのかな・・・・??
特に山王中のあの生き生きとした躍動感は本当に「素晴らしい!!」の一言に尽きると思いますし、
あれは・・・・まさに「後世に受け継がれるべき名演の一つ」だと私は思っています・・・
と思っていたら・・・・
当時山王中を指揮されていた木内博先生の息子さんが昨年2014年にやはり同じく山王中を指揮され
やはり「三角帽子」を自由曲に選び、素晴らしい現代の感覚での「三角帽子」を聴かされていたのは
大変印象的でした・・・!!
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ここから先は余談になってしまいますけど、せっかく「三角帽子」の話が出てきましたので
自分の過去記事ですけど
改めてファリアのバレエ音楽「三角帽子」について少しだけ語らせて頂きたいと思います。
(というか、この曲の素晴らしさを是非是非一人でも多くの人に知って欲しい・・・という思いがありますね・・・)
「三角帽子」なのですけど、
あらすじを簡単に書いておくと・・・・
ちなみに「三角帽子」とは代官が被っているもので、要は「権力の象徴」です。
アンダルシアのある町で、見た目が悪いが働き者の粉屋と、美人の女房が住んでいる。
ある日、好色な代官がこの女房に目をつけ、お忍びで現れる。
女房は粉屋を物陰に隠し、代官に官能的な踊り「ファンダンゴ」を踊る。
代官は言い寄るが、からかわれた末にその場に倒れてしまう。
出てきた粉屋が代官を殴り、代官は引き揚げる。
その日の夜、近所の人々が祭の踊りを踊っていて、
粉屋も一緒に踊り出す。
激しい踊りが続くが、代官のワナにより、粉屋は無実の罪で2人の警官に逮捕されてしまう・・・・
代官は女房を奪い取ろうと忍び寄ってくるが、
気が急いでいる代官は水車小屋の前の川に落ち、粉屋の女房に助けられるが結局逃げられてしまう。
代官は塗れた服を脱ぎ、粉屋のベッドに潜り込む。
そこに逃げ出してきた粉屋が戻ってくるが、代官の服を見て自分の服と代官の服を交換し、
代官の女房のところに向かう。代官は粉屋の衣服を着て外に出て、警官に見つかり、
その警官と近所の人に袋叩きに遭い、逃げていく。
近所の人たちは、平和を取り戻した粉屋の夫婦を中心に、一晩中踊って一件落着・・・・
物語は大変シンプルで、勧善懲悪、悪は滅びる・・・みたいな世界観ですね・・・
実際音楽もそうした「健康的な明るさ」が全面に出ています。
このバレエの初演は、世界的な名指揮者、アンセルメなのですけど、
私自身、この「三角帽子」の数あるCDの中でも一番大好きなのは
やはりこのアンセルメ指揮/スイス・ロマンド管弦楽団ですね・・・・
ま、確かに音源は古いけど、その冷静さと情熱がミックスされた名演を超える演奏はいまだに
出てこないと思っています。
ちなみにこのバレエ音楽「三角帽子」の初演は1919年ですけど、
この初演を担当したスタッフがあまりにも絢爛豪華・・・・
だって、
美術担当&舞台装置&衣装⇒ピカソ
指揮⇒アンセルメ
バレエの振り付け⇒マシーン
そもそもの依頼者とアドバイザー⇒ディアギレフ
ですからね・・・・
すごい、このメンバー凄すぎる・・・・
ちなみにこの曲は当初は「バレエ」ではなくて「パントマイム」として着想された時期もあり
パントマイムとしての初演は
私が愛してやまない「幻想舞曲集」の作曲者のトゥリーナの指揮で初演を果たしています。
そうそうこの「三角帽子」ですけど、
これをベースにしたというか、日本の江戸時代の「悪代官風」にアレンジした戯曲が
「夕鶴」でお馴染みの
木下順二の「赤い陣羽織」とのことです。
この曲の序奏からして大変なインパクトがあるのですよね・・・・
だってティンパニーの乱打に続く金管セクションのメロディーの後に
いきなりオケの団員が「オレ! オレ! オレ!!」と手拍子をしながら掛け声を出すし
打楽器セクションは、ほぼ全員マラカスを片手にカタカタと鳴らしているし
この部分だけでも聴く価値はあると思います。
「恋は魔術師」は、ソプラノ独唱が一つの売りで、ソプラノが大変効果的に使われますけど
「三角帽子」は一応ソプラノは出てくるけど、それほど出番はないです。
たまに出てくると、すごーく「華」がありますし、やはり音楽が更に生きてきますね。
「粉屋の踊り」の冒頭に出てくるコールアングレのソロもいかにも「スペイン」らしい風情がありますし、
「粉屋の逮捕」の場面では、
なんと、なんと、ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」第一楽章の
あのジャじゃジャジャーンのパロディーがホルンによって奏でられます・・・・
というか、最初にこの部分を聴いた時、思わず耳を疑ったし、
「何じゃ、これは・・・」と思ったものの、何か心の中では大爆笑をしていましたね。
ラストの「終幕の踊り」の華やかさも素晴らしいものがありますし、
大変な躍動感がありますね。
ラストのカスタネットの響きが実に素晴らしいと思いますし、本当に最初から最後まで
聴く人を飽きさせない素晴らしい曲だと思います。
以上、過去記事からの転用、失礼しました・・・・・
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