10.富山商業
D/バレエ組曲「ロメオとジュリエット」
プロコフィエフのバレエ音楽「ロメオとジュリエット」は確かつい最近クラシックカテゴリの中で
書いたような・・・・
少し振り返ってみると・・・・
ソフトバンクのテレビCMというと、あの白の「お父さん犬」がとても知名度と人気がありますけど、
初期の頃は、「お父さん犬」が登場すると決まってBGMとして
このプロコフィエフのバレエ音楽「ロメオとジュリエット」が流れていました。
ちなみにそのBGMの曲で流れていたのは、
第二組曲の第1曲「モンターギュ家とキャピレット家」です。
だから多分・・・・
「モンターギュ家とキャピレット家」を流すと
「ああ、あのソフトバンクね・・・」と思う人は意外と多いかもしれませんね。
ちなみに第一組曲は以下の七曲で構成されています。
1.民衆の踊り
2.情景
3.マドリガル
4.メヌエット
5.仮面
6.ロメオとジュリエット
7.タイボルトの死
第一曲の「民衆の踊り」が私は大好きでして、冒頭の「タッ、タッ、タッ」という短い打撃音から開始される
あの部分が始まると・・・
「ああ、これからロメオとジュリエットの世界が始まる」と何かワクワクしますね・・・
この第一曲ののぴやかな雰囲気はとにかく素晴らしいです!!
でも圧巻は「タイボルトの死」ですね・・・・
この部分の弦楽器のめまぐるしい展開は凄いものがあります・・・
ティンパニーによる打撃音のソロ以降の金管楽器による勇壮な感じは、
かなりの「悲壮感」が感じられます。
これは家としての宿敵、タイボルトを成り行きとはいえ殺めてしまった・・・みたいなロメオの
「後悔」の気持ちも含めて、
大変迫力ある音楽が展開されていきます。
さてさて・・・・
私がこのプロコフィエフのバレエ音楽「ロメオとジュリエット」を知るきっかけを作ってくれたのが
1982年の富山商業の全国大会での演奏でした。
最初にこの演奏を聴いた時は
「うーーん、何て大変な迫力と劇的な緊張感・・・・
ラストの小太鼓の叩き方なんて、宿命を暗示する感じ・・・・、何て因縁を感じさせる凄まじい曲・・・」と
本当に感銘を受けたものでした。
吹奏楽コンクールでの演奏は、1981年の駒澤大学が初演かな・・・と思っていたら
実は既に1975年に逗子開成が演奏をしていました。
だけど私にとってはプロコのロメジュリと言えば、
どうしても1982年の富山商業となってしまいますね・・・・
勿論、林紀人先生のアレンジによる中央大学の演奏とか1990年の東海大学第四高校など
他にも素晴らしい演奏はたくさんあるのですけど
やはり82年の富山商業の印象度が強いですね・・・
ちなみに富山商業は、1988年にも同じ自由曲を取り上げていて、こちらも1982年と甲乙付け難い
素晴らしい演奏を聴かせてくれていますけど
こちらは銀賞に留まっています。
林紀人先生のアレンジの場合、後半に「タイボルトの死」を持ってきて
前半に、少女ジュリエット・喧嘩などの短い場面をうまい具合にチョイスする構成が中々
素晴らしかったですし、
87年の天理や90年の東海大学第四みたいに「ジュリエットの墓の前のロメオ」を挟む構成も
あったりして、これも中々しっとりと聴かせてくれますし
特に東海大学第四の「タイボルトの死」におけるクラリネットセクションの指のパッセージは
まさにため息もの・・・・実に鮮やかなテクニックでしたね・・・・
だけどこのバレエ組曲の場合、
やっぱり定番カットというのか、初めに「モンターギュ家とキャピレット家」を持ってきて
後半に「タイボルトの死」を持ってきた方が
劇的効果も十分あるし、音楽が引き締まるような感じもします。
富山商業の場合
課題曲D/サンライズマーチは大変堂々として申し分ないのですけど、
少し勿体なかったのは、トランペット奏者の一人が緊張のせいかはよく分かりませんけど
終わるタイミングを間違えて吹いてしまい、
トリオが終わってマーチはまだ続いているのに、一人だけ「ラストの和音」を吹いてしまい
何かその部分だけ妙に浮き上がってしまいます・・・・(苦笑・・・)
「モンターギュ家・・・・」は、木管セクションの透明感が良かったですし、そのメロディーラインに融合する
ホルンとトランペットの高音が大変見事に決まっているけど、その少し甲高い響きが
「若い二人の宿命」を暗示するかのような「悲鳴」のようにも聴こえて、かなりポイントが高いと
思います。
「タイボルトの死」も「鮮やか!!」以外の言葉しか思いつきません・・・・
それと大変劇的・・・・
成り行きとはいえ、ついつい家同士の宿敵の息子を殺めてしまったロメオと深い後悔と
「さてさて、これからどうする・・・」みたいな宿命に立ち向かう決意みたいな「悲壮感」も感じられて
曲の内容と劇的で悲壮な表現が
見事に合っていると思います。
小太鼓がタタタタ・タッ・タッ・ターと執拗に反復する中での金管セクションの高音もほぼ外すことなく
決まっていました・・・
82年の富山商業の演奏は、「モンターギュ家・・・」は後年見られたような、フルートソロが入る部分は
あっさりとカットされ
勇壮な雰囲気のまま、続けて「タイボルトの死」に入ります。
また、「タイボルトの死」では、1984年の高岡商業からティンパニーだけの叩き付けのソロが
入るようなカット・構成が採用されますけど
この頃は、まだそうした構成はなされていませんでした。
1988年の富山商業のロメジュリでは
「モンターギュ家・・・」にフルートソロを入れたり
「タイボルトの死」にティンパニーのみの打音を入れたりと
82年の演奏に「相違点」を演出しようとする感じはよく伝わります。
でも、結果的にこの富山商業の演奏をきっかけとして
ロメジュリの世界とかバレエ音楽「シンデレラ」とか
歌劇「三つのオレンジへの恋」とかバレエ音楽「道化師」を聴くようになりましたから、
やはりこの演奏の功績は自分にとってはとても大きいですね・・・・
その意味でも、既にご逝去されていますけど指揮者の坪島先生とか当時の奏者の方に
感謝の気持ちで一杯ですね・・・・
改めて「ありがとうございました!!」とお伝えさせて頂きます。
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