〇東海大学第一中学校
C/管楽器と打楽器のための交響曲第2番より、第Ⅱ・Ⅲ楽章(チャンス)
個人的に大好きな曲を全国大会で演奏してくれていて、とても強く印象に残っています。
あ・・・、というか曲の方ね・・・・
演奏は・・・・
うーーん、課題曲共々「薄口」すぎて、表現を変えると綺麗ごとに収まり過ぎて
あまり印象に残っていません・・・
何となくですけど、楽譜に書いてあるドレミ・・を特に工夫無く
音にしただけ・・・という印象はありました。
ま、元々持っている技術が大変高く、それだけでもかなりの音楽的説得力はありますし、
この曲自体、「何かうっとりするような情緒性」で聴かせるタイプの曲ではなくて
どちらかというと「メカニック的」な曲だから、
それはそれでこのチームの演奏は悪くは無いのだと思います。
さてさて、ここから先は、東海大学第一中の話ではないのですけど・・・
チャンスは、作曲家として脂がのっている頃に不慮の電気接触事故で亡くなっているのは
大変悔やまれるものがあります。
偶然かわかりませんが、亡くなる直前の作品に「エレジー」という哀感漂う作品があり、
一度フェネル指揮/東京佼成の大宮ソニックでの演奏会で聴いた事があるのですが、
不思議な感覚の曲です。
何となく作曲者には「自らのしの予感」というものがあったのではないか・・と勘ぐってしまうほど
何か「予感的なもの」・「死の香り」・「この世への未練と諦観みたいな感じ」は
不思議と痛いほど伝わってきます。
近い作品としては、リードの「イン・メモリアム」とかC・ウィリアムスの「カッチァとコラール」が
何か「共通性」みたいなものはうるような感じもします。
だけどチャンスと言うと、自分としては最も大好きな作品は、
管楽器と打楽器のための交響曲第二番です。
タイトルは長いけど、要は吹奏楽のための交響曲です。
この曲、タイトルに打楽器と記されている割には打楽器の種類は少なく、
ティンパニー・小太鼓・大太鼓・ドラ・グロッケン・シンバルくらいしか使用されていません。
チャンスは、「朝鮮民謡の主題による変奏曲」とか「呪文と踊り」では各種多彩な打楽器が曲に
スパイスを与えているけど、この曲では打楽器というよりも
「ティンパニー」の格好よさについつい惹かれるものがあります。
実は、この曲はずーーっと全曲を一度聴いてみたいと思っていたのですが、中々そのチャンスに
恵まれず、自分が学生時代には、この交響曲の全曲盤の録音も見当たらず、
コンクールで聴いた第二・第三楽章しか知らなかったので、第一楽章ってどんな展開なんだろうと
ずっと気になっていました。
(最近では全曲版のCDも出ていて普通に購入可能です)
輸入盤の全曲版を聴いて、
「ああ・・・、こういう曲だったのね・・・」と分かったものでした・・・・
第一楽章は、どちらかというと、「静かなエネルギーを秘めている」というような印象です。
第一楽章の主要メロディーは、第二楽章のメロディーとほぼ被っていますので、
新たな発見は特にないという感じでしたが、その静かな内面的エネルギーには
思わず勝手に「予感」というタイトルを付けたくなるような印象がありました。
この曲の最大の聴きどころは、第三楽章のティンパニーのソロですかね。
あのソロはティンパニー奏者にとって「相当の腕の見せ所」でありますし、何よりもかっこいい
ですよね。
もしも自分がティンパニー奏者だったら・・・・
第三楽章のあの長大なソロをピシっと決める事が出来たら・・・
「もう死んでもいい・・・」と思ったりもするのかな・・・・(苦笑・・)
ラスト近くの木管セクションのヘビのようにうねるような感じの掛け合いも見事ですね。
最後の和音の伸ばしも、中東的な色彩も感じられ大好きな部分です。
全体的に、第一楽章の主要メロディーが第二・第三楽章でも再現されているのだから
フランクとかチャイコフスキーの交響曲ではないけど
一種の「循環主題」みたいな交響曲なのかもしれませんね。
ま、チャイコみたいにメロディーラインがとても魅力的とか「泣かせる・・・」という感じては無くて
あくまで現代的なドライな感じの「メカニックな感じ」の循環主題なのですけどね。
コンクールでは・・・・
この曲は全国大会では、前述の91年の東海大学第一中学校を含めて4チームしか
演奏されていません。
84年の大曲吹奏楽団も割と印象に残っている演奏ですが、
少しもっさりしているのが欠点かな・・・・
関東一高も拓南中も正直今一つ・・・・
そうなんですよね・・・
コンクールの演奏もプロによる演奏も、この交響曲の
「これで決まり!!」みたいな決定打の演奏が無いのですよね・・・・・
この曲が再評価される事も期待していますし、
何かとてつもない名演が登場しないものかな・・・と実は密かに期待もしています・・・・
(ま、多分ムリだけど・・・)
個人的な見解としては、コンクールにおけるこの曲の最大の名演は
82年の関東大会の法政大学第二高校の演奏だと思います。
惜しくもスカ金で全国には行けませんでしたけど、あの演奏は、
神秘的というか何か「気迫」が隅々まで伝わってきて、背筋が凍るような緊張感漂う
名演でしたね・・・・
メカニックだけど、とにかく「鮮やか!!」という印象です。
ラストの和音をわざとゆっくりと異常に引き延ばした終わり方が大好きです。
この時の録音の音源はもうないのかな・・・??
(一応自分は当時のトラヤの音源テープを持っていますけど・・)
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