この1981年度の全日本吹奏楽コンクール課題曲A/イリュージョンは
「幻想」という副題がふりますけど
聴いていても実際に演奏しても「幻想」という感じはほとんどありませんね・・・
「幻想」というと「ファンタジー」という言葉の方が何かしっくりくる気はしますけど、
一応「イリュージョン」も幻想と言う意味です。
作曲者の言葉によると、
この曲のイメージは、
「何かある夢に向かって力いっぱい駆け抜けていく」という意味があるそうですけど、
そう言われてもあまりピンとこない・・・
この曲はとにかく「しつこい・・・」、「同じメロディーの反復が多い・・・」というイメージがあります。
「ミラドミソファソファミレミドミレドドシラソシラ」というあのメロディーが終始一貫して繰り返されているという
感じが非常に濃厚ですね・・・・
序奏-A-B-Aという単純な三部形式ですけど、
Aのアレグロの部分もBの中間部の歌の部分も上記のメロディーの反復ばかり・・・という印象です・・・
この課題曲、自分が高校に入学して吹奏楽部に入部し、一番最初の年に課題曲として吹いた曲
なのですけど、
やっぱりこの年は課題曲B/東北地方の民謡によるコラージュを演奏したかったですね・・・・
前年の中学3年の時は一年間だけアルトサックスにコンバートされ、
一年間アルトサックスみたいに比較的音は出しやすくヴィヴラートかけまくりの楽器を吹いた後に
神経質でやっかいな楽器「クラリネット」に出戻りしてしまいましたので、
改めてクラリネットの難しさを思い知らさせた一年間でもありました・・・・
入部時に、経験楽器と希望楽器を聞かれ
「小学時代は打楽器、中学でクラリネットを2年とアルトサックスを1年、
希望は是非アルトサックスで・・・」と言ったのですけど
入った高校が田舎の県立男子高校で、
男子高校にとっての頭痛の種は「慢性的なクラリネット奏者不足」のため、
クラリネット経験ありというだけで問答無用でクラリネットパート配属が決まってしまいました・・・・(苦笑・・)
ま、後年大学の吹奏楽団に入団した際も
「あ、アルトサックスは奏者が一杯いるし、
男性のクラリネット奏者は珍しいから、クラリネットをやって・・・、え、それでもアルトサックスがいい・・・?
だけど、一年からコンクールのレギュラメンバーになりたいのだったら
クラリネットの方が確率高いよ・・・、というかクラリネットならばほぼレギュラー確定ね・・・」と
そそのかされてしまい、
結果的に高校と大学でもクラリネットを吹き続ける羽目になってしまいました・・・・(苦笑・・)
「イリュージョン」なのですけど、
この課題曲、クラリネットは意外と面倒・・・・
特に練習番号Gの部分とか4分の3+2拍子みたいな不規則的な変拍子の部分は
合せるのが本当に大変でしたし、
「あんなハイトーンでこんな細かいスタッカートを一体どうやって吹けばいいんし゜ゃーー」みたいに
頭を抱える部分が多い曲と言うか
かなり演奏者泣かせの曲でしたね・・
というか、叙情的な部分が少なく、比較的メカニックな印象が強い曲でしたので
「表現」はしにくい曲でしたね・・・
演奏者にとっても指揮者にとってもかなりやりにくい曲でした・・・・
「だったら初めから課題曲B/コラージュを演奏すればいいじゃーん」とも思っていたのですけど
田舎の貧乏県立高校には
課題曲Bで使用する和太鼓・締め太鼓なとのような特殊楽器がなく
しぶしぶ課題曲Aを選んだというのが実態だったのかな・・・・??
「イリュージョン」という英語は、「幻想」という意味なのですけど
辞書で引いてみると
「悪夢、忘れてしまいたい嫌な事」という意味もありました。
自分にとってはこの課題曲A/イリュージョンを聴くと
確かに当時の「忘れてしまいたい嫌な事」をいまだに思い出してしまいますね・・・
中学の頃の自分は、
ド田舎の頭の悪い公立中にいまして、その中では比較的「頭はいい方」という位置づけで過ごしていましたけど
高校に入るとすぐにそれは
「自分はこんなに頭が悪いんだ・・・、世の中には頭のよい人が一杯いる・・・」
「自分は勉強もダメ、クラリネットも全然うまく吹けない・・・」
「自分の存在意義とは・・・一体何・・・!?」みたいに
色々と思い悩んでしまう結果になってしまい、
何かこの課題曲を聴くと当時の色々な挫折感とか甘酸っぱい思いとか
「忘れてしまいたい嫌な事」は
確かに色々と脳の中に入り込んできますね・・・・・
課題曲としては決して好きな曲ではありませんし
むしろ苦手な曲なのですけど、
何か色々な意味で「思い入れ」がある課題曲でしたね・・・・
何か聴くだけで当時の様々な思いがフラッシュバックされる不思議な曲だと思います・・・・
この課題曲は冒頭が本当に嫌な部分でしたね・・・
というか指揮者泣かせ・・・・
出だしがああいう非常にうすく書かれるとやりにくいですよね・・・・
冒頭はユーフォとチューバの二人だけのユニゾンで開始され、続いてトロンボーンが加わるのですけど
あの部分のユーフォ奏者のミストーンは
コンクールでも何度も遭遇しました・・・・
あの出だしをカッチリとまともに決まった方がむしろ少ないような感じもありました。
非常にローカルでマイナーな話ですけど
関東大会での都留文科大学のあの課題曲の冒頭のミスは、すごいものがありましたね・・・・
この課題曲の名演って・・・
うーーん、無いな・・・・(苦笑・・)
せいぜい淀川工業くらいかな・・・・
でもあの演奏も何かモヤモヤしていてあまり共感は出来ない感じはあります・・・
一つ面白いのは、高松第一高校の演奏かな・・・・
中間部をあんなにたっぷりと執拗に歌いこんだ演奏は珍しいのでとても印象的です。
あ、そうそう一つだけこの課題曲の名演がありました・・・
1981年の都大会の瑞穂青少年吹奏楽団です。
あの演奏はまさに「快演」ですね。
アレグロの部分のスピード感と爽快感と切れ味は素晴らしいものがありました。
自由曲の「セレブレーション21」と合せて
知る人ぞ知る隠れた名演だと思います。
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イリュージョン懐かしいですね。実は私フルートをやっておりました。そうですね幻想というよりは私的にはオーバーザギャラクシー的な感じですね(笑)。