この年1988年の課題曲はA/深層の祭りとD/カーニバルのマーチに人気が二分する結果に
なってしまいました・・・
私個人の感想ですけど、この年の課題曲は正直苦手なものが多く、
前年の1987年をもって10年間に渡る「吹奏楽コンクール出場」の歴史に幕がおろされ、
1988年から晴れて新社会人になった身としては
「社会人になったのは正直しんどいけど、88年みたいな課題曲を吹かずに済んでよかった・・・」みたいな
気持ちも少しはあったようにも思えます。
ま、A/深層の祭りは、よく分かりますし、難解だけど決して嫌いな曲ではありません。
だけどD/カーニバルのマーチのあの軽薄さとB/交響的舞曲のモヤモヤ感はどうも苦手でしたね・・・
この年の吹奏楽コンクール・全国大会は、結果的に全部門聴いてしまったのですけど
課題曲を聴くのが結構しんどかった・・・・という印象もありますね。
(86年とか90年のように全ての課題曲が名作揃いだとすごく嬉しいのですけどね・・・・)
そんな中、この年の課題曲で一番好きだったのは課題曲C/マーチ「スタウト・アンド・シンプル」でした。
だけどこの課題曲全然人気が無くて、
高校・一般の部ではなんと演奏団体ゼロです・・・
中学で2団体、大学と職場の部で各々1団体ずつで
全国大会ではわずか4チームしか演奏されない人気薄の課題曲でした・・・
(でも1978年の課題曲B/カントよりはマシか・・・・だってあの課題曲全国大会では全部門を通じて
演奏したチームはゼロでしたから・・・)
この「スタウト・アンド・シンプル」は文字通り、同じようなメロディーが延々と繰り返されるような感じの曲
なのですけど、意外と技術的に簡単ではないし、
どのように料理するかが非常に難しい曲だと思います。
だからこそ、課題曲にマーチを選ぶチームは、表現がしやすいDの方を選んだと思います。
だって「マーチの名手」と呼ばれる阪急百貨店ですら、この課題曲Cは、
何かリズムがぎくしゃくし、普段の阪急らしい「正統派感」は希薄でしたからね・・・
でも何か「噛めば噛むほど味がでるような」スルメイカみたいなこの曲、
私は大好きでしたね。
何でかな・・??
全体に繰り返しが多いから「しつこい」という感じもしなくはないのですけど、
そのしつこさがやみつきになるという感じもしますし、
曲のメロディーラインが何か「ハッピー」な感じがするのもいいと思いますし、
私がもしも指揮者だったら、この年は文句なく課題曲Cを選んでいたと思います・・・
この課題曲の原博氏は、ある意味「異端的」なクラシック音楽作曲家としても知られ、
ほとんどのクラシック音楽作曲家が難解極まる「現代音楽」路線に向けて走る中、
原博は、ハイドン・モーツアルトのような「古典主義」の音楽に回帰するという主義の下
そうした作曲家たちの作風を「模倣」ではなくて「継承する」という路線を取り、
現代においてもそうした古典的な作風の曲を色々と発表していました。
原博は、後年、吹奏楽コンクール課題曲として「吹奏楽のためのミニシンフォニー 変ホ長調」という作品を
作曲していましたが、
確かに、この作品からは作曲者のそうした意図は十分に伝わってきます。
この「スタウト・アンド・シンプル」も「吹奏楽のためのミニシンフォニー」も私はかなり大好きな課題曲の
部類に入りますね。
余談ですけど、原博は、確かフォンテックから発売されていたと思いますけど
管弦楽としての「交響曲」も残しています。
この交響曲四楽章形式で演奏時間50分と長めですけど、
とても現代の作品とは思えないほど「ハッピー」感溢れる素敵な曲ですよ。
楽章の中には、何と古典派みたいな「メヌエット」もありますけど・・・・
○市川交響吹奏楽団
A/海より
かなりの大人数で、印象としては「精密なマシーン」という感じもします。
指揮者のコントロールがかなり厳格のようにも感じられ、
全体しては「大変知性的で理性的なのだけど、少し抑えられすぎ・・・」みたいな印象もありました。
課題曲Aのように、精密で計算され尽された曲は、このチームのカラーに最も相応しいような
感じもあり、
確かに豪快に鳴らしてはいるのだけど、「引くところはきちんと引いて、音量は節度をもって保たれている」
みたいな感じもありました。
でも何か反面「意図がみえみえ」というか何か「計算高い」みたいな印象も受けました。
自由曲の「海」は良かったですね。
吹奏楽コンクール全国大会で初めてドビュッシーの「海」を演奏したのは
山王中とか豊島第十中と思われがちですけど、
実は玉川学園高等部でした・・・
この玉川の演奏を聴いたことがあるのですけど、印象としては
現在と違って、あまり洗練されていなくてゴツゴツとした響きという感じです。
その当時の「海」を思うと、この市川交響の「海」は、まさに「洗練」の極みですね・・・・
音が綺麗だから、それだけでも上手く聴こえるのですけど
やはり指揮者のコントロールが厳格の為か、
音量は比較的控えめ・・・
そして何よりも終盤ギリギリまで「感情」を抑制し、
最後の最後で「溢れる感情を爆発・炎上させて終わらせた・・・」という印象が非常に強いです。
でも何か「計算された感」が強いんですよね・・・・
結果的にこのチームは3年連続の金賞となるのですけど、
個人的な感想としては、このチームとコンチェルト・エロイカに金賞をあげるなら
札幌交響と米沢に金賞を与えて欲しかったと思います・・・
- 関連記事
-
スポンサーサイト
コメント
コメントの投稿
件のトラックバック