改めて感じる事ですけど、
A.リードの吹奏楽オリジナル作品って本当に素敵な曲が多いですよね。
例えば・・・・
アルメニアンダンス【パートⅠ バートⅡ】、オセロ・ハムレットへの音楽、エルサレム讃歌、
パンチネルロ序曲、エル・カミーノ・レアル、第二組曲「ラティーノ・メキシカーナ」なとなど
ほーんとキリが無いですよね・・・
その中でも8分半程度の曲なのですけど
序曲「春の猟犬」も決して忘れる事が出来ない素晴らしい作品だと思います。
この曲いかにもリードらしい感じが満載で、
まず出だしの「ウキウキとした感じ」がたまらなく素敵ですし、
中間部のうっとりさせられるロマンティックで甘い曲想が本当に堪らないです・・・
曲の構成も
A-B-Aと実にシンブルなのもいいですけど、
あえて少し注文を付けると、もう少しAの部分が長くても良かったような気もします・・・
この曲が日本の吹奏楽コンクールで演奏され始めたのは1982年だと思いますけど
この時の表記は序曲「春の猟犬」となっていましたけど、
1984年の全国大会・高校の部でこの曲を演奏した札幌白石高校のプログラム表記を見てみると
スゥイバーンの詩に基づく管楽器のための序曲「春の猟犬」となっていましたけど、
実際はこちらの方が正式タイトルみたいですね。
この序曲は19世紀の詩人A.スウィンバーンが1865年に出版した詩の印象に基づいて
作曲されたらしいのですけど、
その詩とは・・・・
春の猟犬が冬の足音をたどる頃
月の女神が牧場で草原で
暗がりを、風吹く場所を
葉音、雨音で満たす
微笑み隠す唇ほど柔らかな
木々の茂みを陽気に分け入り
追い求める神々の目を逃れ
かの乙女は身を隠す
といった内容のものです。
リードは、この詩から「若さ溢れる快活さ」と「甘美さ・優雅さ」の二つをこの序曲に
託したようです。
6/8拍子を中心とした軽やかな明るいリズムは、「快活さ」を・・・・
そして中間部の4/4拍子の甘いメロディは、「恋という青春の優美さ・甘さ」を
それぞれイメージしたものなのかもしれませんよね。
実際聴いていて、
「こんなに分かり易い曲無いよな・・・」と思わず頷いてしまうくらい実にシンブルな曲です。
分かり易いメロディーに、躍動感と甘さが加わり、形式もA-B-Aと非常にシンプル・・・
ほーんと、「分かり易さ」を絵に描いたような序曲です。
リードって色々な演奏会用序曲を残していますけど
こんなに分かり易くてメロディーラインが魅力的な曲って
意外と少ないような感じも無くは無いのですけど、
個人的にはリードの「序曲」というと、
この春の猟犬と、ジュビラント序曲、そしてパンチネルロ序曲が三大名序曲という
感じもします。
私の高校も定期演奏会でよーくリードを演奏していました。
高校一年の時は、アルメニアンダンスパートⅠとパンチネルロを・・・
高校二年の時に、第二組曲とジュビラント序曲を・・・
(リードの第二組曲の事は、このブログでも確か2013年1月頃にかなりしつこく書いていたような記憶が・・・??)
そして高校3年の、自分にとって最後の定期演奏会では、
何とか部長権限で
(私は一応高校時代は何の権限も無い雇われマダムみたいな部長をしていました・・・・苦笑・・)
リードの春の猟犬とハムレットは何としてもやりたい!!と思っていましたけど
あえなく「パートリーダー選曲会議」でボツとなってしまい、
何か無性に歯がゆい思いをした記憶があります・・・・
アルメパートⅠと第二組曲という大本命を演奏出来たのだから、これ以上望むのは
確かに高望みだったかもしれないけど
せめて「春の猟犬」は演奏してみたかったですね・・・
ま、でも一応この曲は大学に入って吹くことは出来たから、ま、それはそれで仕方ないか・・・・
この曲の出だしのウキウキとした感じはまさに「春の陽気」ですね。
吹くだけで聴くだけでもとても「ハッピー」な気持ちになれます。
そして中間部のしっとりとした歌が実に素敵ですね。
徐々に盛り上がっていく感じが実にいいのですけど、その中間部の頂点での
トランペットの高音が実にいいです!!
この部分を聴くだけでも何か胸が「きゅん・・」となってしまいますね・・・・(笑)
再度アレグロの部分に展開した際のトロンボーンのアンサンブルが素敵ですし、
ラスト近くのティンパニーのソロを経てラストの全合奏のffで閉じる感じもまた実に魅力的です。
全体的に楽しいけど実にロマンチックな曲ですね。
パンチネルロの中間部も実にしっとりとした歌がありましたけど、
パンチネルロの場合、多少「哀愁」みたいなものがあったのに対して「春の猟犬」は
実に抒情的でロマンチックというのが二つの序曲の違いかな・・・・
この曲、1980年代~90年代前半までは、コンクールでもかなりの人気曲でしたけど
最近はとんと聴かなくなりましたね・・・・
支部大会でも2008年以降はどこも演奏していないのが寂しいです・・・
こういう名曲は是非、21世紀に入っても
しっかりと受け継がれて欲しいものですね・・・・
「春の猟犬」の名演は、多分誰もが指摘する通り、
1982年の福岡工大付属高校と88年の野庭高校の演奏がまさに双璧の二大名演だと
思います。
だけど野庭は、少し評価が分かれるかな・・・・
やり過ぎと感じる人は「少々鼻につく」演奏と感じるかもしれませんけど
野庭の中間部の謳い方はとても感動的です。
福岡工大付属は一言でいうと「実に正統派」の演奏・・・
全く文句のつけようがないのですけど、あえて一言いうと、
何で最後の最後であれっぽっちの部分をカットしたのでしょうかね・・・・
何か唐突に終わるような印象もあり、それが少し残念な感じもします。
1990年の百萬石と84年の札幌白石は、評価の上では銅賞なのですけど
正直この評価は少し辛いような気もします・・・・
特に札幌白石の演奏は、躍動的でロマンチックで歌い回しが上手な素敵な演奏だと
思うのですけどね・・・・
うーーん、やはりコンクールは水物・・・・
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