吹奏楽コンクールを聴く楽しみの一つとして、
全然聴いたこともない初めて聴く「吹奏楽オリジナル作品」を事前の情報なしに
初めて触れるその「新鮮さ」に巡り合う事が出来事もあるのですけど、
クラシック音楽のアレンジものを聴く楽しみ方として、
初めてその曲を聴く場合は、後日改めてその「原曲」の演奏を聴いてみて
その原曲の素晴らしさが分かる場合もありますし、その事がきっかけとなって
吹奏楽コンクールでたまたま演奏された曲目以外のその作曲家の別の曲を聴くきっかけにもなりますし、
その「原曲」を既に知っている場合は、
原曲と吹奏楽アレンジ版の相違、使用する楽器の違いでどんな風に曲想が変化するとかを
結構面白いものがあると思います。
ま、後述しますけど、例えばコダーイのハンガリー民謡「くじゃく」による変奏曲なんかは
原曲のオケの演奏を聴く限りでは
「地味・・・」という印象があるのですけど
吹奏楽版で初めてこの曲を聴いた時は、
「あれ、この曲ってこんなに劇的要素とか色彩感とかあったっけ・・・??」と逆に改めて
新鮮な発見があったりするのも
何かとても興味深いものがあると思います。
〇光が丘女子高校
Ⅳ/バレエ組曲「エスタンシア」
このチームは、正式名称は「聖カタリナ学園光が丘女子高校」と言うそうですね・・・
愛知県在住の自分の知人が教えてくれました・・・
この知人を通じて、このチームの古い演奏(85年のロシアのクリスマス音楽 88年の古祠)を
カスタムテープで聴いたことがあるのですけど、
印象としては「地味・・・随分と控えめで内省的・・・」という感じがしたのですけど、
全国大会初出場のこの年は、
とにもかくにも感想を一言で言うと「大雑把で雑で豪快で荒っぽい!!」という印象でした。
ま、これは自由曲の選曲のせいというのが主要因でしようけど、
とにかくパワフルなエキサィティングな演奏でした。
ヒナステラの「エスタンシア」は、この光が丘高校の演奏をきっかけにその後全国大会でも何度か
演奏されていますから、この曲を発掘し演奏した意義は大きいと思います。
私自身、この組曲は、光が丘の演奏を聴くまで正直作曲者の名前を含めて初めて聞いたものでしたけど
結構早い段階で、エスタンシアが収録されたCDを買いに行ったのを今でも覚えています。
確かティルソン=トーマス指揮/ニューワールド交響楽団だったかな・・・・
そのCDに収録されていたチャベスの「インディアン交響曲」は、この光が丘の演奏を聴かなかったら
多分生涯出会わなかったかもしれませんね。
その意味でもやはり「吹奏楽コンクール」は色々と意義がありそうですね。
光が丘の「エスタンシア」は、開拓者の踊り・小麦の踊り・褶曲の踊りの三つの部分を演奏し、
構成としては、動-静-動という感じですけど、
静の部分の「小麦の踊り」をもう少ししっとりとひそやかに決めると
全体の印象も変わったかもしれませんね。
結局課題曲も含めて、全て至る所まで「力で圧倒した」というパワー演奏だったのが惜しまれます。
開拓者の踊り・褶曲の踊りは、部分的に小太鼓奏者を3人も駆使し、
大変迫力はありました。
ラストでタムタム(ドラ)が派手にゴワーーーーンと鳴っていましたけど
あれは完璧に「地響き」の様相を呈していましたね・・・・
〇野庭
Ⅳ/ハンガリー民謡「くじゃく」による変奏曲
まー、誠に申し訳ないのですけど、
やはり野庭=中澤先生=リードの演奏というイメージが強すぎるせいかもしれませんけど、
1992年以降に中澤先生が従来のリードを中心とするオリジナル路線から
アレンジもの路線に転じて以降は、
正直「何か今一つ・・」という感じも否定はできませんでした。
だけど92年から95年の4年間(96年にご逝去・・・・)の演奏の中では
この年、93年のコダーイのハンガリー民謡「くじゃく」による変奏曲は
本当に感動的でしっとりとした演奏を聴かせてくれ、
野庭=中澤先生サウンドの「別の側面」を見せてくれた演奏だと思います。
正直、この演奏を生で聴いていて、何かこみあげてくるもがあり、
「人の心にまっすぐと訴えかけてくる演奏」の素晴らしさと感動を改めて実感したものでした。
この曲、よくコダーイの組曲「ハーリ=ヤーノシュ」とか「ガランタ舞曲」とカップリングされたCDが
多い為、以前から知っていたのですけど
その際は、正直「地味・・・」とか「綺麗すぎて印象が希薄・・・」みたいな感想でしたけど
吹奏楽版の演奏を耳にして
「あれ、この曲にこんな感動的要素があったっけ・・・??」とか
「このはかなくも悲しい色彩感は何なんだ・・・」とも感じ、
原曲を吹奏楽にアレンジする事で、こうした意外な効果を発揮する曲もたまにはあったりするものだなーと
妙に感心したものです。
ま、原曲は25分前後度とやや冗漫すぎる感じもし、
吹奏楽コンクールの8分程度の「カット版」だから、「ダイジェスト的においしい部分だけを取り出した」という
要素もあるとは思いますがね・・・
だけど野庭のこの演奏、とにかく木管セクションが極めて優秀で
全く乱れることなく難しいパッセージを楽々とこなしているのは驚愕の一言に尽きます。
中間部のしっとりとした歌、それに続くトロンボーンセクションによる「嘆きの歌」などなど
とにかく胸にじーーんと響き渡る名演です。
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