昨年の今頃の記事に「我が家から数軒先の木造家屋が現在、解体工事の真っ只中・・」といった記事を書かせて頂き、
その解体現場の作業チームは東南アジア人系のオール外国人チームだったけど、挨拶の際の日本語も流暢で、
仕事ぶりも丁寧でまじめそのものであった・・みたいな事を書かせて頂いていたと思います。
その解体された跡地にはその後まもなく建売の家が建築され、あっという間に売れたようで既に居住済みとなっています。
そう思っていたのも束の間・・
今度は我が家の隣接宅が今年の2月から解体が始まり、解体後には土地の造成(整地)・杭打ちなどの地盤補強工事、
そして建売住宅の新築工事とあっという間に進展し、前回同様あっという間に買い手も付き、
間もなく引っ越しが始まるようです。
それにしても解体が開始された2月から6月の建物完成までの間はなにかとせわしいというのか、
騒音に振動が絶えない半年程度だったと思いますし、先日その工程がすべて完了した際には
「これでやっと静かになる・・」と安堵したものでした。
こういう工事というのは近隣にとっては「お互い様・・」という感じですし、
私自身も2001年以降はずっと住宅関連業界に在籍していて、そうした工事関係者の皆様の御苦労は身に染みて
わかっているつもりですので、多少の施工中の振動や騒音は「我慢しないとね・・」という感じでした。
もっとも・・私なんかは週のうち5日程度は仕事で家にはいないので、そうした振動・騒音もあまり気にはならなかったのですけど、
ほぼ毎日家にいるうちの奥様にとってはこの半年程度は、スイートプリキュアのエレンではないですけど、
毎日が「やっかましーわ!」の連続であったといえそうです。
こうした家の解体→新築工事という一連の過程の中で、どの過程で最も振動・騒音が発生するのかというと、
解体の時は家そのものの解体の際ではなくて、基礎のコンクリや隣接境界フェンスを砕いてシャベルカーが
それをフリフリしながらガラ(産業廃棄物)をトラックに積んでいる過程だと思いますし、
家の新築はだれがなんといってももっとも隣接宅が揺れて騒音がうるさいと感じられるのは地盤補強のための杭打ちの際だと
思います。

一般的に埼玉県でもさいたま市~川口市は地盤が弱く、事前の地盤調査の際に「地下に5~8m程度の杭を6~10本程度
入れないといけない」と診断されることがほとんどなので、
この杭打ちの際に最も周辺宅が揺れると思います。
実際に隣接宅が杭打ち工事をしていた日に帰宅してみると、何度か自室に飾ってあった艦娘の夕張ちゃんの
スケートmodeフィギュアが棚から落ちていることもあったりしたものでした・・
だけどこうした杭打ちが完了して、建物本体の建築が始まると、意外にも騒音や振動はほとんど気にならない程度に
なります。
というのも最近の建売住宅はほとんどが2×4工法ということもあり、事前にプレカットされた部材を現場で組み立てる事が
ほとんどであり、基礎工事の養生が完了してこうした部材の組立がかいしされると大体今の家は3か月も掛からないで
完成してしまいます。
私自身が2001~2006年の新築木造住宅のモデルハウス営業担当をしていた頃の木造住宅の解体というのは、
2階建て・35坪前後の建坪の場合ですと、解体工事の原価は平均して大体70万前後で解体日数は大体5日~一週間前後で、
基本的には現場に重機を持ち込んで、ツメまたはシャベルを家に叩きつけ部材を剥がしていき、それを作業員が
同じく現場に横付けされているトラックに廃材をどんどん詰め込んでいき、それを産業廃棄物処理施設場に持っていくという
イメージだったと思います。
だけどここ10年ほどはリサイクル法が厳格に適用され建設関連のリサイクルが大変厳しくなり、
昭和30~50年代に施工した家ですと家の中に部材としてアスベストが使用されている可能性もあると言う事で
重機でどっか~んと最初に家をつぶすという事がしにくくなった事情もありますし、
廃材を部材ごとに分別処理し、「この現場ではこの量の資源ごみや不燃ごみが発生し、それをいつ産廃処理場に
持ち込んだのか」というマニュフェスト書類を作る必要があり、
基本的に現在の解体作業は手作業のものが多くなったということで、
以前と違って建坪35坪程度の木造住宅でも解体着手から完了までは大変時間がかかり、今現在ですと
大体平均して2週間程度は掛かっていると思います。
それに伴って解体工事費用も、2000年代初頭の頃に比べてほぼ倍増していると思います。
ちなみに、木造住宅の解体が一番楽で費用も安いのですけど、鉄筋の場合ですと、木造の約1.5倍程度費用が発生し、
RC(コンクリート)の場合ですと、費用は木造住宅の2倍程度掛かると思った方が宜しいかと思います。
そんな訳で最近の住宅街の中の木造住宅の解体は、最初の潰しと基礎解体以外はほとんど重機を使用せず、ほぼ手作業で
家屋を解体しているパターンが多いと思います。
人間の手で部材を剥がしている訳ですので、当然時間も掛かりますし、それが最近の解体現場の工事費用高騰の
大きな要因になっていると思います。
以前ですと、解体するのに別に簡易足場は組む必要も無かったのですけど、
屋根やベランダを解体する際には足場がないと作業も当然やりにくいので、簡易的な足場を組むことも多く、
それもコストアップの要因にもなっているのかもしれないです。
そうした意味においては重機の使用が減っているということで昔よりは解体工事の際の騒音・振動も減ってきてはいるけど
解体日数が倍増しているというのが実情といえそうです。
今回の解体は多分ですけど築40年以上の物件で、間違いなく1981年の建築基準法改正前の建築物件という
せいもあるのですけど、
その解体現場をよく眺めてみると、基礎はベタ基礎ではなくて布基礎と言う事で、床面の下は結果的に地面だったし、
筋違も入っていないし耐震補強用のL字金物も付けられていないし、
屋根は家に1トン程度の負荷を掛けている和瓦だったし、
感想としては「2011年の東日本大震災などを含めてよくこれまで持ち応えていたよね~」という感じでもありましたけど、
ここまで持ち応えていたという事は日本の在来工法の素晴らしさを意味しているとも言えるのかもしれないです。
隣接宅も昨年解体がなされていた3軒先の家も、転居と土地建物売却の理由はいずれも世帯主夫妻の高齢化に伴い
子供たちの家に引き取られ同居するためまたは介護施設への入居という事は
なんだか高齢化社会・日本の縮図みたいな感じでもありそうです。
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