A.ヒナステラというアルゼンチンのクラシック音楽の作曲家は、日本では正直あまり知名度も低いかもしれないですし、
その作品が演奏される機会もそれほど多くはないのですけど、もっともっと日本でも演奏されてほしい作曲家の一人でも
あったりします。
1990年代に井上道義の指揮でヒナステラのハープ協奏曲が演奏されたときは、当時在住していた山梨からサントリーホールに
駆け付けたものでもありました・・
(この時の演奏会では後半にショスタコーヴィッチの交響曲第7番「レニングラード」が演奏されていました)
A.ヒナステラはブラジルのヴィラ=ロボス、メキシコのチャベスやポンセらと並び、ラテンアメリカでもっとも
重要なクラシック作曲家の一人でありまして、ヒナステラの代表作の一つが本記事でレビューさせていただく
バレエ組曲「エスタンシア」です。
エスタンシアとは何かというと、アルゼンチンやチリで見られる大規模な農園のことでもあります。
バレエ音楽「エスタンシア」は、元々はアメリカン・バレエ・キャラバンが南米ツアーの上演のために新作バレエ音楽を
ヒナステラに委嘱したのが作曲の経緯であるのですけど、委嘱したバレエ団が解団されてしまい新作バレエの上演が
キャンセルされ、結果的にバレエとして初演されたのは委嘱から11年後の1952年であったりもします。
ヒナステラは「せっかく作曲した新作バレエの音楽がこのまま埋もれてしまうのはもったいない」と考え、バレエ音楽全曲から
四つの部分を選曲し、バレエ組曲「エスタンシア」として発表をすることになります。
元のバレエのエスタンシアにおいては、アルゼンチンの特徴的な草原・パンパと、そこに暮らす農民や
アルゼンチン風カウボーイ・ガウチョたちの1日の生活が描写されています。
曲全体の雰囲気はラテンの熱狂的な民族音楽とストラヴィンスキーの原始主義的なリズムをミックスしたような音楽で、
全体的にはリズムのノリの良さと特にⅠとⅣにおける集団的熱狂の情熱の発散は聴いているだけでも思わず
踊りだしたくなってしまうような感じでもあります。
あの集団発狂に近いようなノリノリなリズムの躍動は、日本で例えると徳島の阿波踊りや青森のねぶたや
はたまた江戸時代末期の民衆の「ええじゃないか」に近いものがあるのかもしれないです。
バレエのストーリーは、都会の青年と農園の娘の恋愛物語のですけど、その組曲版を聴く限りではとてもじゃないけど
恋愛劇とは思えないノリの良い熱狂の音楽が展開されていきます。
打楽器に、ティンパニ、トライアングル、タンバリン、カスタネット、スネアドラム、テナー・ドラム、シンバル、バスドラム、タムタム、
シロフォンが使われていて、打楽器だけで8人も奏者がいます。
組曲全体としてピアノがかなり効果的に用いられていて、リズムの支えに大変重要な役割を果たしています。
後述しますけど、この組曲は仲田守編曲版としての吹奏楽アレンジ版も1990年代から既に登場していて、全国大会でも
何度か演奏されています。
吹奏楽版においては終曲の踊り(マランボ)にスネアドラム・テナードラムを3台も使用している場合もあったりして、
あのドラムスの執拗なリズムの反復は聴いていても大変な爽快さと情熱の発散が伝わってきます。
最近では、ベネズエラの指揮者グスタボ・ドゥダメルが、シモン・ボリバル・オーケストラのアンコール曲目として、
組曲版のエスタンシアの終曲のマランボをアクション入りで演奏したところ、クラシック音楽らしからぬそのエキサイティングな
演奏がYoutubeなどで人気が爆発した事もあります。
また2019年夏に開催されたN響ほっとコンサートにおいても、やはりこのマランボが演奏されていて客席を熱狂させていました!
バレエ組曲「エスタンシア」は下記の四曲から構成されています。
Ⅰ.開拓者たちの踊り
Ⅱ.小麦の踊り
Ⅲ.牧童たち
Ⅳ.終幕の踊り(マランボ)
Ⅰの開拓者たちの踊りは冒頭からエンジン全開という感じでエキサイティングに曲が展開されていきます。
あの独特なリズムはいかにも「南米の血が騒ぐ」という事なのだと思います。
Ⅱの小麦の踊りは一転してひそやかな静粛で美しい音楽です。
Ⅰの熱狂を聴いてⅡのひそやかな音楽を聴くと、その圧倒的な音楽的ダイナミックスの落差に驚愕しますし、
改めて音楽というものは動と静の対比の落差の効果は大きいものであると実感したりもします。
清らかでひそやかな静寂から、夜明け後の穏やかにたちこめる大気の香りを感じさせるようなスケールの大きい盛り上がりを
瞬間的に見せた後に最後は静かに閉じられていきます。
Ⅲの牧童たちはガウチョが馬に乗って牛を追い立てる場面を描いており、ティンパニを中心とした打楽器とホルンが大活躍し、
勇壮な牛追いの様子が展開されていきます。
ティンパニのゴツゴツとした無骨な響きが大変印象的です。
Ⅳの終幕の踊り(マランボ)では、アルゼンチンの民族音楽「マランボ」の踊りが活力あふれる勢いで始まり、
小太鼓・カスタネット・シロフォンなどの打楽器も総動員され、ミニマルミュージック風の激しく高速なリズムが
目まぐるしく展開され、曲が閉じられる直前にドラがごわわーーんと地響きをたてる中、興奮状態で曲が一気呵成に
興奮のるつぼと化した中で閉じられます。
終幕の踊りは極めて単純な構成で、同一メロディーと同一リズムが執拗に繰り返され、聴いているだけで陶酔状態に
陥っていきます。
あの熱狂的興奮はまさに一種の集団発狂に近いような雰囲気もあり、そうした執拗なリズムの反復による集団発狂の世界
というとハチャトゥーリアンのバレエ音楽「ガイーヌ」のレスギンカ舞曲を思い起こしてしまいますけど、
エスタンシアのマランボを一度聴いてしまうと、レスギンカ舞曲ですらも洗練された音楽に聴こえてしまうほど、
マランボの熱狂ぶりはクラシック音楽の歴史の中でもかなり特筆されるものがあるようにも感じられそうです。
バレエ組曲「エスタンシア」は日本ではあまり演奏されないのですけど、私自身2003年に聴いた東京交響楽団の
東京芸術劇場シリーズで演奏されたときの快演は大変素晴らしいものがあり、今でも私の耳に焼き付いていたりもします。
この演奏会のアンコールではエスタンシアのマランボが再度演奏されていて、客席を興奮のるつぼと化させていたのも
大変印象的でした。
吹奏楽コンクールでは、ヒナステラのバレエ組曲「エスタンシア」は支部大会でも全国大会でも何度か演奏されていて、
最近では2017年に北陸代表の百萬石ウィンドがこの曲でもって初めての念願の金賞受賞に輝いています。
バレエ組曲「エスタンシア」の全国大会初演は1993年の聖カタリナ学園光が丘女子高校による演奏です。
光が丘女子はこの時は初めての全国大会出場で奏者の皆様たちもかなり緊張されていたとは思うのですけど、
とにかく豪快で大変のびのびとした演奏をされていたのが大変印象的でした。
率直な感想を記すと、課題曲のマーチ「エイプリル・メイ」が終わった時点で
「かなり音色が粗くて基本的な部分に問題が残っているのかな・・」と感じ、課題曲の時点で既に銅賞は確定したのかな・・?と
感じさせるものはありましたけど、雰囲気的には初出場とか金賞とか銅賞とか「そんなの関係ない!」といわんばかりの
実に自由でのびのびとした音楽が展開されていて、聴いていても大変気持ちがよいものがありました。
この時はⅠ・Ⅱ・Ⅳの組み合わせで、音楽の構成的には急-緩-急のシンメトリーを形成していて、Ⅱのひそやかさと
ⅠとⅢの対比が実に決まっていたと思いますし、特に終曲のマランボの追い込みが「さすがにちょっと鳴らしすぎなのかも・・」と
感じさせるくらい音が割れる寸前まで豪快に鳴らしていましたし、3人のドラム奏者と計8人の打楽器パートの
リズムのノリの良さは素晴らしかったですし、「音楽とは熱狂である」という事を見事に立証していたと思います。
奏者も初出場という事でかなり緊張はあったと思うのですけど、あんなにのびのびと自分たちの音楽を表現できたことは、
十分すぎる満足感がそこにはあったのかもしれないです。
翌年の1994年にはスペイン系のファリアの歌劇「はかなき人生」で再度全国大会に出場を果たしていましたけど、この時は
前年のエスタンシアの熱狂よりもしっとりとした抒情性が見事に発揮されていて、チーム全体の進化も十分すぎるほど
伝えていたと思います。

ヒナステラのバレエ組曲「エスタンシア」は音楽も楽器編成も先例に囚われないかなり自由な部分があるのですけど、
ららマジの東奏学園器楽部の部員は30人で吹奏楽部ではなくて器楽部と言う事で、
楽器仕様に制約が無いと言う事で、出てくる楽器も
吹奏楽ではありえない編成のワーグナーチューバ・箏・胡弓・ピアニカ・リコーダー・エレキベース・シンセサイザー・
ウクレレなども登場しているのは自由さがあってとてもすてきだと思います。
器楽部創立メンバーの一人で、部長であり指揮者でもある草薙百花がそうしたメチャクチャな楽器編成を
無理やりどうにかこうにかまとめてしまっているのですけど、
ららマジの器楽部の楽器編成は「各楽器に奏者が1名」ということですので、部員が30人ということで、つまりは
30の楽器で音楽が奏でられるという事になると思います。
それにしても改めてららマジ器楽部の編成はツッコミどころが満載ですね~♪
チューバは無いけどワーグナーチューバはあったり、オーボエは無いけどなぜかコールアングレはあったり、
ファゴットもコントラファゴットはあるけどなぜかバスクラがなかったり、
ベース・エレキ・ウクレレとギター系の楽器が三本もあったり、ユーフォニアムが管弦楽と同様に配置されていなかったり、
胡弓・箏といった邦楽器があったり、
30人編成なのに、ドラムス・グロッケンシュピール・和太鼓・トライアングル・タンバリン・カスタネット・シンバルの
打楽器セクションはかなり充実していたり、
なぜかシンセサイザーまであったり、基本的には吹奏楽の編成に近いけどなぜかヴァイオリンやチェロ・ハープも配置される
など現実ではあまりありえない編成ゆえにその自由さは素晴らしいものがあると思います。
こうした自由な編成による自由な音楽としてのエスタンシアも是非ららマジ器楽部として聴いてみたいですね~♪

アルゼンチンという国のイメージとしては皆様はどんな事を思い浮かべるでしょうか・・?
例えばサッカーとかサッカーのマラドーナによる神の手とか、財政破綻を経験して一時期債務不履行に陥ったとか
楽天的でノリの良い国民性とかタンゴといったラテンミュージックなど色々と思い浮かばれるとは思いますが、
昭和世代の皆様ですと1982年にイギリスとアルゼンチンの間で勃発したフォークランド紛争というものも挙げられるのかも
しれないです。
最近平成生まれの女の子と話した際になぜか話がイギリスの話になり、なにげなくフォークランド紛争について聞いてみたら
「なにそれ・・!?」という反応でしたし
「イギリスとアルゼンチンが20世紀後半の時代に戦争をしていたこと自体がありえないし信じられない」と言われていたのが
大変印象的でもありました。
今現在の感覚でも、確かにEU離脱等でゴタゴタしているイメージがあり国力自体が以前の大英帝国の強さの雰囲気は
もうないのかもしれないですけど、アルゼンチンから喧嘩を売られて紛争をしていたこと自体
「ちょっとありえないのかも・・」という感覚でもありそうですし、ましてや1982年当時のイギリス首相は鉄の宰相の
サッチャーさんですので当時高校生だった私も「ありえない・・」という感じはあったのかもしれないです。
ここから下記は
dream fantasy2 の
アミグリさんが過去に描かれた絵のご紹介コーナーです。
本記事においては、上記でイギリスとアルゼンチンの間で起きたフォークランド紛争の話がちらっと出ましたけど、
当時の紛争には当然イギリス海軍も参戦されていましたので、
アミグリさんが描かれたアズールレーンのロイヤル陣営からエレバスとサフォークの二人を転載&ご紹介をさせて
頂きたいと思います。
上記の絵はアミグリさんが2018年1月に描かれたアズールレーンのロイヤル陣営からのエレバスです。
エレバスの元ネタはイギリス海軍所属エレバス級モニター艦一番艦エレバスでして、更にここに
ヘクラ級臼砲艦エレバスの要素を加味して擬人化したキャラクターと言えると思います。
一番艦という事でエレバスにはテラーという妹がいたりもします。
分類としては砲艦に該当し、スキル発動時の決め台詞の「いっぺん、死んでみる?」 はエレバスを象徴する言葉なのかも
しれないです!
エレバスは死神っぽい雰囲気も多々あり、ちなみにエレバスという名前の由来は暗黒の神でもありますので、
全体的にはダークで悪魔っぽい雰囲気もあるのかと思います。
アミグリさんが描かれるエレバスは死神というよりも神秘的で神職みたいな雰囲気を醸し出されているように
感じられます。
ロイヤル所属ということでイギリス淑女みたいな雰囲気もうまく表現されていると思います。
そして艦装は黒と白を基調としていてどことなく生と死または天使と悪魔みたいなイメージもあるのですけど、
アミグリさんが描かれるエレバスはそうした天使・悪魔というよりはゴスロリっぽい現代的なかわいらしさをイメージされていて、
とてもかわいいしどことなく霊感を宿している少女みたいな雰囲気があると感じました。
この長い銀髪もすてきですし赤い目も魅力的ですね!
そして猫耳っぽいフードは獣耳っぽいものも感じさせてくれていると思います。
そしてこの縞ニーハイも一際異彩を放っていると感じられますし、エレバスの縞ニーハイは白黒という事もあり、
ゴスロリと神秘的要素の両方を伝えていると思えます。
そして同時に黒いマントも神秘的な雰囲気を醸し出しているようにも感じられます。

続きましてアミグリさんが2018年1月に描かれたロイヤル陣営よりサフォークです。
サフォークとはイギリス海軍の重巡洋艦「サフォーク」を擬人化したものです。
アズールレーンのロイヤル陣営には「ロイヤルメイド隊」と呼ばれる現ロイヤル女王のクイーン・エリザベスに仕える
王室専属メイドさんたちがいまして、現在はベルファストがリーダーを務めています。
(ベルファストの前のメイド長はニューカッスルです)
ロイヤルメイド隊の殆どの艦がイギリスの都市や州に由来した名前を冠していまして、その主要メンバーの一人が
サフォークでもあります。
他にはサフォークのお姉さまのケント、エディンバラ、シェフィールド、シリアスなどがいます。
サフォークのメイド服はメイド服でも胸元がかなり派手に開いたメイド服でお色気要素もある事はあるのですが、
そこにはほのかな上品さも感じられるというのも、
アミグリさんの美しく幻想的な作風や元ネタがイギリス海軍という事で淑女の品の良さというのも大きいと
言えるのかもしれないですね。
そして特筆すべき事はこのメイド服の皺が大変細かく精緻に描かれている点だとも思えます。
この細かさは東方で言うと雛や咲夜さん等のフリル地獄の細かさなどから得られた経験がアズールレーンでも存分に
活かされているのだと思います。
そしてピンクの髪のキラキラしてとても鮮やかだと思います!
アミグリさん自身は「全体の色を濃くしてみました」と言われていましたけど、特にこのピンク色の髪の鮮やかさは
とてもキラキラ輝いていると思います。
髪の白のモフモフとしたシュシュも羊っぽい雰囲気を表しているのかもしれないですね。
そしてこのちょっと「きょとん・・」とした表情もマイペースな天然さんらしさがよく出ていると思うのてすけど、
戦闘時ではぶっ壊れ火力キャラと化してしまうギャップも面白いと思います~!
サフォークのキャラは普段はのんびり・おっとりという事で趣味の一つが「雲をぽ~っと見つめている事」でもあるのですけど、
そうした天然さんみたいな雰囲気がこのきょとん・・にもすてきに表現されていると思います。
サフォークは改造後にはなぜかロングスカートになってしまうのですけど、
アミグリさんが今回描かれたような短いスカートのメイド服のほうがよりかわいい~!とも感じたものでした。
上記のアミグリさんが描かれたエレバスとサフォークは、エレバスたちの絵師様であるアミグリさんに
帰するものであり、当ブログにおける転載とご紹介は事前に全てアミグリさんからご了解を頂いたものであり、
アミグリさんからのご厚意で転載をさせて頂いておりますので、
無断お持ち帰りや無断コピーは絶対NGですので くれぐれも宜しくお願い申し上げます。
アミグリさん、本当にいつもすてきなイラストの転載を快諾して頂きありがとうございます!!
皆様の中で「こんなにも美しいロイヤル娘を描かれる方のブログってどんなもんなのだろう? 」などと
興味がある方は、 是非是非アミグリさんのブログ
dream fantasy2 を ご覧になって頂きたいと思いますし、 宜しければ、当ブログだけではなくて、
是非アミグリさんの本家本元のブログ
dream fantasy2 に一度お越しして頂けると アミグリさんのブログをご紹介させて頂いている私もとってもとっても嬉しいです!
アミグリさんが定期的に作品を投稿され続けている →
アミグリさんのpixiv にも是非一度足を運んで頂ければ幸いです!
→
アミグリさんのpixivそれにしてもロイヤル娘たちがバレエ組曲「エスタンシア」~Ⅳ.マランボの熱狂の音楽をBGMにしてノリノリに熱いダンスを
されるのもすてきな事なのかもしれないですし、
ららマジ器楽部による自由な編成による自由な音楽でのマランボだったら更にノリノリになりそうですね~♪