「響け! ユーフォニアム」も第三話が終了・・・・
序盤の印象としては、原作のライトノベルを本当に巧みに再現されていて、
「さすがに京都アニメーション制作は違うな・・・レヴェルが全然違う!!」と本当に感心しています。
ま、これは原作の時から感じている事ですけど
主人公の久美子の影が薄い・・・・(苦笑・・・)
流されやすいキャラであまり「主体性」が無いキャラですので、存在感無さすぎ・・・という感じもしますけど、
ま、それは・・・・後半以降に色々とありますから・・・
でも・・・・
このアニメまずいな・・・・
見ている私自身がどんどんどんどんアニメの登場人物の心情に入り込んでいき、
自分の中学生から大学にかけての「吹奏楽部」時代の事と重なってしまう・・・・
時に見ていて、自分自身が居た堪れなくなり「辛い・・・」と感じる事すらあります。
そんな数十年前の「過去の出来事」なんか表面的な意識の中ではとっくに忘れてしまっている事なのに
このアニメがきっかけで当時の事がやはり・・・・色々と蘇ってきます・・・
それは・・・・
楽しい思い出なんかほとんど無い・・・・
「嫌だった・・・」・「辛かった・・・」・「叫びたかった・・・」・「何もかも投げ出し逃げだしたくなった・・・」
そんな「忘れてしまいたい嫌な出来事」ばかりです・・・・
やっぱり・・・
人間の「記憶」というものは上手い事出来ているもので、
過去のそうした嫌な出来事は「記憶の忘却の彼方」という遠い世界に置いてあるからいいのだけど、
こうしたアニメが一つのきっかけとなって
「古い過去の記憶」は突然蘇ってくるものですね・・・・
改めて、それは実感したものです。
勿論・・・・
10年間の「吹奏楽」との関わりによって得たものとか達成感とか爽快感とか
クラシック音楽という深い森の中に迷い込むきっかけとか
本当に、私自身は「吹奏楽」を通して得たものはあまりにも多すぎて、とてもここで簡単に記せるものでは
ありません。
本当に「吹奏楽」には感謝しても感謝しきれないものがあります。
今の所の自分の生涯においては・・・・
「プリキュア」と同じくらい大切なものだ・・・という気持ちで一杯ですね。


今回のお話は、前半は、吹奏楽部の日常の練習風景をメインに比較的ゆるゆると進展しましたけど
顧問の滝先生の登場で、場の雰囲気は一転してしまいました・・・
滝先生の指示としては、
「合奏できるレベルに達したら自分を呼んで欲しい。それまではあなた達自身で
個人練習・パート練習・全体練習を行っていなさい。
先日の部員全員で話し合った結果として、全国大会出場を目指すと決めたのだから
自分もそうしたあなた達自身が決めた目標の実現に向かって指導を行う」という事なのでしょうけど、
この北宇治高校吹奏楽部の部員の「やる気の無さ」は本当にひどいものがあり、
ホルン・トロンボーンパートなどはパート練習の間もおしゃべりや遊びに夢中になって
本気で練習するつもりは全く無し・・・・
そんな状態での初めての滝先生指揮での全体練習なのでした・・・・
ま、だけど・・・結果は・・・予想通り・・・・聴くに堪えない演奏・・・
(というか、チューニングの段階から既にピッチは狂っていて・・・・
でも・・・あんなチューニングでの音程不良とか全体合奏でのあのひどい響きとか、
一体あの音源をどこから収集したのだろう・・・・と何かヘンな所で気になってしまいました・・・)
それにしてもあの合奏曲の「海兵隊」・・・・懐かしい曲ですね・・・!!
この曲は・・・多分吹奏楽経験者ならばほとんどの方は一度は吹いた事があるはずと思えるくらい
馴染みがある曲ですし、曲自体のグレードが低いから、初心者バンドにはうってつけの曲ですね。
ま、ああした易しい曲ですら、
あの体たらくですから・・・・・
ちなみに、このアニメの設定上では、北宇治高校吹奏楽部は、かつては関西大会の常連校で
全国大会出場経験もある強豪だったのですけど、
現在は・・・・すっかり低迷し、前年は京都府大会銅賞という設定です。
というか・・・・
私、京都府大会は聴いたことが無いものでよく分かりませんけど、
府大会の前に地区予選は無いのかな・・・・?
よくあのレベルで地区予選を突破出来たな・・・という感じですね。
ま、現実的には、いくら優秀な顧問が赴任したとしても4月からわずか四か月程度で
あのレベルから関西大会出場というのは・・・・少し無理がある設定かも・・・・(苦笑・・・)
ま、ネタバレになりますので、ここではあまり書きませんけど、
原作の上では、色々とトラブルが相次いだけど無事に府大会を通過して関西大会出場は果たしています・・・・
あまりにもひどい演奏に、ついに指揮を止めた滝先生・・・・
そしてここから先は・・・・かなりえぐい展開になりましたね・・・・
「なんですか・・・・これ・・・」
「部長、私言いましたよね、合奏出来るクオリティになったら、集まって下さいって・・・」
「各パート、あまりに欠陥が多すぎて、これでは合奏になりません。皆さん、パート練習やってたんですか?」
ここでトロンボーンパートから
「練習はちゃんとやっていた!」
「悪いところをちゃんと指摘して貰わないと、分からない」と
半分開き直りの発言が飛び出します・・・
そして滝先生は、トロンボーンパートだけを吹かせます・・・
すると・・・、やはりひどい演奏・・・
「私は、トロンボーンに限らず、どのパートも聴くに堪えないものばかりだと思いました・・・
それでは困るのです。
あなた達は全国大会を目指すと決めたのですよね・・・」
そしてトドメのお言葉は・・・・
「この演奏では指導以前の問題です。私の時間を無駄にしないで頂きたい!!」
これを怒らず、怒りの感情で言わずに、笑顔を絶やさずクールに言えてしまう滝先生は・・・
やはり只者ではない・・・
そして輪を掛けて・・・・
部員たちから、近々開催予定で毎年近隣の学校が参加しているお祭り行事の参加と
そこで演奏する曲決めについても・・・
「あなた達は、そういうことを気にするレベルにはありません。
来週まともなレベルになっていなかったら、参加しなくていいと思っています」と
ここでもバッサリ・・・・!!
さてさて・・・・
今回の話の本質的問題はどこにあるかというと、それは・・・「部員間の温度差」なのだと思います。
吹奏楽は決して「個人競技」ではありませんし、
ある意味、運動部と同様に「チームプレー」というものはかなり求められると思います。
吹奏楽部は、何十人もの部員が存在しますから、当然考え方も部に対するスタンスも各自で
異なると思います。
ある部員は、そんなに一生懸命にならなくても適当に吹いて、自分達が楽しむ演奏が出来れば
それでいいしゃないか・・・と考えると思いますし、
中には・・・かつての高校時代と大学時代の私のように
「とにかく・・・・普門館で吹きたい!! それが無理ならばせめて支部大会に出場したい!!」と
やたら吹奏各コンクールに対して「熱い思い」を持っている者もいますし、
中には・・・
「いやいや・・・コンクールは別に参加するだけでいい・・・・それよりも定期演奏会等で
自分達のメッセージを誰かに伝えたい」と考える人もいると思います。
だけど・・・・
そうした「同床異夢」という状態であっても、
音楽と言うか、特にコンクールの場においては・・・・特にコンクールの長い練習過程においては
部員全員の「意志統一」が極めて大切になります。
これは別に誰かに言われたからしぶしぶ従うと言う「義務感」では絶対にダメです。
「自分達は最終的にこういう目的を持っているから、そのためには何をすべきなのか・・・」という事を
全員が「共通認識」を持っていないと・・・・
まずほとんどの場合、この第三話における北宇治高校吹奏楽部同様「空中分解→部の崩壊」を
生みます・・・・
やはり・・・・
加藤葉月のセリフが全てを物語っていると思います。
「吹奏楽って個人競技じゃないよね?みんなが同じ方向向いて、皆が頑張らなきゃ意味なくて…
今みたいに、やる気ない人にイライラしながら頑張るのって…」
第二話の際に、滝先生から
「あなた達の部としての目標を決めて下さい。楽しんで吹いて各自の思い出作りとしての部でも構わないし
全国大会出場を本気で目指すのでも構わない。
自分は皆さんが決めた方向に従う」と言われ、
取り急ぎ・・・・
「それでは多数決で決めよう・・・」となったものの、
ああいう場で、
「全国大会なんて無理無理・・・、コンクールなんてどうでもいいじゃない・・・」とは中々発言しにくいもの・・・
だからほとんどの部員は・・・・
「本当に自分達は本気で全国大会を目指すべきなのだろうか・・・」という事を自問自答しないで
安易に・・・「それでは全国大会を目指します・・・」なんて決めてしまった・・・・
だけどそれに対して
部員間で温度差があるのは、ある意味当然の成り行きであり
そのあたりが・・・・
全然練習しないでチャラチャラしている部員と一生懸命練習している部員の間に
「不穏な温度差」を招いてしまうのですよね・・・・
あ・・・、だけどそれはスクールバンドではよくある話・・・・・
こういう時・・・・・その「まとめ役」というか「調整役」の部長さんは・・・・本当に気の毒ですし
大変なんですよね・・・・
今回の話でも、
滝先生に反発する声が相次ぎ、
人はいいけど気の弱そうな部長のはるかに対しても・・・
「ちゃんと自分達を指導するようにあいつと話を付けておけ」とか
「近く開催されるサンライズフェスティヴァルに出場しないなんてありえない・・・
ちゃんとあいつと話を付けて出場できるようにしろ」とか色々無茶振りされるのも何か期の毒・・・
というか・・・
なんでこういう気の弱い子が部長になったのだろう・・・
誰も成り手がいなくて押し付けられたのかな・・・・??
それで結局は・・・
とりあえず、各パートで意見まとめて、パートリーダー会議で結論を出そう・・・という話には
なったのだけど、
多分・・・・
そのパートリーダー会議でも
この優しいやさしいはるか部長は・・・・
各パートから色々と無理難題を突き付けられ、滝先生と部員の板挟みにあって
色々と悩むのだろうな・・・・・
でもな・・・・この滝先生は大変理性的に温和な態度でえぐい事を色々と言っていますけど、
「部長、私言いましたよね・・」の一言は結構部長にとってはきつい言葉かも・・・
冒頭で、このアニメを見ていると何か不思議と自分の「過去の記憶の傷」が蘇ってくるといいましたけど、
この辺りで・・・・
唐突に自分自身の記憶が蘇ってきました・・・
ま・・・、一応、私、中学と高校の時になぜか「部長」の役割を押し付けられています。
中学の時は・・・・
以前書いたと思いますけど、自分の代は大量の退部者を出してしまい、
当時の3年生はわずか8人(2年生40人 1年生25人)
しかも8人中、男子部員は2名のみ
そして自分以外の男子部員は・・・・、そうですね・・・・昔の古い言葉で言うと「ツッパリ兄ちゃん」・・・
長ラン・ボンタン・剃り込み・リーゼント・・・という子でしたので、
ま・・・・そりゃ必然的に「部長」は・・・私に押し付けられてしまいますよね・・・・(苦笑・・)
でも、そのツッパリ兄ちゃんとは小学の金管鼓笛隊バンド時代からの仲間でしたし、
なぜか昔からとっても気が合っていましたので
本当に、その子には色々な意味で助けられていました。
だって・・・・下級生があんなに大勢いて、顧問の指揮者の先生は上から目線で怒鳴りつけるばかり・・・
そりゃ・・・・部長の私の言う事なんて誰も聞きませんし、
2年生何か・・・・露骨に「指示無視」という感じでしたね・・・・
そういう時にそのツッパリ兄ちゃんが2年生を色々と恫喝&脅迫(?)してくれて、
本当に色々な意味で助けられましたね・・・・
ま、その分・・・・
私もその子の夏休みの「自由研究」の課題レポートを代わりに書いてあげたり
宿題を押し付けられたりと
ま・・・・いい意味でも悪い意味でも「持ちつ持たれつの間柄」でしたね・・・・(笑)
でもやはり「部長」は色々な意味で辛い面が多く、
例えば・・・・
夏休み中の練習で、午前中は顧問の先生が研修で不在・・・・
事前には、
「俺が不在の時は、部長のお前がうまく部員をまとめ、課題曲の練習番号DからGの部分を
本日は完璧に仕上げとけ・・・!!
パート練習チェックと合奏の指揮はお前が見ておけ!!」と厳命される事もありました・・・・
だけど・・・・・
やはり鬼の先生が不在・・・・というと特に2年生はたるむのですよね・・・・
パート練習何か・・・・各教室にて漫画本読んでいたり、ダーツゲームを持ちこんでそれで遊んだり
女の子たちは・・・おしゃべりに夢中・・・・
合奏時も・・・・ただ漫然と音を羅列しているだけ・・・
午後、先生が戻ってきて全体合奏が始まると・・・
案の定・・・・音楽は崩壊状態・・・・
先生は当然激怒し・・・・・
「部長、立て!! なんだ、このざまは・・・!! 今日出かける前に何と指示をした・・・??」
「その指示を言って見ろ!!」
「(1~2年生たちに)部長は、午前中、お前たちをちゃんと指導していたのか答えろ!!」
(1~2年生たちの冷たい反応・・・・・)
「お前の弁明だけは聞いてやるから、何とか言ってみろ!!」
「パート練習は出来ていない、全体合奏も出来ていない、練習番号D~Gの内、一つも仕上がっていない
一体何なんだ、これは・・・
お前に事前に指示事項を言っておいたはずだよな・・・・その指示事項を全部は無理としても
一つも出来ていないという事は、
お前は、それは俺の言う事を聞けないという事だよな・・・
あんまり人をなめるんじゃねーぞ、この野郎!!」
「俺の言う事を聞けない理由を俺が納得出来るように説明して見ろ!」
「お前のその説明で俺が納得出来ればこれ以上は何も言わない。但し、俺が納得出来ない場合や
お前の説明があやふやと言う事は、お前は
確信犯的に俺の指示を遵守しなかったという事だ。」
「ふざけるんじゃねーぞ、おい、部長!!」
「部長の職務を全うできない奴はそこで立っていろ!!」
ま・・・・そんな感じでとにかくクーラーも効いていない音楽室で
一人ポツンと起立させられて
とにかく集中砲火を浴びていた・・・
ま・・・・そうした出来事は、正直、先代の部長の時も先々代の部長の時もありました・・・・
だから・・・皆、オチは分かっているのだと思います・・・
そういう場合・・・
部長がそうした叱責に耐え切れず、号泣する事で、それが他の部員たちに
「おいおい・・・、そんな部長一人だけの責任にするのはまずくないか・・・・自分達だって悪いはず・・」という
雰囲気を作り出すのが多分・・・・先生の意図なのでしょう・・・
そういうのが分かっていたから、
私は泣けなかった・・・、というか絶対に「泣くもんか!!」とその時はすごーく意地を張っていたと思います・・
「こいつのために、そして2年生たちの目の前で自分が号泣するなんて
絶対に嫌だ・・・!!」
そんな気持ちしか無かったと思います。
ま・・・、私は・・・・結局は「素直」じゃなかったのだと思います・・・・
何かそんな事もありましたね・・・、ま、それだけじゃないけど、
他にも多分色々と辛い事はあったと思います・・・・
結局・・・・
「部長」って何が大変かと言うと、先生と部員の「板挟み」に追い込まれやすいという事なんです・・・・

あ・・・・そんな自分の「過去の傷」はどうでもいいとして(苦笑・・・)
この「響け! ユーフォニアム」に話を戻しますと、
こんな「海兵隊」みたいなグレード2程度の曲の合奏で、こうした音楽の崩壊状態は
ある意味凄い・・・・
ま・・・、演奏中にああやってクラリネットなんかリードミスをしまくると・・・・・
音楽は締まらないものですよね・・・・(苦笑・・・)
何か見ていて
「おいおい、リードミスしておいて笑ってごまかすなよな・・・」とツッコミを入れたくもなりますね・・・・


今回の話、ラストが本当に印象的でしたね・・・・
中学の特に県大会でダメ金を取り、悔しい気持ちで北宇治高校吹奏楽部に入部した麗奈でしたけど、
麗奈みたいに高い技術と高い目的意識を持った人間の視線で言うと・・・・
とにかく・・・・
「やるせない・・・・」という気持ちなんでしょうね・・・・
「いたたまれない・・・」という気持ちなんでしょうね・・・
自分は、この吹奏楽部で本気で全国大会を狙っている・・・・
だけど周囲のテンションは極めて低い・・・・
「パートリーダー会議が終わって方針決定するまでは練習も休み・・・」と知らされては・・・・
麗奈の「やるせない気持ち」は本当に痛いほど分かりますね・・・・
私自身も麗奈の気持ちを考えると・・・・・大変胸が痛くなります・・・
だから・・・・
ああやって校庭の隅から麗奈自身が奏でる
ドヴォルザーク/交響曲第9番「新世界より」~第二楽章のあのメロディーは
本当に心に沁みますね・・・・・
半分泣き出しそうな麗奈の表情もよかったけど
最後の・・・・「うわぁぁぁぁぁぁーーーーー」という叫びが本当にいたたまれない・・・・
最初にこの原作読んだ時、
「え・・・、じゃなんで麗奈は北宇治以外の吹奏楽名門校に進学しなかったんだ・・・」と感じたものですが・・・
ま・・・それはいずれその経緯は分かりますけどね・・・・
(うーーん、今はネタバレになるので書けないですね・・・・)
→その②へ続く・・・・